
ユービーアイソフトは3月20日に、「アサシン クリード」シリーズ最新作となる「アサシン クリード シャドウズ」を発売する。
アサシン クリードシリーズは、歴史の陰にあって大きな役割を果たした、アサシンたちの物語を描くシリーズ。シリーズの多くでは、アサシン教団の一員のアサシンとして、宿敵となる「テンプル騎士団」と暗闘を繰り広げることとなる。
そして特徴的なのが、現代の主人公が、人々のDNAの中に眠る遺伝子記憶にアクセスすることで、その人の祖先の記憶を観ることができる装置「アニムス」を使用しているという点。これにより、さまざまな世界のアサシンの記憶を覗いているというのが、本作の主軸の設定となっている。
今回、発売に先駆けてメディア体験会に参加してきた。私はアサシン クリードシリーズすべてをプレイしてきたわけではないが、複数の作品は遊んだことがあるくらいだ。そのため、ド級のファン視点というのは難しいので、プレイしてみて率直にどういった点が面白かったのか、どこに興味が湧いたのかという点に焦点を当てて紹介したい。なお、今回プレイさせてもらったビルドは開発中のもので、製品版とは異なる場合があることは先に触れておく。
本作の舞台は、戦国時代の日本がモチーフとなっている。主人公は、伊賀者の忍「奈緒江」と、アフリカ人の「弥助」。弥助は織田信長に仕えるところから、奈緒江は父から宝を守ってほしいとお願いされるところから始まる。今回は、序盤のストーリーの一部、播磨に行った際のストーリーの一部をプレイした。
暗殺を好むなら奈緒江、バタバタなぎ倒したいなら弥助
本作では、弥助のストーリーパートと、奈緒江のストーリーパートがあるほか、どちらかを選択してプレイすることが多い。
奈緒江を選択すると、忍(アサシン)のムーブが必要となるため、どちらかというとシリーズ本来のステルスアクションが中心となる。かなりアクションが得意な人であれば敵の攻撃を避けまくって倒すということもできるだろうが、複数人に囲まれてしまうとそんなに無双することはできないだろうと、プレイしていて感じた。素早くパルクールで建物に登ったり、スルスルと敵の攻撃の合間を避けていくことはできるが、弥助と比べると体力も少ないので、敵の攻撃1発が重く、連続でダメージを食らうとすぐにゲームオーバーになってしまう。
そのため、建物によじ登って上から暗殺したり、気付かれないように背後に回り込んで暗殺しながら進めていくステルスアクションが基本となるわけだ(でなくてはクリアが難しいともいえる)。走り方が忍者走りだったり、飛び降りるときに前転したりと、忍らしさも感じることができた。
また、ステルスアクションらしく口笛を鳴らして気を引き付けたり、遠くからクナイで狙って暗殺といったアクションもある。誰にも気づかれずに1人ずつ……そして誰もいなくなった……というようなステルスメインのアクションが好みなら、奈緒江はピッタリといえるだろう。
逆に弥助は、正面から敵をなぎ倒し、バタバタと倒していくといったプレイスタイルが好きな人に合っている。ただ、奈緒江と比べたら頑丈だとしても、むやみやたらと戦っているとすぐにゲームオーバーになる。敵が攻撃を仕掛けてくると青い〇が表示されるときがある。この青い〇が出たときにタイミングよくパリイをすると、敵がオレンジ色になってひるむので、そこで連続でダメージを与えて、体力を減らしていく必要がある。とくに強めの敵は通常攻撃はしっかりと防いでくるので、このアクションから切り崩していくというのが、基本的な戦い方となる。
また、敵の武器や体の一部が赤くなるときもあり、そのタイミングでガードすると、敵の攻撃の勢いで弥助がひるんでしまい、隙ができる。赤くなったタイミングは、避けるのが最適解だと感じた。
なお、弥助の場合敵の体力が少なくなると、とどめのモーションが発動する。アクションがカッコいいのでおお! となったが、場合によっては首を跳ね飛ばすため、そういった描写が苦手という人は注意が必要かもしれない。
奈緒江の場合は基本バレてしまうと逃げるが良策だが、弥助の場合はそうでもないというのが、奈緒江との差。アサシン クリードシリーズの中でも、斧をもってなぎ倒していく「アサシンクリード ヴァルハラ」が好きだったという人は、弥助のプレイスタイルが合っているかもしれない。
武器は、奈緒江が刀、鎖鎌、短刀、弥助が刀、薙刀、金棒から選択できる。加えて、奈緒江はクナイを、弥助は鉄砲もしくは弓を使って遠距離から攻撃することも可能だ。武器によってプレイスタイルも変わるので、自分にあった武器を試して選択するといい。
戦闘および潜入に関しては、2人の性質が異なる主人公がいることでプレイスタイルの幅が広がり、奈緒江では潜入の緊張感、弥助では討ち入りの高揚感を味わうことができた。この辺りは、従来にはない面白い点といっていいだろう。
スキルツリーや装備の強化といったRPG要素も
戦闘は、アクション要素だけでなく、装備や熟練(スキルツリー)といったRPG要素もある。弥助と奈緒江はそれぞれ違ったスキルを持っており、駆使することでより敵を倒しやすくなる。単純なステータス強化もあるため、どうしても勝てないという場合は、この熟練を上げる作業が必要になるかもしれない。
また、武器や防具にはステータスがある。敵を倒すとドロップすることがあるので、武器や防具を拾ったら、ステータスを確認するといいだろう。
オープンワールドをより自由に
これまでのアサシン クリードシリーズでは、次行く場所のアイコンが明確に表示され、そこに行けば物語が進むというのが基本だった。しかし、本作ではオープンワールド内で“発見すること”を重視しており、従来のように明確な行く場所が指定されることはあまりない。
例えば、「要人を救出する」というミッションが与えられた際、要人の場所が表示されるのではなく、画面左上に「播磨にいる」「姫路の南東にいる」「射楯兵神社にいる」という3つのヒントが表示された。これをもとにマップを使って「播磨」「姫路の南東」の場所を調べ、そこまで行ったうれでマップの情報を更新し、射楯兵神社を見つけて要人を発見することになる。
この要素を楽しいと感じるか面倒と感じるかは人それぞれだろうなと思ったが、私は人を探すという行動をとるときに、得られた情報の中でマップ内を探索して自分の力で見つけるというのはより自然なことだなと感じ、リアル感があっていいなと思った。
なお、探索で困ったときはマップ上にある「?」に注目するといい。そこからミッションの糸口が見つかったり、あるいは探していた人物がいたりすることもある。
なお、シリーズ伝統として高い場所に登ってビューポイントからのシンクロという要素も残っているが、こちらも少し仕様が変わっている。シンクロしたらすべてのアイコンが明らかになるわけではなく、シンクロしたうえで「観察」をすることで、周囲の興味深い場所を発見できることになる。
ちなみに、明確なクエストマーカーのほうがいいという場合は「密偵」機能を使うと調査が簡単になる。加えて、行きたい場所まで白いマーカーが表示されるパスファインダー機能も用意されているので、探索要素ではなく素早くストーリーを負いたいという人は、こちらを使用するといいだろう。
美しい景観を歩く、走る
本作をプレイしていて感じたのは、景観の美しさ。日本の時代劇に出てくるような舞台は、自然が溢れていて、かつ古い家屋や神社、お城などもある。正直、アサシン クリードシリーズでこういった景色のオープンワールドの中を探索できるとは思っていなかった。なお、天気や気候の変動もあるようなので、そのあたりも気になるところだ。
また、奈緒江は屋根の上を移動することが多いのだが、瓦屋根をよじ登って駆け抜けるさまはまさに忍なので、テンションが上がるポイントといっていいだろう。そのほか、今回の試遊の間でも織田信長や黒田官兵衛といった歴史上の人物が登場する。アサシン クリードの物語の世界線で、こういった日本の歴史の人物がどのように物語に絡んでくるのかというのも、気になる点だ。
アサシン クリード シャドウズは、日本がモチーフになった舞台で、2人の特性が異なる主人公でそれぞれのプレイスタイルが楽しめるほか、より自由になったオープンワールドのシステムの導入など、これまでのアサシン クリードシリーズのいいところを残しつつ、新しい体験もできる作品になっていた。
ステルスアクションとバリバリ戦うアクションどちらも楽しみたい、アサシン クリードシリーズをプレイしていて、今回はどのような物語になるのか気になっているのであれば、本作もチェックしてみてはいかがだろうか。

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