80年代の空気感たっぷりのホンダ初代「クイント インテグラ」といえば山下達郎!? ホンダらしい個性的なクルマでした【カタログは語る】

クイントの後継モデルとして1985年にデビュー

1980年代ホンダ車は「プレリュード」や「バラードスポーツCR-X」など個性的なクルマが目白押しでした。そんな中で5ドアハッチバック「クイント」の後を継いで1985年に登場したのが「クイント インテグラ」。3ドアクーペ、5ドアセダン、4ドアセダンと展開し、インテグラシリーズの始祖となったモデルは2025年で40周年を迎えます。当時のカタログを通じて振り返ります。

山下達郎の曲がCMとマッチしていた

初代「クイント インテグラ」というと何をおいても思い出すのは、1985年2月のデビュー当初にオンエアされた最初のTV CMだ。見覚えがある方ならおわかりだと思うが、映像は長身のモデルの男子2人(後に女子2人、男女1組のバージョンへと続いた)がクイント インテグラに乗って海辺を走るじつに爽快なシーン。楽曲は山下達郎の「風の回廊(コリドー)」で、これが映像にじつにマッチしていた。

筆者は当時も今も「ヤマタツ」のアルバムはひととおり揃えているファンのひとりでもあるので「おぉ!」と反応を示したのは言うまでもなく、その後「僕の中の少年」(1986年)、「First Luck―初めての幸運(しあわせ)」(1987年)、「マーマレイド・グッド・バイ」(1988年)と楽曲が続けざまに起用されたこともあり(1987年の「踊ろよ、フィッシュ」はANAの沖縄キャンペーンのタイアップ曲だった)、今でもこうして原稿がスラスラ書けるほど、筆者の中で初代クイント インテグラとヤマタツは「紐付け」られている次第。

なお当時配布された広報資料には「風の回廊(コリドー)」は「クイント インテグラのために作詞・作曲し、自らが歌うオリジナル作品」と紹介があったほか、ヤマタツのオリジナルアルバムでは1986年リリースの『POCKET MUSIC』に収録されている。

見るからに斬新でスタイリッシュな印象だった

ところでもともと「クイント」は、2代目「シビック」(1979年)の3BOXセダンとして登場した「バラード」(1980年)の5ドアハッチバック版として1980年に登場。車名のクイントは元は「5ドア」にかけたもので、当時の提携先だったローバー版は「クインテット」とされていた。

当時のホンダのラインアップではシビックと「アコード」の間を埋めるモデルで、ホイールベースはシビック5ドアと共通だったセダンバラード(2320mm)より40mm長い2360mm。初代「プレリュード」を扱うベルノ店での取り扱い車種としての登場だった。が、欧州実用車調のスマートさが売りのはずの5ドアだったが、ホンダの思惑とは裏腹に日本市場での盛り上がりは今ひとつ。そこで新たに「インテグラ」の名を付加した新型へバトンタッチすることになったのだった。

1985年にデビューしたホンダ初代クイント インテグラをカタログで振り返る

ピュアスピリットインテグラ誕生」、「それは、DOHCロマン」。カタログを開くとそんなコピーが目に飛び込んでくるクイント インテグラは、見るからに斬新でスタイリッシュなクルマの印象だった。とくに当時のプレリュード(2代目)と同様にリトラクタブルヘッドランプを採用した低いノーズは、それまでの実用車然としていたクイントとは打って変わって、スペシャルティカーと呼んでもいいほど。当時のホンダ車でいうと、前述のプレリュードのほか、「ワンダー シビック」から派生した「バラードスポーツCR-X」など、魅力的な個性派が揃っていたが、クイント インテグラも間違いなくその一角に肩を並べるクルマといえた。

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ホンダ クイント インテグラ:クイントからバトンタッチする形で1985年2月にデビュー