入学しない大学にも入学金を支払う「二重払い」を経験した学生が約3割にのぼることが、若者有志による「入学金調査プロジェクト」が行ったアンケート調査で分かった。

さらに、1割以上が出願数を減らすなど入学金の二重払いが生じないように考慮したと回答。1月22日文部科学省で会見を行った同プロジェクトの発起人、五十嵐悠真さんは「決して少ない人数ではないと感じている」と危機感を示した。

●当事者からは「心苦しい」「不安を覚えた」との声

調査は日本の高等教育における入学金について、問題意識を持つ20代の若者有志で結成した「入学金調査プロジェクト」が実施。2024年10月30日から11月2日にインターネット上で行われ、直近3年以内に大学を受験した男女1039人から回答を得た。

アンケート結果によると、入学金の二重払いを経験したと答えたのは281人(27.0%)。「入学するか分からない段階で入学金を払う」可能性のある入試方法を選択肢から外したと回答したのは141人(13.6%)だった。

五十嵐さんは「大学進学者数が50万人から60万人だったとしたら、毎年7〜8万人強の人が(進路の選択肢を広げることを)諦めている。決して少なくない」と強調した。

実際に当事者からは「受験料で30万使ってしまっている中で、さらに入学しない大学に30万支払うというのは、親に対してとても心苦しかった」「兄弟の学費に影響が出てないかや家族の仕事量が増えたりしないか不安を覚えた」といった声が聞かれたという。

●約9割の学生が二重払いを問題視

入学金の二重払いは、納入期限が第一志望の大学の合否発表より前に設定されていることから発生する。全国大学生活協同組合連合会による2024年の調査によると、入学しない大学に支払う納付金は平均約25万円にものぼる。

今回の調査でも入学金の二重払いについて、「とても問題だと思う」と回答したのは410人(39.5%)。「問題だと思う」と回答したのは501人(48.2%)で、約9割が二重払いを問題視した。

さらに、同プロジェクトは入学金について、奨学金や授業料といった他の学費に比べて、議論が軽視されがちだと指摘。

会見に参加したメンバーの1人は「奨学金は10年、20年と付き合っていく問題なのに対して、入学金は一度払ったらおしまい。誰かが忘れないでと声を上げなければいけない」と訴える。

同プロジェクトでは調査結果を基に、文部科学省や大学に対し、合格発表を前倒しするなどして、二重払いが発生しなくなる仕組みづくりや、二重払いそのものを無くすように要望する予定としている。

行かない大学にも入学金、“二重払い”約3割が経験 有志グループが制度変更を要望