
【ビジネスファッション裏技事典】
スーツだけでなく、ジャケパン、セットアップとビジネスファッションがどんどん多様化する昨今。それ故、「何をどんな風に着こなせばいいのかわからない(汗)」というおしゃれ迷子が増えている模様。そこで、さまざまなファッションメディアで活動するエディターが、その悩みを解決するビジネスファッションの裏技を伝授します。
押条事務所所長・ファッションエディター/押条良太
「MEN′S CLUB」編集部を経て独立。「OCEANS」「Begin」「LEON」などのメンズ誌やブランドのカタログ、広告を手掛ける。得意分野はスーツをはじめ、ドレス靴、ウェルネス、グルーミングと幅広い。湘南在住で、趣味はサーフィン。
Q. 「スーツに合わせるビジネスシャツっていろいろな襟の形がありますよね。カジュアルでもお馴染みのボタンダウンを持っておけば、間違いないですか?」 K.I.さん(28歳)
A. 雰囲気や着用シーンによって異なりますが、1番使えるセミワイドカラーを持っておけばOK!
スーツに合わせるシャツを買いに行ったら、さまざまな襟型(カラー)がズラリ。襟先の長さや左右の開きが異なり、デザインもボタンやタブが付いたものなど、ざっと8種類が存在します。ビジネススタイルのカジュアル化が進む今なら、自分の好みで選んでも良いのかもしれません。
しかし、シャツの襟型には、それぞれに深い意味があって、ふさわしいシーンがあります。それでは、どれを選べば間違いないのか? と考えると、やっぱり“セミワイドカラー”なのです。
■襟の開きの角度が100度前後。この黄金バランスがセミワイドカラーの魅力
まず、左右の襟先が作り出す角度にご注目を。ブランドによって若干の差はありますが、一般的にセミワイドカラーとは、この襟の開きの角度が100度前後のものを指します。ひと昔前は75~90度のレギュラーカラーがビジネスシャツの代表的な襟型でしたが、2000年代以降、少しずつ角度が大きくなっており、現在はセミワイドカラーがスタンダードとなっています。
■ネクタイの結び目の収まりが良く、ノータイでも好バランス
なぜ、セミワイドカラーが支持されるのか? その理由は着てみると一目瞭然。何かにつけて“ちょうどいい”んです。レギュラーカラーほどかしこまった印象にならず、かといって、ワイドカラー(襟の開きが100~140度)やカッタウェイカラー(180度以上)ほど開放的なイメージに映りません。ネクタイのノット(結び目)の収まりも良いですし、ノータイで着てもバランスが良好。汎用性も高く、ビジネスからフォーマル、カジュアルまで幅広いシーンで着られます。ぶっちゃけ、セミワイドカラーさえ押さえておけば、何とかなるというわけです。
■カジュアルでもお馴染みのボタンダウンカラーはブレザーやジャケパンとは相性良し
セミワイドカラーが最もスタンダードなら、ボタンダウンカラーはどうなの? と思う人もいるでしょう。ボタンダウンの襟型は、その昔ポロ競技の選手が着ていた襟をボタンで留めたシャツに由来するアメリカ発祥のもの。そのため、ヨーロッパではスポーツウエアのイメージが根強く、ビジネスやフォーマルのスーツには合わせるべきではない、とされてきました。
とはいえ、アメリカントラッドなスーツにあえてボタンダウンカラーを合わせるお洒落上級者もいますし、日本ではクールビズの定番シャツとしても定着しています。それ故、スーツにボタンダウンカラーを合わせるのが一概にマナー違反とは言えなくなってきています。
ちなみに、筆者はかっちりとしたスーツにはもっぱらセミワイドカラーを、ネイビーブレザーやジャケパンにはボタンダウンカラーを合わせるのをマイルールとしています。
世のお洒落上級者は8種類あるシャツの襟型をシーンによって使い分け、個性の演出に活用しています。ただ、シャツをビジネスウエアとして毎日着る人にとっては、セミワイドカラーこそ超万能! という事実を知っておいて損はありません。

コメント