鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本

突然ですが、みなさんはこれなしでは生きていけないと思うほど好きなものってありますか?

推しでも食べ物でも、何でも大丈夫です。

私は絶対にこれというものがありまして。

それが「漫画」です。

今では生活の一部になっていて、寝る前は漫画を読まないと一日が終われません。

実家には、「床が抜けそうになるから、もうこれ以上買わないでね。」と釘を刺されるくらいの量の漫画がありますし、それくらい大好きでなくてはならないものです。

そんな漫画好きとして、絶対に読んでおかなくてはならないと思っていた作品があります。

それが『これ描いて死ね』です。

タイトルに入っている言葉で一瞬ビックリしてしまうかもしれないのですが、凄くハートフルな作品になっています。

あらすじについてざっくりと説明しますと、主人公は、伊豆王島に住む高校1年生の安海相(やすみあい)。

漫画を読むことが大好きな安海は、あることがきっかけで、自分で漫画が描けることに気づきます。

高校の漫画同好会を舞台に、少女たちのまんが道を描いた漫画家成長物語です。

この物語はまずとにかくキャラクターがいいです。

主人公の安海相ちゃんをはじめ、相ちゃんの同級生のマイペース少女・幸や、絵が上手で少し引っ込み思案で優しい性格の心ちゃん、漫研顧問の手島先生、人気漫画家の光ちゃんなど、みんなとてつもなく魅力的な人物ばかりです。

そして魅力的なのはキャラクターだけではありません。

斬新なコマ割りや画面構成にもこの漫画の良さが詰まっているんです。

例えば、初めて漫研で合宿に行くことになったとき。

安海家をはじめとする漫研部員それぞれ4人がご家族に許可を得る描写が、4つ同時進行で一気に進んでいくんです。

文字だと伝わりにくいのでぜひ2巻を手に取っていただきたいのですが、普通まずは安海家の許可取りを2ページ、次のご家庭を2ページのように進めると思うので、新しさとこの作品らしさを凄く感じました。

他にも、作中に登場する主人公達が描いた漫画が、実際に読者も丸々全部読めるようになっていたり。

その漫画を描いた原稿用紙がどのようなものだったか、または漫画を描いたノートの形状がどのようなものだったかも分かるように描かれているのも新鮮でした。

そしてそれぞれの漫研部員の絵柄や、描く物語の内容にも注目です。

天才漫画家と言われている光ちゃんの漫画は、SNSで目を引きそうな黒背景に幻想的な絵柄になっていたり、美術部員で心優しい性格の心ちゃんの絵柄や内容はハートフルで温かいものになっていたり。

相ちゃんの作品は、絵は荒削りではあるものの、お話の勢いと本人の人柄が全面に出たキャッチーさ溢れるものになっていたり。

このようにそれぞれ全く違ったものになっているんです。

漫画を題材にした作品というのは今までもたくさんありましたが、ここまでそれぞれが描いた作品ががっつり登場して、説得力のあるものはかなり珍しいなと個人的には感じました。

その他にもこの作品の中で魅力的だと感じたことが山ほどありまして。

心ちゃんが息苦しいと感じた時に海に沈んでいく描写だったり、光ちゃんと幸ちゃんの正反対同士だからこその気付きの描写だったりととにかく良いところがたくさんで、書ききれないくらいです。

この作品を読んでいると、自分ももっと成長したいという想いが強くなっていきます。

きっとこの作品を読んだ方全員が、明日を生きる活力を貰えるんじゃないかと思います。

そして、この作品を読んだ皆さんが、読む前よりもっともっと漫画が好きになると思うのです。

そう感じるくらい漫画愛に溢れたこの作品、ぜひ読んでみていただきたいです。

鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本