ボクシーもレガシーもエブリィもベルファイヤも全部違うってば! クルマ好きがムズつく間違えられやすい自動車用語

この記事をまとめると

■クルマに関する表記についてマニアがツッコミを入れたくなるケースが多々ある

■音引きや大文字・小文字に関する間違いが多く見られる

■世代によって言葉の略称の違いが見受けられる例も少なくない

クルマ好きがムズムズする間違えやすい車名たち

 SNSなどを通じて、テレビドラマ内における各種設定のちぐはぐさや用語の間違いなどについて、視聴者からすぐさまツッコミが入る時代になった。SNS上には「#◯◯反省会」みたいなハッシュタグも多いと聞く。

 筆者個人は、些細な間違いやドラマの演出に必要な誇張表現などについて、いちいちツッコミを入れるのは「無粋だな~」と思っているため、そういったハッシュタグを利用することはない。

クルマオタクがムズムズする言い間違えられやすい単語たち

 だが、ツッコむ人の気もちもわからないではない。

 なぜならば筆者も、自分の古巣である出版業界を舞台にしたドラマを観ているときに限っては、「その出版用語、絶対にそんなふうには使わないよ!」とか「そのタイミングでそんなことする雑誌編集者、いるわけないじゃん!」などと、ついつい叫んでしまうからだ。

クルマオタクがムズムズする言い間違えられやすい単語たち

 つまり、「人は自分が詳しい分野の間違いや誇張表現などについては気になってしまう」ということである。

 そして、クルマに関していうのであれば、「クルマ好きは、非クルマ好きがしばしばいったり書いたりする『間違った自動車用語』に対してモヤモヤしている」ということでもある。いちいち「それ違う!」などと指摘する人はいないだろうが(いません……よね?)、内心では「それ、ちょっと違うんだけどなぁ……」とモヤモヤしているわけだ。

 代表的なもののひとつは「バ行とヴァ行問題」であろうか。

 クルマ好き各位には今さらご説明するまでもないが、トヨタ売れ筋ミニバンであるヴォクシーは「ヴォクシー」であり、決して「ボクシー」ではない。しかし、非クルマ好きの各位はしばしば「ボクシー」といったり書いたりする。それを見聞きすると、いちいち指摘はしないが、なんだかこうムズムズするのである。

クルマオタクがムズムズする言い間違えられやすい単語たち

 そのほかでは「ヴィヴィオをビビオ」「ヴェルファイアをベルファイヤ」などの問題もあるわけだが、じゃあボルボVOLVO)は「ヴォルヴォ」と書くべきかというと、それもまた違うというか、そうすると気取りすぎてる感じになってしまうというのが、この問題の難しいところである。

 それ的な書き方をしてもサマになるのは、この世で徳大寺有恒さんぐらいのものだろう、亡くなられてしまったが……。また、世のなかの一部にはベンツBenz)のことを、気取ったつもりで「ヴェンツ」と書く人もいたりして、問題をよりいっそう複雑化させている。

クルマオタクがムズムズする言い間違えられやすい単語たち

 バ行とヴァ行問題のほかでは「音引き問題」と「小文字・大文字問題」もあるだろう。

 音引きというのは、ご承知のとおり「カートップ」とかの「ー」の部分のことだ。で、スバルLEGACYというクルマは、普通にカタカナ化すれば「レガシー」になるはずではある。そういえば小池百合子都知事も、東京五輪のときにはレガシーがどうのこうのといっていた記憶がある。

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 しかし車名としてのLEGACYは「レガシー」ではなく「レガシィ」なのだが、これを「レガシー」といったり書いたりしてしまう人も多いため、こちら(クルマ好き側)としてはムズムズしてしまうのである。そして、そんな小さなことでムズムズしていることがバレると「ちっちぇえヤツだなぁ」と嘲笑されそうな気がするため、よりいっそうムズムズしてしまうという悪循環のメカニズムが成立している。

大文字と小文字の混在もややこしい!

 これと似たケースとしては、「スズキのあの軽は、エブリーでもエブリィでもなく『エブリイ』」、「軽トラのほうも、キャリーじゃなくて『キャリイ』」というのもあるだろう。そしてそこから派生する話として「ダイハツHIJETはハイジェットじゃなくて『ハイゼット』」というのも出てくる。

クルマオタクがムズムズする言い間違えられやすい単語たち

 またそのほか、ややマニアックなところでは「マツダCX-30は『シーエックスサーティ』だが、ボルボのEX30は『イーエックスさんじゅう』」という日欧の逆転現象もあるわけだが、そんな些細なことはどうでもいいとして、一番の問題はトヨタの「C-HR」だ。

クルマオタクがムズムズする言い間違えられやすい単語たち

 ご存じのとおりトヨタC-HRとは、日本では2023年7月まで生産されていたコンパクトSUVだ。で、その車名が「C-HR」なのか、それとも「CH-R」なのかを、少なくとも筆者はいまだに記憶できていない。C-HRが日本で発売されてから約8年、筆者が自動車メディア業界に奉職してから30年近くがたつが、いまだに(この原稿を書くときも)ネットで毎回「ええと、ハイフンはどこに入るんだっけ?」と検索している始末である。すみません。

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 これと類似する問題としては「ホンダのあれはCR-Vだっけ、それともC-RVだったけ?」などもあるわけだが、今回、個人的にもっともアレだったのは「ガソスタorガススタ問題」である。

 筆者はガソリンスタンドのことを「◯◯スタ」と略していうことはほとんどないが、「あえて略すのであればガススタだろう」とは思っていた。信じていた。

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 しかし、調べてみると、どうやら最近のお若い人の間では「ガソスタ」と略す場合のほうが多いようであり、WEB CARTOP編集部から筆者のところに来たメールにも「ガソスタが正解」的なことが書かれていた。「ガススタ」という略称は、どうやら最近では筆者のようなおっさん世代しか使わないらしい。

 だがそれでも、筆者は今後も断固として「ガススタ」と略し続けるつもりだ。「ガソスタ」って、なんだか響きも字面も好きになれないからである。「おっさんwww」と笑われようが気にしない。なぜならば、事実としておっさんだからだ。

 そのように誤用(?)を誤用として断固使い続ける所存であるからこそ、非クルマ好きの人が「ベルファイヤ」といおうが「レガシー」と書こうがいちいち指摘することなく、今後も気がつかないふりをしたまま、静かに生きていきたいと考えている。

クルマオタクがムズムズする言い間違えられやすい単語たち

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ボクシーもレガシーもエブリィもベルファイヤも全部違うってば! クルマ好きがムズつく間違えられやすい自動車用語