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 雨が降る中、その犬は小さな我が子を口にくわえながら、急いで目的の場所を目指した。そこは動物病院である。

 弱り果てた我が子を救いたい一心で、母親は獣医に助けを求めに来たのだ。その様子は玄関に設置された監視カメラにとらえられていた。

 トルコイスタンブールでの出来事である。その経緯と決心を見ていこう。

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我が子を救いたい一心で動物病院を訪れた母犬

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 2025年1月13日11時半頃、イスタンブールにある「ベイリクドゥズ・アルファ動物病院(Beylikdüzü Alfa Veteriner)」の監視カメラが雨の中、子犬を口にくわえながら病院の正面玄関までやってきた犬の姿を捕らえた。

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 母犬は子犬を玄関の前に降ろすと、映像を見た獣医技師のエミールさんがすぐにやってきて、子犬の様子をチェックした。

 子犬は衰弱しており動いていない。すぐに処置が必要な状態だ。エミールさんが子犬を病院の中に連れて行くと、母犬もついてきた。

 子犬の心拍を確認したエミールさんは、かすかな鼓動を感じ取った。「もしかしたら助けられるかもしれない」と、彼と獣医師のバトゥラルプ・ドガンさんは、急いで蘇生作業を開始した。

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 彼らはアドレナリン注射を施し、低体温症に陥っていた子犬をドライヤーで体を温めるなどの処置を行った。

 その間母犬は二足立ちで治療台の上にいる我が子の様子を心配しながら、ずっと見守っている。

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 そうしてこの子犬は一命をとりとめ、現在は回復に向かっているという。母犬が病院に駆け込み、すぐに処置を行わなければ助からなかったかもしれない。

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母犬がこの病院に子犬たちを託した理由

  実はここの獣医師たちは、この出来事の前に、この子犬とよく似ていて、同じように衰弱した子犬を治療を済ませたばかりだった。

  その子犬を連れてきたのは、ある親切な女性で、道端で衰弱しているところを発見し、見るに見かねて運び込んできたのだが、なんとその子犬もその母犬の子だった。

 母犬は女性が我が子の1匹を病院に連れて行くのを見て、ここに連れていけば子供たちを救ってくれるかもしれないと思ったようだ。

 更に母犬は後からもう1匹子犬を連れてきたとそうだ。獣医師たちは手を尽くしたが、残念ながら3匹目の子犬の命を救うことができなかった。

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 しかし、母犬と親切な女性によって、2匹の子犬たちを救う事ができた。

 現在2匹の子犬と母親は一緒に病院に保護されおり、全員順調に健康状態を取り戻しているという。完全に回復する日も近そうだ。

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母犬には避妊手術の痕跡

 獣医師のドガンさんによると、この母犬は数週間前に子犬たちを出産したが、その後、避妊手術を受けさせるために、何者かによって子犬たちと引き離された可能性が高いという。

 その人はもしかしたら母犬だけを見かけて、子犬たちがいることを知らなかったかもしれない。

 母犬の愛情と親切な人々によってつながれた命。病院側は、二度とこの親子が悲しい思いをすることがないよう、見守っていくという。

 動物福祉が充実しているトルコならではの話だ。

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