
ボルネオ島で目撃されたイリエワニの奇妙な行動が注目を集めている。
水中から前足を突き出し、まるで溺れているようにバタつかせているのだ。その姿は人間を引き寄せるための罠のようにも見えるが、実際はどんな目的があるのだろう?
この謎めいた行動に様々な憶測が飛び交っている。
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イリエワニが水中で溺れたふり?
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インドネシア、ボルネオ島に生息する野生のイリエワニが、前足を水面から突き出し、5本の指を開いたり閉じたりしながら、バタバタと動かしているところをが発見され、目撃者によって撮影された。
イリエワニが本当に溺れているとは考えにくい。遠くから見ると、まるで人間が溺れているかのようにも見えることから人間の真似をしていると考える人も多い。
地元の人々の中には、「イリエワニが溺れている人間の動きをまねて、助けを求めているように見せてかけ、人を引き寄せて襲おうとしている」と考えている人もいるようだ。

イリエワニによく見られる捕食行動の一種と専門家
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しかし、ワニの生態に詳しい専門家たちは、このような説を否定している。
オーストラリアのチャールズ・ダーウィン大学で人間とワニの関係について研究しているブランドン・サイドロウ氏は、「この行動は特に珍しいものではない。食事中の動きと考えられる[https://au.news.yahoo.com/eerie-crocodile-tactic-in-viral-video-debunked-by-experts-064553327.htm]」と語る。
サイドロウ氏によれば「デスロール」を水中で行っている可能性が高いという。デスロールは捕食行動の一種で、獲物を口にくわえながら体を回転させたり手足を動かしたりする行為で、獲物を引き裂きやすくするための動作だと説明している。
さらに、サイドロウ氏は「ワニが人間を誘い込むような行動を学ぶことは不可能だ」とも付け加えた。
ワニがそのような複雑な行動を意図的に取るには、学習能力や知能が必要だが、幸いにも今のところ、そのような能力は持ち合わせているワニに出会ったことはないという。
フロリダ州立大学の生物学教授、グレゴリー・エリクソン氏も、「ワニが人間を誘い込むために溺れているふりをするというのは、前例のない話だ」と語る[https://www.newsweek.com/are-crocodiles-drowning-lure-humans-water-viral-video-experts-2012690]。
エリクソン氏によれば、ワニはとても用心深い捕食者で、獲物に気づかれないよう静かに忍び寄るのが得意だという。そのため、人間を誘い込むような極端な手段に出る必要はないと指摘している。

誘われてなくてもイリエワニには違づかない方がいい
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この行動は人間を誘っているわけではないことがわかったが、それでも専門家たちは「イリエワニは非常に危険な野生動物であり、絶対に近づいてはいけない存在だ」と警告している。
イリエワニは世界最大級のワニで、成体の体長は4~7mに達し、体重は1トン近くになることもある。
また、海水と淡水の両方に適応できる能力を持ち、東南アジア、オーストラリア北部、インドの沿岸地域、さらには西太平洋の島々にまで広く分布している。日本では奄美大島、西表島、八丈島などで発見例がある。
その強力なアゴは骨を簡単に砕く力を持ち、その攻撃性と貪食さから、しばしば「人喰いワニ」として知られている。
歴史上、特に戦争中の東南アジアでは、漂流者や兵士がワニの標的になったとする逸話が多く残されている。
BBCの報道[https://www.bbc.com/news/world-asia-67004770]によれば、過去10年間でインドネシアでは1,000件以上のワニによる襲撃が記録され、そのうち450件以上が死亡事故に繋がっているそうだ。

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