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スペックだけ上がって(余計な味付けなしで)新登場!

 以前、HDMIケーブルを無線化できるヒット製品EZCast Pocketをご紹介した。そして今回、その正統進化バージョンにあたる「SP Cast Pocket 4K」を試用することとなったのだが、これがまた想像以上にスゴかったので語っていきたいと思う。

 この「SP Cast Pocket 4K」、実はすでに2024年末に発売済み。前モデルが非常に人気を博したこともあり、記事公開時点では売り切れている可能性もあるが、まずは多くの人にこの製品の存在を周知したい。

 コンビニスイーツに「美味しくなって新登場!」というシールが貼られていて、本当に美味しくなっていたことは歴史上皆無だが(偏見)、この「SP Cast Pocket 4K」の場合、基本性能は変わらず「スペック向上で新登場!」なのだ。特に前モデル、EZCast Pocketを使ったことのあるユーザーならこのありがたさがわかるはず。さっそく紹介しよう。

ワイヤレスで4Kディスプレーに画面を伝送「SP Cast Pocket 4K」

 「SP Cast Pocket 4K」は、発売元のプリンストンの製品紹介では「4K対応ワイヤレスプレゼンテーション」とカテゴライズされているが、端的に言えばPCやタブレットなどの映像と音声をワイヤレスでディスプレーへ伝送する製品だ。

 一般的に普通のHDMIケーブルでデバイスとディスプレーを接続するときには、その両端をそれぞれに差し込むだけだと思うが、この「SP Cast Pocket 4K」も、ケーブル同様簡単に使える。

 「SP Cast Pocket 4K」は、無線機能を搭載した「送信機(TX)」と「受信機(RX)」とのセットで利用する。

 PCなどデバイス側のHDMIポートに送信機を接続し、給電用のUSBケーブルを接続、そしてディスプレー側のHDMIポートには受信機を接続してこちらにもUSBケーブルで給電、両者をペアリングすることでワイヤレス接続が完了する。もう少し詳細な手順は後述するが、とにかく非常に簡単、シンプルに接続が完了するのだ。

 「デバイスとディスプレーを接続するケーブルが邪魔!」という、単純ではあるが意外と重要なニーズに的確に応える製品が「SP Cast Pocket 4K」だ。その機能は、送信機側のデバイスの画面を複製、もしくは拡張して受信機側のディスプレーで表示するというもの。

 たとえば、会議室の大型ディスプレーに自分のPCの画面を映す場合には「複製」、テレワークで外付けディスプレーに接続する場合は「拡張」、という具合だ。

待望の「送信機2台セット」も発売

 前モデルから「SP Cast Pocket 4K」への最大の進化は、対応する最大解像度がフルHD(1920×1080)から4K(3842160)にスペックアップしたこと。

 4Kディスプレーの価格がこなれてきたこと、そしてテレワークでフルHD以上の画面に拡張したいというニーズに応えたということになるだろう。

 また、「SP Cast Pocket 4K」は1台の受信機に最大7台までの送信機をペアリングし、切り替えて画面表示が可能となった。

 つまり、机上のノートPCと机下のデスクトップPCにそれぞれ送信機を接続し、1台の外付けディスプレーに受信機を接続して画面を適宜切り替えられるというわけだ。自宅で使う場合、ますます都合の良い製品になったと言えるだろう。なお、この仕様変更に伴い「送信機2台セット」も別途発売されるという。

 EZCast Pocket同様、送信機の接続インターフェイスがHDMIタイプとUSB Type-Cタイプの2種類を同時発売している。これは送信機側(PCなど)のデバイスが「DisplayPort Alt Mode」に対応していることが条件となるが、送信機側の給電は不要となるメリットがあり、接続時の利便性がアップする。

 「SP Cast Pocket 4K」の送信機と受信機の伝送距離は見通し距離で約30m。さまざまな機器が混在するオフィスでは15mほどと考えれば良いだろう、とは言えEZCast Pocket同様に、1つの部屋内で使うぶんには不便を感じないはずだ。

 「SP Cast Pocket 4K」は、送信機側がHDMI接続の場合はデバイスのOS問わず使用可能で、USB Type-C接続の場合はiOS/iPadOS/Android/Windows/macOSChromeOSをサポートする。

 サイズは幅170×奥行40×高さ16mm、重量は送信機受信機ともに約43g、USB Type-C版の送信機は約36gと軽量だ。受信機側は「差しっぱなし」で運用することが多くなると思うので、サイズを気にしなければならないケースは多くないだろう。

 入力最大解像度3842160@30Hzで、出力解像度は1280×720@60Hz、1920×1080@60Hz、3842160@30Hz。会議室でも4Kディスプレーチョイスするケースが増えているはずなので、EZCast Pocketから「SP Cast Pocket 4K」へ乗り換えを検討するのにちょうど良いタイミングではないだろうか。なお、著作権保護技術はHDCP2.2に対応しているので、4Kコンテンツのミラーリング表示に支障はない。

4Kテレビをワイヤレスで活用! 遠隔接続がこれほど快適だとは

 さっそく「SP Cast Pocket 4K」を試用してみよう。さっそく4K対応ディスプレーのHDMIポートに受信機を接続し、付属のUSB Type-Cケーブルも接続して給電。ディスプレーに待機画面が表示されたら準備完了だ。

 送信機はまず仕事用のノートPCに接続してみた。

 こちらもHDMIポートに送信機を接続してUSB Type-Cで給電する。1台の受信機に対して1台の送信機を接続する場合は、しばらく待つ(約10秒ほど)ことで送信機のLEDランプが点滅から点灯に変わり、ペアリングが完了。画面が投影されることとなる。初回かつ1対1のペアリングについては非常に簡単で、それこそ有線ケーブルを接続する感覚で終了する。

ボタン1つで投影元を切り替えられる簡単操作がうれしい!

 せっかくなので、2台目の送信機を接続してみよう。受信機が稼働している状態で、1台目の送信機の「ミラー/ペア」ボタンを押して投影をオフにする。2台目の送信機としてUSB Type-C接続タイプをiPadに接続し、電源をオンにする。なお、USB Type-Cタイプは外部給電不要なので接続するだけで電源はオンになる。

 次に受信機の「リセットボタンを長押しして画面に「Release the buttton to pair with Transmitter」と表示されたら準備完了。今度は送信機の「ミラー/ペア」ボタンを長押しし、LEDランプが点滅したら指を離すとペアリングが完了する。

 以降は、各送信機の「ミラー/ペア」ボタンを押下して投影元(ノートPCiPad)を切り替えることが可能となる。

 一度ペアリングすれば各デバイスの電源がオフになった場合も、送信機/受信機のペアリングは解除されないので安心。再度接続する場合は受信機側をオンにして待機画面が表示されたら受信機をオンにして約10秒ほど待てばすんなりと接続が完了する。

 接続したノートPCは内蔵液晶がフルHD表示までなので、「SP Cast Pocket 4K」で拡張した4Kディスプレー側を4K設定にしてみる。当たり前だが画面範囲が4倍になって作業も捗りそうだ。

 4Kの動画コンテンツを表示してみたが、特段問題なく映像も音声も伝送されているようだ。4K表示の場合、リフレッシュレートが30Hzになるのだが、一般的な作業やYouTubeなどでの動画鑑賞においてはほぼ気にならなかった。もちろん遅延やちらつきについても同様だ。

 2台目のiPad Airについては、ミラーリングのみの画面伝送となり、解像度も変更できなかったものの、忠実な画面伝送という点ではHDMIタイプと同様の画質、音質で画像や動画を楽しめた。

自室のゲーム機とリビングのテレビを無線接続して楽しむ荒業も!

 さらに、気になるゲームでも試用してみた。と言っても1台目の送信デバイスとして接続したノートPCでは力不足ということで、思い切って別室にあるゲーム用PCを「SP Cast Pocket 4K」の送信機と接続してみた。

 部屋をまたいだ運用になったが、距離的には数mという感じで遮蔽物も多くないため、すんなり接続できた。Bluetooth接続のコントローラーを使ってゲームプレイしてみると、普通に作業部屋のディスプレー前でプレイするのと同様の遊び心地だった。

 なおリフレッシュレートが30Hzということもあり、FPSプレイヤーには向かないかもしれない。筆者の場合は、最近リバイバルされたスーファミ時代のRPGタイトルを高画質でプレイできたので、まったくもって問題はなかった。

 同様に、作業部屋にあるPS4にも「SP Cast Pocket 4K」を接続。これもまた拍子抜けするほど簡単に接続できた。残念ながら4Kに対応していない旧モデルなので4K画質については確認できなかったものの、プレイに支障はなかった。

 いずれにせよ、ワイヤレスコントローラーの届く範囲であれば「SP Cast Pocket 4K」を使うことで、作業部屋のゲーム用PC画面をリビングのディスプレーに映してゲームプレイできるというメリットは大きいと感じた。「これぞ完全ワイヤレス環境!」とでも言いたくなる気分だ。

まとめ:カンタン無線接続に特化した便利ガジェットは買いだ!

 4Kディスプレーの価格がだいぶこなれてきた昨今、自宅や会議室に4Kディスプレーが導入されることはもはや珍しくなくなった。4K対応の「SP Cast Pocket 4K」は、そんな状況ではまさに「待ってました!」というような新製品だ。EZCast Pocket同様、とにかく「差せば使える」という即応性がうれしい。前モデル同様、「SP Cast Pocket 4K」も注目を集めるだろう。

 テレワークはもちろん、PCとディスプレーレイアウトスッキリしたいと考えている人にとってもおすすめだ。ゲームプレイについては、リフレッシュレートの制限からガッツリシビアなゲームでなければ十分使えるものの、その点を踏まえると基本的に4K解像度は仕事向きと考えるべきだろう。

 「SP Cast Pocket 4K」の機能と使い方は実にシンプルだ。つまり単性能を面倒なく実現することに特化した神製品であるということ。ディスプレーケーブルに少しでもわずらわしさを感じているのなら、すぐさま買いのアイテムだ!

ついに4K対応! PCに差すとHDMIがワイヤレスになる「SP Cast Pocket 4K」が便利過ぎるので語りたい