
断捨離とは——新たに手に入りそうなものを「断ち」、家のいらないものを「捨て」、物への執着から「離れる」こと。これによって人は心まで解き放たれ、もっとご機嫌な人生を生きられるという。
そんな理念のまったく反対側にいるのが、オタクだ。新しいものはどんどん欲しいし、買ったら捨てられないし、物への執着はすごくある。部屋は散らかるけれど、好きなモノに囲まれたオタク人生は最高。
だが本音を言えば、「本当はモノを整理してキレイな部屋で暮らしたい」「憧れのインテリアにして人を呼びたい」といった願望もあるようで…。
「オタクの断捨離」では、漫画、アクスタ、コスプレグッズ、服…などを集めるオタクの実態を観察しつつ、漫画家・カレー沢薫氏&やましたひでこ氏とともに、愛すべきオタクたちにとって快適な“断捨離”を模索していく。
今回登場する石原さくらさんは、「マツコの知らない世界」(TBS)に出演したこともあるという猫専門のカメラマンだ。デボンレックスという日本ではまだ珍しい種類の猫のブリーダーでもあり、東京の文京区にある猫カフェ「100% Neko」の運営にも携わっている。
「実生活でも猫6匹と一緒に暮らしている」と聞くと、さぞ部屋が散らかりやすいのでは…と想像するが、定期的に断捨離を行っているため、意外とモノは多くないそうだ。子供の頃から、テスト前などの大事な予定の前にかぎって部屋を片付けたい衝動に駆られるらしく、今でも数ヶ月から半年に一度、仕事の締め切りが迫っているときなどに部屋を片付ける。
「現実逃避かもしれないけど、部屋を綺麗にしてすっきりしてから“よし!”と仕事を始めるとスピードアップする気がします。自分では悪い癖だと思っているんですけど…」
ペットは子供の頃からたくさんいて、動物が好きだった。実家で飼っていた猫は多い時で6匹、そのほかにチャボなども。今でも忘れられないのは、4歳から20歳まで飼っていた犬で、結婚したいくらい好きだったとか。ところが、最期を看取るとき、足腰が立たないのに尻尾を一生懸命振っている姿を見ていて、とてもつらかったという。
「言い方は難しいですが、犬はバディ感が強い分、飼い主にも責任がズシリとのしかかります。猫にはそれがなく、最長20歳まで生きた猫も、最後まで自分で食べ、トイレに行っていました。自立していることも、猫をパートナーにしようと思った理由のひとつです」
断捨離マスターと言えそうな生活を送る石原さんだが、悩みがないわけではない。一番困るのは、次々と増える子どものおもちゃ。時には、ぬいぐるみ置き場の中に猫が寝ていたり、ぬいぐるみの上に猫が乗っかったりしていることも…。自分では「散らかすし、片付けられない」と感じているそうだ。
引用----
まず、これを断っておきましょうか。
断捨離は、散らかっていることは気にしないのです。そう、アクティヴな散らかりはあってあたり前。それよりも、なにより嫌うことは、整然としたモノの堆積なんですね。
そして、断捨離で育んでいくのは、高い美意識。
日常の生活空間、生活時間を、常にクリエイトしアートにしていくのが断捨離の目論見。
それは、とりも直さず、人生のクリエイトであり、人生をアートにしていくことにほかならないはず。
猫と共にある居住空間、そのものが美しいアート空間。
猫の写真の数々、そのものが美しいアート作品。
生活も仕事も猫と一緒にクリエイトし続けていくアート人生。
さくらさん、お見事というしかありません。
ぬいぐるみ置き場の中に猫が寝ていたり、ぬいぐるみの上に猫が乗っかったりしている…。
これも、ご愛嬌。
そうですね、増えていく子供のおもちゃも、定期的に断捨離すればいいだけのことだから。
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中学生の頃に飼い猫の写真を撮り始め、今では猫との対話を楽しみながら撮影する猫専門カメラマンに。もう一つの顔は猫のブリーダーで、珍しい猫たちと触れ合い、子猫との出会いを提供する猫カフェまでクリエイトしてしまった石原さん。好きなものを、自分の生活にどのように取り入れていくのか…。断捨離で育まれた高い美意識で人生のクリエイトしていく石原さんの生き方に、刺激を受けるオタクは少なくないはずだ。
〈Profile〉
猫専門の写真家・石原さくらさん Sakuraquiet
https://sakuraquiet.me/100-neko/100percent-neko-info/
猫写真家で愛玩動物飼養管理士。東京都出身、東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。雑誌『ねこのきもち』などでの写真掲載。広告撮影など。写真教室を定期的に開催している。
〈Information〉
100% Neko by Cattery Sakuraquiet
https://www.instagram.com/100_neko/
東京都文京区にある猫カフェスタイルのキャッテリー「ヒャクパーセントネコ」。活発で人なつこい猫・デボンレックスたちに会える! 子猫たちの見学や、直接のふれあいもできる。

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