
ついに人間とロボットが肩を並べてマラソンをする時代が到来したようだ。ロボット技術は驚くほどの進化を遂げ、スポーツの世界に挑むまでに成長している。
中国・北京で2025年4月に開催される「人間とロボットのハーフマラソン」では、12,000人の人間ランナーと最新鋭の二足歩行ヒューマノイドロボットが21kmを走り抜く。
これは世界初の試みであり、中国がロボット技術競争で優位に立つこと、さらに高齢化社会や出生率の低下といった国内の深刻な課題に対応するために、AIやロボット工学の開発を強化する取り組みの一環として実施されるものだ。
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世界初の人間とロボットのハーフマラソン
2025年4月、中国・北京の大興(ダシン)区で開催される「人間とロボットのハーフマラソン」は、スポーツとロボット技術の融合を象徴する画期的なイベントだ。
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12,000人の人間ランナーとともに、20社以上の企業が開発した最先端の二足歩行ヒューマノイドロボット(人型ロボット)が、21kmのコースを同じ条件で競い合う。
このレースに参加できるロボットには一定の基準が設けられている。
外観とサイズ:ロボットは50cmから2mの身長で、人型の構造を持つ必要がある。
動作性能:二足歩行や走行が可能でなければならず、車輪を使用するタイプは出場できない。
関節の動き:腰部から足の裏までの伸縮距離(脚の稼働範囲)は最低でも45cm以上であることが求められる。これは、ロボットが安定して歩いたり走ったりできるようにするための重要な基準だ。
操作方式:人工知能を搭載して自律的に動作するロボット(完全自律型)と、人間が遠隔操作するロボット(遠隔操作型)の両方が参加可能。
人間、ロボットを問わず、上位3名のランナーには賞品が贈られる予定だ。
注目のロボット「天工(Tiangong)」
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参加するロボットの中でも、特に注目されているのが「天工(Tiangong)」だ。
これは、中国の人工知能ロボット研究機関が開発した二足歩行型のヒューマノイドロボットで、時速10kmのペースで走行できる。
2024年の北京の別のハーフマラソンでは、天工が途中から人間ランナーに並走し、注目を集めた。
今回は初めて21kmのフルセッションに挑む予定であり、そのパフォーマンスに期待が寄せられている。
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ロボット技術と中国の戦略
このイベントは、中国がロボット技術の分野で優位性を確立するための取り組みの一環とされている。
中国では、高齢化や出生率の低下といった人口問題が深刻化している。 2024年時点で60歳以上の高齢者が総人口の22%を占め、労働力の減少が経済に与える影響は大きい。
このような背景から、自動化やロボット技術の導入が急速に進められている。
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国際ロボット連盟によると、2023年に中国で設置されたロボットの数は世界全体の51%に相当する27万6,000台に達したという。
特に、人型ロボットは工場での作業支援や高齢者のケアといった多様な分野での活用が期待されている。
中国政府は、ヒューマノイドロボットの開発を国家戦略の重要な柱に据えている。
例えば、杭州市ではロボット研究と製造を一体化したイノベーションシステムの構築を進めており、南京市は2024年から2026年にかけて高品質ロボット産業の発展計画を採用した。
また、四川省の天府新区では、ロボット技術の研究開発を促進するための補助金制度が導入されている。
さらに、中国は2025年8月にヒューマノイドロボットが陸上競技やサッカー、その他のスキル競技で競うイベントを計画している。

ヒューマノイドロボットがヨタヨタゆっくり歩く時代は終わりを告げ、すでに人間と対等にレースに出場できるようになっていたとはびっくりだ。
SFの世界の出来事は現実になることが多いが、まさにその世界がすぐそこにある。もはやロボットにロックオンされたら人間は逃げきれなくなるのかもしれない。あれ?この展開もSF映画で見たやつだ。
References: China to host world’s first human-robot marathon as robotics drives national goals | South China Morning Post[https://www.scmp.com/news/china/politics/article/3295384/china-host-worlds-first-human-robot-marathon-robotics-drives-national-goals] / World's first electric running humanoid robot 'Tiangong' open sourced, to accelerate robots into human life - Global Times[https://www.globaltimes.cn/page/202411/1322852.shtml]

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