2024年4月、世界最高齢とされるコアホウドリのウィズダムが、恋のお相手を探し始めたという微笑ましいニュースをお伝えした。
長年連れ添った伴侶はここ数年姿を見せず先立たれたとみられ、独り身となり心配されていたウィズダム。
ところが74歳という高齢の彼女が、新たなパートナーを見つけて卵を産んでいたことが確認された。
平均寿命40~60歳というコアホウドリの中でも、とりわけご長寿なウィズダムの生命力と愛への情熱は驚異的とされ、研究者たちも温かく見守り続けている
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あのウィズダムに新しいパートナーが
ウィズダムの求愛行動が確認されてから7か月が過ぎた2024年11月。ウィズダムはミッドウェー環礁に戻ってきて、新しいパートナーと触れ合っている姿が目撃された。
どうやら長年連れ添った伴侶だったアケアカマイを失った悲しみから立ち直り、新たな恋を見つけたらしい。
その様子を見守り続けていた米魚類野生生物局 (USFWS)の専門家たちは、11月の下旬になって、ウィズダムの産卵を確認した。
USFWSの生物学者のジョン・プリズナー博士はこう語った。
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ウィズダムはとてもユニークな存在です。私たちは彼女の年齢に近いコアホウドリを他に知りません。ここにいるコアホウドリのうち、私たちが知る中で彼女に一番年が近い個体は45歳くらいなんです。彼女は非常にまれな存在です
危険から回避する術を学び続けた結果の長寿か
ウィズダムは1956年にミッドウェー環礁で産卵した際、鳥類学者の故チャンドラー・ロビンズ氏によって足にタグがつけられた。
ロビンズ氏によると、その時ウィズダムは交通の往来が激しい場所の近くに巣を作っていたという。だがその数年後に再び遭遇した際は、もっと危険の少ない場所に移動していた。
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最初の出会いから46年後、再びミッドウェー環礁でコアホウドリの調査をしていたロビンズ氏は、かつて自身がつけたタグを見つけて驚愕した。
まさかコアホウドリがこんなに長く生きるとは、当時はどんな鳥類学者も考えてもいなかったからだ。
ウィズダムは年を経るにつれ、どこなら安全なのか、どうすれば危険を回避して子育てができるのかを学んで行ったのではないだろうか。 そしてその経験こそが、彼女の長寿に繋がったのではないか
2017年に亡くなる寸前、ロビンズ氏はこのように推測していたそうだ。
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「74歳のお母さん」誕生は来年1月か2月の見込み
USFWSでは、ウィズダムはこれまでアケアカマイとの間に50~60個の卵を産み、そのうち約半分がヒナになったと見ている。
コアホウドリは5歳にならないと繁殖年齢にならないとされており、1956年に産卵が確認されていたウィズダムは、少なくとも74歳に達しているとUSFWSは推定している。
12 月初旬にミッドウェー環礁で誕生した卵の大半は、64~65日の期間を経て、翌年1月か2月に孵化するという。
ウィズダムの卵が無事に孵化するかどうか、学者たちも緊張しながら見守っているが、少なくともヒナが生まれる確率は高いと見込まれている。
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きっと無事に孵るはずです。毎年、ここで産みつけられた卵の約70~80%が孵化します。そのうち約50%が生き残り、巣立ち、ミッドウェー島を去っていくのです
前述のプリズナー博士はこう付け加える。カラパイアとしても、元気で可愛いヒナの誕生を祈って待ちたいと思う。
References: Wisdom, The World's Oldest Bird, Lays Egg At 74 Years Old After Finding New Mate[https://www.iflscience.com/wisdom-the-worlds-oldest-bird-lays-egg-at-74-years-old-after-finding-new-mate-77074]
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