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 Mercedes-AMGの最強SUV「GLE63 S 4MATIC+」に少しだけ触れる機会があったので、スーパーSUVの片鱗をご紹介します。なお、Mercedes-AMGとはメルセデス・ベンツのグループ子会社でハイパフォーマンスブランドです。

巨大なボディーを強力なエンジンとモーターで動かす

 エンジンフードを開けると、最高出力612PS、最大トルク86.7kgf・mの4L V型8気筒ツインターボエンジンに、最高出力22PS、最大トルク25.5kgf・mの48Vモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドが姿を現わします。SUVにそんなパワーは必要なのか? という論はおいておいて、パワー原理主義の担当編集は大喜びです。

 それにしても、威風堂々としたたたずまいです。ボディーサイズは全長4955×全幅2020×全高1785mmと大柄で、そのサイズ感にひるみます。ですが「大きくて運転しづらい」であったり「取り回しに苦労する」ということはなく、普通に乗れてしまうのは、車高が高くて見晴らしがいいSUVだからでしょう。

 車体重量は2.5トンとヘビー級。そんなドイツの重戦車がロケットの如く高速道路を滑空するのです。走行中、ルームミラーにこのフロントマスクが映ったら素直に道を譲りましょう。

 一応5人乗りですが、後席のシート形状とセンタートンネルが大きいことから、実質4人乗りといった印象。車内は広いので、居住性に一切不満はありません。

 センタートンネル付近にUSB Type-Cを2ポート用意。床面に近い場所にコネクターむき出しで置かれています。

 ラゲッジ容量は630L。メルセデス・ベンツSUV「GLE」は3列シート車ですが、こちらは2列シート。その分だけの荷室の容量が確保されているというわけです。荷物の出し入れに便利な後輪の車高を下げるボタンや、12Vのアクセサリーソケットを用意するなど、アメニティーも充実しています。

 ガソリンはもちろんプレミアム。ガソリンタンク容量は93Lで、公称燃費は非公開。乗車人数と速度によってタイヤの空気圧の指定がされているあたりが、ハイパフォーマンスブランドのMercedes-AMGらしいですね。

機能が豊富でボタンも多いので
使いこなすには慣れが必要

 GLE63 S 4MATIC+は、左ハンドルのみの設定。重厚なインテリアデザインは、メルセデスらしい高級感。その中で、カーボン加飾パネルをおごるあたりはMercedes-AMGならではです。

 モニターはトラックパッドで操作可能。使いやすいか? と聞かれると、正直操作しづらかったり……。直接画面を触った方がいいのですが、光沢液晶ゆえ画面が指紋で汚れます。これが実に悩ましい限りです。

 運転席側のUSB端子もType-C。ワイヤレス充電対応のスマホホルダーも用意されています。

 車両の機能面では、車高の上げ下げが可能であるほか、ステアリングホイール側でサスペンションセッティングをはじめ、各種ドライビング設定が変更できます。

 それゆえか、ステアリングにボタンが多く、慣れるまで時間がかかりそうです。若い人にはいいけれど、オッサンには……などと思ってしまいました。

足周りは一般道では硬く、高速ではちょうどいい

 Mercedes-AMGのエンブレムを見るたび身構える筆者ですが、それは値段ではなく、過去に何度も暴力的なパワーに肝を冷やしたから。それはGLEでも変わりません。アクセルを踏めば背中がシートに張り付き、思わずステアリングを握る手に力が入ります。

 そしてもうひとつ、Mercedes-AMGで覚悟が必要なのが硬い足まわり。特に街乗りでは、衝撃の度に背骨が頭から突き出すかのような衝撃に閉口しました。ところが、高速道路では逆にこれがコンフォータブルで、むしろ「ホントにこれはAMGなのか?」と思うほどの穏やかさです。これならガソリンが尽きるまで走れそうです。

 本機のライバルはBMWのXMでしょう。あちらの方がモーターパワーによってトルクはモリモリだし、乗り心地もハード。見た目も含め若さを感じさせます。自分が若くして成功したIT長者かYouTuberの30代ならBMWを選んでいたかもしれません。けれど年を重ねた今ならMercedes-AMGを選ぶでしょう。気持ちは若いのですが、ハードなクルマに体が付いていかないのです……。

612馬力の超弩級SUV「Mercedes-AMG GLE63 S 4MATIC+」はクルマのジキルとハイドだ!