映画『トップガン』など数々の作品に登場し、日本でも高い人気を誇るF-14「トムキャット」戦闘機ですが、2024年現在の運用国はイランのみです。しかし、同国もついに後継機を導入したため、完全退役に向けてカウントダウンが始まりました。

新型機配備でF-14いよいよ退役か?

ドイツの航空宇宙専門誌『Flug Revue』は2024年11月29日イラン空軍がロシア戦闘機Su-35SEを受領したと電子版で報じました。

イラン空軍は最終的にSu-35SEを50機配備する予定で、今回はそのうちの2機にあたるとのこと。この2機の引き渡し式典が、製造元であるロシアのコムソモーリスク・ナ・アムーレ航空機工場で実施されたといいます。

同サイトによれば、今後、機体は分解されて輸送機テヘランに輸送されるそうです。

イラン空軍といえば、1978年イラン革命が起きる以前、当時の親米政策によって、F-4「ファントムII」やF-14「トムキャット」といったアメリカ製戦闘機を多数導入し、今でも運用していることがよく知られています。

特にF-14「トムキャット」は、開発元のアメリカ以外では唯一の運用国であり、茶色主体の独特な迷彩塗装が施されていることもあって、飛行機ファンのあいだではたびたび話題になったりもします。

イランは、革命後にアメリカなどとの関係が極めて険悪になったことから、これら戦闘機の運用支援をアメリカから受けられなくなりましたが、部品のリバースエンジニアリングなどを通じて独自の運用体制を確立。これにより、開発元であるアメリカで退役し、整備部品などが枯渇した現在でも運用できています。

しかし、これら機体の老朽化は深刻であったことから、イラン空軍は更新用としてロシア戦闘機の導入を計画するようになり、それが今回のSu-35SEへの引き渡しへと繋がりました。

人気映画『トップガン マーヴェリック』では、アメリカ海軍が攻撃した敵国がF-14を運用しているという設定が登場しますが、これは現在のイランをモデルにしたと考えられています。Su-35SEの導入が進めば、それはF-14も退役し数を減らすということを意味します。

イラン空軍への新型機配備は、世界で唯一現存するF-14の動向にも繋がるため、今後も注目が集まることでしょう。

ロシア空軍のSu-35戦闘機(画像:ロシア国防省)。