
井上尚弥(大橋)が怪物たる所以を見せつけた。
1月24日、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)は、WBO世界同級11位のキム・イェジュン(韓国)と対戦。終始試合の主導権を握ったまま、4ラウンド2分25秒KO勝利。自身3度目の4団体王座防衛を果たすとともに、世界戦での連勝を24に伸ばした。
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スピードとパワー、そしてテクニックで挑戦者と凌駕した。約10日前に急きょ決まった相手がゆえに序盤こそ、睨み合いが続いた。だが、初回で早々と動きを見定めた井上は2ラウンド目から試合を掌握。4回、強烈な左フックを炸裂させてキム・イェジュンを後退させると、最後は教科書通りのワンツーでダウンを奪って趨勢を定めた。
バコンッという鈍い衝撃音と左目付近に青黒い痣ができたキム・イェジュンの顔つきが、井上が打ち込んだ打撃の破壊力を物語った。土壇場での対戦相手の変更というアクシデントにも「何も動じなかった」と強調したモンスターは、やはり強かった。
格の違いを目の当たりにした海外メディアも、井上の異次元さに舌を巻く。米ボクシング専門サイト『Boxing Scene』は、Xで「危険な行為だった」と批判を受けたキム・イェジュンのKO直前の挑発的なジェスチャーをクローズアップ。「彼は多くの人が予想していたよりもタフだった」と挑戦者の気骨を認めながらも、「4ラウンド目に自らパンチを要求したキムは残念ながら予想以上のパンチを受けた」と振り返っている。
「4ラウンド目が始まる頃にはイノウエはすべてを掌握していた。すでにキムは負傷したかのように混乱し、ロープ際に立たされていた。そして彼に残されたのは、痛みをごまかし、ダメージがないかのように見せる能力だけだった。
リング上のイノウエは相手に同情したり、心理戦を仕掛ける相手に気を取られたりするタイプではない。そして些細な兆候も常に読み取る。井上はキムのそれが苦痛のシグナルと読んだ。彼は相手が『まだいけるぞ』とパンチを要求してくるときは、たいていその逆であることを知っていた」
キム・イェジュンにとってみれば、世間から挑発的と見られた行為も「井上選手が私の方に近づいてきた時にパンチをしたかった」というカウンター狙いの策略ではあった。しかし、それは「絶対に倒してやろうと思った」と井上の闘志に火をつけ、KO決着に繋がるものとなった。
とにもかくにも無敗街道を継続した井上。英紙『The Guardian』で「挑戦者はイノウエの突き刺すようなジャブ、目もくらむようなハンドスピード、そして素早い出し入れの動きに全く太刀打ちできなかった」と絶賛されたパフォーマンスは、無敵のモンスターの真価が存分に発揮されたものだったと言えよう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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