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アーケードゲームとして稼働してから35周年を迎えた『ファイナルファイト』は、ボーナスステージで日本車らしきクルマを破壊することでも知られています。一体なぜこのような演出になったのでしょうか。
ある意味本編より有名なボーナスステージ
今から35年前、1989年12月14日にカプコンからアーケードゲームとして稼働を開始した『ファイナルファイト』は、手当たり次第に街の悪党どもを殴り倒す「ベルトスクロールアクション」として、国内外で人気を博しました。
この作品で最初の関門ともいえるステージ2のボスであるソドム戦の後、ガソリンスタンドでチンピラのクルマを破壊するボーナスステージは、ゲームをプレイした人ならば印象に残っている人は多いはずです。
鉄パイプなどを使ってクルマをやりたい放題に破壊し、ゲーム内のスコアを稼ぐボーナスステージは爽快感すら覚えます。ただ、よく見るとそのクルマのフォルムは、当時トヨタや日産が販売していたセダンのようで、ナンバープレートの位置には露骨に「JAPAN」と書かれています。一体なぜなのでしょうか。
実は「JAPAN」と書かれたクルマを破壊するのは、当時の世相が反映されています。この件に関しては同作の生みの親で、現在はゲーム制作会社アリカの代表取締役社長である西谷 亮さんが公式Xで以下のように明かしています。
「車壊しのボーナスステージ。もちろん車を壊すことは決まっていた。(当時日本車が売れすぎていて、海外で日本車を破壊するという事件が本当に起きていた)」
1980年代、日本はアメリカとの自動車をめぐる貿易摩擦で大きな政治問題を抱えていました。日本車に押され、アメリカではゼネラルモーターズ(GM)が生産規模を大幅に減らしリストラを行うなど、失業者が続出。怒った全米自動車労働組合(UAW)の組合員などが、西谷さんの話す通り、彼らを脅かす日本車をハンマーで叩き壊すパフォーマンスなどをしていました。
『ストリートファイターII』でも採用され伝統に
『ファイナルファイト』はもともと、格闘ゲームというジャンルの原型を作った初代『ストリートファイター』の続編を出して欲しいというカプコンUSAの要望から、『ストリートファイター'89』の仮タイトルで開発をスタートした経緯があります。
そのため作品の舞台は「メトロシティー」という架空の街ではありますが、登場人物はアメリカ人です。クルマ破壊のほかにも、“最も危険な公共機関”と言われた1980年代ニューヨークの地下鉄風景を意識したステージを作るなど、当時のアメリカの社会問題をパロディとして表現していました。
なお、このクルマ破壊は、1991年3月に発売された『ストリートファイターII』でも取り入れられています。
以降、ストIIの続編である1997年2月稼働の『ストリートファイターIII -NEW GENERATION-』ではクルマ破壊はありませんでしたが、1999年5月から稼働開始した『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』で復活。この時は三菱「パジェロ」やトヨタ「ハイラックスサーフ」を彷彿とさせるSUVが対象になっています。
続く『ストリートファイターIV』も最初はクルマ破壊がありませんでしたが、2010年4月から販売を開始した『スーパーストリートファイターIV』で、セダンタイプのクルマを破壊するボーナスステージが追加されました。『ストリートファイターV』ではシリーズ通してクルマ破壊はナシ。そして最新作の『ストリートファイター6』ではアメリカの大型トラックを思わせる車両を破壊する形式となり、同シリーズではもはや伝統ともいえるものになっています。
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