現在、日本の高等教育機関(大学校など)における、教授に次ぐ立場の肩書は「准教授(じゅんきょうじゅ)」になっています。これは2007年の学校教育法の改正によって、このような名称に統一されました。以前は「助教授」でした。

なぜ、この助教授はなくなったのでしょうか?


■「Assistant」から「Associate」へ!

助教授は「Assistant Professor」という英語表記からも分かるとおり、その職務は「教授を助けるもの」となっていました。教授の研究を補佐し、協力することが仕事とされていたわけです。

しかし、欧米の高等教育機関では、教授に次ぐ地位の先生は、教授の補佐をすることが職務の優先事項ではありません。独自の研究を進めます。「Publish or Perish」(論文を書け。さもなくば滅びよ)が研究者本来の姿でありますから。

もちろん日本でも、教授の補佐をメーンの仕事とするのではなく、独自に研究を進める助教授の皆さんもたくさんいらっしゃったわけです。法律に書いてある内容と現実がそぐわないので、これを改正する必要がありました。

そこで、教授に次ぐ立場の先生を新しく定義し直して「准教授」という名称にし、「Associate Professor」という訳語を当てるようにしたのです。

改正された学校教育法によれば、
「准教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者であって、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する」
となっています。
■「助教」という職ができました!

准教授の独立性が保証されたような改正ですが、その代わりに「助教」という職種ができました。これまでは「助手」「研究助手」と呼ばれた職種に就いていた人の多くがこの職種になりました。英語では「Research Associate」です。

学校教育法では、
「助教は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の知識及び能力を有する者であって、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する」
となっています。ただし、現在も「助手」という職種は残っています。

■大学の先生の階級はこのようになっている

というわけで、現代の高等教育機関の先生の階級は、下世話な言い方で恐縮ですが「偉い順」に下のようになっています。

教授(Professor)
准教授(Associate Professor)
講師(Lecturer)
助教(Research Associate)
助手(Research Assistant/Assistant)

※……英語表記は一般的なものを記載しています。また、大学によって他に職位、呼称がある場合もあります。

「学校教育法の改正で呼称は変わったけど、仕事の中身は別に変わらないよ」という話もありますが、ともあれ現在の「象牙の塔」での職位はこうなっているのであります

(高橋モータース@dcp)