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「近道をしてはならない」

半導体大手NVIDIAの自動車部門の責任者によると、完全自動運転車の実用化には「近づいておらず」、公道で本格的に利用されるようになるのは早くても2030年以降になるという。

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カリフォルニア州に拠点を置く同社は、先進的なコンピューティングシステムとソフトウェアを開発しており、メルセデス・ベンツボルボ、JLRなど多数の大手自動車メーカーが次世代の自動運転技術のために採用している。

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現在の自動運転車の「ぎこちない」挙動を解消するには、時間と高度なハードウェアが必要だ。    NVIDIA

NVIDIAは、自動運転技術を背景とした自社製半導体の需要増大を狙い、自動車業界でのプレゼンス拡大に多額の投資を行っている。しかし、AUTOCARの取材に応じたNVIDIAの自動車部門責任者アリ・カニ氏は、真の自動運転車は「2020年代には登場しない」と語った。

さらに同氏は、「これは次の10年で実現する驚異的な技術だ。我々はまだその段階に達していない。非常に難しい」と付け加えた。

一部のクルマは、特定の状況下でのみ使用できる限定的な自動運転機能を実装しているが、クルマが本当に自律して走行できるようにするには、コンピューティング能力とテクノロジーのさらなる進歩が必要だと、カニ氏は言う。

「現在開発中のソフトウェアは、昨年開発していたものとはまったく異なる。現在、当社は映像付きのChatGPTのような大規模言語モデルに取り組んでいるが、3年前には自動車業界でそのようなことを行っているところはなかった」

「そのようなモデルには、もっと強力なコンピューティング能力と広いメモリ帯域幅が必要だ。LiDARやレーダーなどのセンサー類をより多く搭載し、安全性を確保するための冗長アルゴリズムも必要となる。そして、それらを並列に実行する必要があるため、高いコンピューティング能力が求められる」

カニ氏は、現在の世代の運転支援システムは、特定の状況下での行動を事前に定義するプランニングソフトウェアによって機能しているが、真の自動運転車にはより自然な行動が求められると述べた。

「計画されたルールに従っていると、ぎくしゃくした挙動や、ゴーストブレーキ(存在しない危険をセンサーが誤って検知し、ブレーキをかけること)のような動きが現れる。すると、人は『このクルマは好きじゃない。安心できない』と思うだろう。しかし、次世代のクルマは行動を学習するので、自然な理解ができる。そうすれば、『このクルマは落ち着いてスムーズに走行している』と思うはずだ」

カニ氏はまた、自動運転技術の開発を急ぐことへの注意も促した。「業界は、この件に関しては慎重に進める必要がある。1社でもミスを犯せば、業界全体が数年後退することになる。だから、最も責任ある方法で行動し、近道はしてはならない。本当に安全であることが証明されて初めて、実行できるのだ」


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