
新年、明けましておめでとう!2025年は干支の中で唯一の爬虫類、ヘビ(巳)となる。
実際のヘビは苦手だという人も多いかもしれないが、ヘビはその神秘的な姿と特性から、古くから世界各地の様々な神話に登場し、信仰の対象とされてきた。
脱皮を繰り返すヘビは、再生のシンボルとして、あるいは善悪の象徴、知恵の化身、しばらく餌を食べなくても生きていられることから「神の使い」とされることもあった。
2025年の幕開けにふさわしい、ヘビの神秘的な7つの神話の世界を覗いてみよう!
なぜ干支に巳(ヘビ)が加わったのか?
干支の起源は中国で「殷」の時代に作られたとされる。爬虫類であるヘビ(巳)が干支の一つとして選ばれた理由については、諸説ある。
ヘビを表す「巳(み)」の本来の意味は、「草木の成長が極限に達して次の生命がつくられ始める時期」のことで、脱皮して成長を繰り返すヘビの「復活と再生」にリンクするとして、ヘビになったのではないかと言われている。
また、ヘビが古代から豊穣や繁栄のシンボルとされていたことも影響しているようだ。特に農耕社会では、ヘビが害虫を駆除する益獣と見なされていたため、干支に加えられた可能性があるという。

ヘビにまつわる世界7つの神話
1. ヨルムンガンド:北欧神話の世界蛇
北欧神話におけるヨルムンガンドは、地球を取り巻く巨大な蛇であり、ロキの子供として知られる。
ヨルムンガンドは海を囲む存在であり、その尾を自ら咥える姿が永遠や循環を象徴するとされる。
最終的に、ヨルムンガンドはラグナロク(終末の日)で雷神トールと戦い、互いに命を落とす運命にある。

2. ククルカン:マヤ文明の創造神「羽毛の蛇」
マヤ文明では、ククルカンが創造と知恵を司る神として崇められた。
ククルカンは羽毛を持つ蛇の姿で描かれ、科学や数学の知識を人々に授けたとされる。
マヤの遺跡チチェン・イッツァでは、ピラミッドに現れる「降臨するククルカン」の光景が有名であり、彼が天と地を繋ぐ存在であることを象徴している。

3.ナーガ:インド神話の水を司る蛇神
インド神話に登場するナーガは、半人半蛇の姿を持つ神聖な存在だ。ナーガは水と豊穣を司り、時には人間に知恵を授ける役割も担う。
特にナーガの女性形「ナーギ」は、王族の祖先として尊敬されることもある。ナーガは天候を左右する力を持ち、干ばつや洪水を引き起こす存在とされる一方、恵みをもたらす保護者として崇拝されてきた。

4.ヘカテ:ギリシャ神話の魔術と夜の女神
ギリシャ神話のヘカテ(ヘカテー)は、夜、魔術、そして月を司る神であり、境界や未知の領域を守る存在とされる。
ヘビは彼女のシンボルであり、地霊や知恵、神秘性を象徴する生き物として描かれる。また、ヘカテは道を示す案内人としても知られ、暗闇の中で人々を導く役割を担う。

5.アスクレピオスの杖:医学の象徴
古代ギリシャ神話において、アスクレピオスは医療と癒しを司る神として知られており、そのシンボルである「アスクレピオスの杖」にはヘビが巻きついている。
なぜアスクレピオスの杖にヘビが巻き付いていたのか?それには諸説ある。
ヘビは脱皮することで「古い皮を捨て、新しく生まれ変わる」姿を見せる。これが生命の再生や癒しを象徴しているという。
また、ヘビは毒を持つ生き物だが、その毒が適切に用いられることで薬としての役割を果たす。この「毒と薬の両義性」は、アスクレピオスの医療哲学とも一致する。彼が毒草や薬草を使い分けて治療を行ったとされる神話的背景に通じるものがある。
ある神話では、アスクレピオスが患者を治療する際、ヘビが現れて彼に知恵を授けたとされる。この出来事がきっかけで、彼の杖にヘビが巻きつくモチーフが付けられたという説もある。
現在でもアスクレピオスの杖」は抽象化され、欧米では医の象徴として世界保健機関(WHO)、米国医師会(AMA)等のマークにも使われている。

6.ウロボロス:西洋の永遠の象徴
ウロボロスは、自らの尾を噛んで環状となったヘビや竜を象徴する古代のシンボルである。
その起源は紀元前1600年頃の古代エジプト文明に遡り、太陽神ラーを守護する神メヘンが、自身の尾を噛んで円を形成し、ラーを取り囲んで守ったとされる。
このシンボルはフェニキアを経て古代ギリシアに伝わり、「ウロボロス」と名付けられた。
ヘビは脱皮を通じて成長し、長期間の飢餓にも耐える生命力を持つことから、「死と再生」や「不老不死」の象徴とされてきた。
ウロボロスは、始まりも終わりもない完全性や永遠、循環性を表し、古代エジプトやギリシャの錬金術や宗教、哲学など多くの文化や思想において用いられている。
現代でも、この象徴は哲学やSFなど、幅広い分野で影響を与え続けている。

7.ヤマタノオロチ:日本神話の多頭蛇
日本神話に登場するヤマタノオロチは8つの頭と8つの尾を持つ伝説の巨大蛇だ。
須佐之男命(スサノオノミコト)が出雲国でヤマタノオロチに娘を食べられる運命にある老夫婦に出会い、最後の娘・櫛名田比売(クシナダヒメ)を救うため退治を引き受ける。
スサノオはヤマタノオロチを強い酒で酔わせた後、剣で討ち取り、その尾から「草薙剣(天叢雲剣)」を見つけた。この剣は後に天照大神に献上され、日本の三種の神器の一つとなった。
ヤマタノオロチは、自然の脅威や河川の氾濫を象徴していると考えられている。
また、8という数字は古代において「多い」ことを示す象徴的な数字であり、オロチの巨大さや恐ろしさを強調するために用いられていると解釈されている。

日本ではヘビは古くから神聖視されてきた。特に白ヘビは縁起が良いとされ、「金運アップ」の象徴とされている。
日本全国にヘビを祭った神社があるが、山口県岩国市の白蛇神社や、 東京都品川区にある蛇窪神社、宮崎県高原町の霞神社、群馬県太田市の八坂神社などには本物の白蛇がいるそうなので、参拝してみてはどうだろう?

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