スコットランドの自然復元団体による再生プロジェクトによって、開発地域で激減していたマルハナバチの数が2年前より116倍も増え、見事な復活をとげた。
パース北部を拠点とする団体「リワイルディング・デンマークフィールド」は、この2
年間、開発が進む地域に自然を復元する取り組みを行ってきた。
プロジェクトが管理するエリアの畑に生息するマルハナバチは、大麦の単一栽培だった2021年にはわずか35匹しかいなかったという。
しかし、同じ畑を自然にまかせて修復したところ、2023年までのわずか2年間でマルハナバチの個体数が4056匹に増加した。その種類も5~10種になった。
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生態系にかかせないマルハナバチの再導入プロジェクト
マルハナバチは、生態系に重要な役割を果たしている。受粉を行うことで、農作物物や野生植物を支えているのだ。
さらに、マルハナバチは生態系の健康状態を示す指標でもあり、個体数の減少は環境悪化のサインとなる。
現在、農薬や気候変動の影響で個体数が減少しており、世界各地で保護活動が行われている。
スコットランドでは、自然にまかせるやり方で、マルハナバチの再生プロジェクトを見守っていた所、大きな成果が現れた。
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生態学者ののエリー・コーシー氏は語る。
なにもせず自然にまかせることがマルハナバチにかなりの好影響をもたらしました。この2年で裸地と大麦を刈った後の大地に84種の植物が自然に生息するようになったのです
これだけ多様な植物があると、何千もの花粉媒介昆虫が引き寄せられます
植物の多くはアザミやタンポポなどのいわゆる雑草ですが、それらはすべて在来種で、さまざまな方法で在来野生生物に恩恵をもたらしています
長年にわたる耕作、除草剤など農薬の散布によって、当初の生物多様性は信じられないほど低いものでした
野生動物がほとんどいなくなってしまったのです。この場所を再び野生化させることで驚くほどの効果がもたらされました(エリー・コーシー氏)
地元住民も、短期間で畑が劇的な変貌をとげたことに気づいた。
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大麦しかなかった場所が、野生の花や若木、ハチの羽音に満ちた美しい草原に変わったのです
英国で激減しているマルハナバチ
英国では近年、花粉媒介昆虫の数は急激に減少している。24種いるマルハナバチのうち8種が激減しているため、優先保護種に指定されている。
彼らにとって最大の脅威は、生息地の喪失、農薬の使用、気候変動だという。
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マルハナバチ保護トラストの創設者デイブ・グールソン氏は、リワイルディング・デンマークフィールドの再生プロジェクトは、人間が少しのスペースを与えて、自然の魔法にまかせれば、野生生物をたちまち回復させることができることを見事に示してくれていると語る。
開発が進む地域で、人と野生生物のために緑地を確保するため、同団体は地元コミュニティと協力してきた。
とはいえ、近くには4000戸の住宅地があり、新たな環状道路も建設されていて、開発と野生化のせめぎあいは確かにある。
しかし、むやみやたらな都市開発や実用的な集約農地に囲まれていたとしても、自然の力にチャンスを与えれば、大切な花粉媒介昆虫が復活できることをはっきりと示すことができたのだ。
References: Bumblebee population increases 116 times over in 'remarkable' Scotland project[https://www.scotsman.com/hays-way/bumblebee-population-increases-116-times-over-in-remarkable-scotland-project-4882622]
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