
まさに偉業である。現地時間1月21日、2025年の米野球殿堂入り選手がMLB公式ネットワーク局『MLB Network』の番組内で発表され、有資格1年目となったイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が、日本人で初めて選出された。
【動画】衝撃の「爆肩」 イチロー氏が現役時代に見せたレーザービームをチェック
惜しくも発表前の予想であった満票選手とはならなかった。わずか1票だけ及ばなかったのだが、それでも野球の本場の殿堂入りで「99.7%」という得票率を集めた事実は、イチロー氏の功績の大きさを如実に物語っている。
異能ぶりは日米通算4367安打という大記録だけが示すわけではない。現役時代に群雄割拠のMLBで異彩を放ち、「天才」という言葉が代名詞とも言えた男は、さまざまな“ハイライト”を生み出してきた。
そのうちの一つが、2001年4月11日のアスレティックス戦で見せた矢のような送球だろう。
ライト前への安打を処理し、一塁から三塁へと進塁した走者を刺したシーンだ。「レーザービーム」と称される強肩ぶりを物語るプレーは、イチロー氏のキャリアを振り返るハイライト映像などには、必ずと言っていいほど組み込まれる。まさに伝説のシーンである。
その凄みは、他でもない刺された人間の言葉が如実に物語る。今回の米スポーツ専門局『ESPN』の取材に応じたテレンス・ロング氏は、「僕は何の躊躇もなく一塁から三塁まで行った。あの時も『よし、前にも一塁から三塁まで行ったことがある』と思っていた。でも、打球が飛んだのは彼の方だったんだ」と吐露。当時の状況を鮮明に解説した。
「彼がボールを捕る前に、僕はすでに二塁ベースから3、4歩は先に出ていた。だから僕は、『彼が僕をアウトにするはずがない』と思って、走っていた。でも、三塁手の目を見たら、彼がボールを見ているのがわかった。だから『とにかく滑ろう』って感じでスライディングの体勢に入った。でも、準備をしてすぐに、ボールは僕の目の前を通り過ぎていったんだ」
打球速度も決して早いとは言えなかった。ゆえに絶対的に走者優位のシチュエーションで、ロング氏には“余裕”があったが、イチロー氏の肩から放たれたレーザーのような送球はそれを許さなかった。
ロング氏は、当時の心境を振り返った上で、こう言葉を結んでいる。
「『なんてことだ、まさかあんな球を投げるなんて……』って思ったよ」
[文/構成:ココカラネクスト編集部]

コメント