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届かぬ政府目標 4月から一部で「増税」も

英国におけるEV普及率が政府の目指す目標を大幅に下回っているとして、自動車業界は個人購入者に対するEVの普及促進策をさらに強化するよう求めている。

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2025年1月に英国で登録された新車13万9345台のうち、純粋なEVは2万9634台で、前年同時期の数字を42%も上回り、同市場におけるEVのシェアは21.3%となった。

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英国ではEV普及率の目標を掲げているが、実際の市場需要とかけ離れているとの指摘もある。

一方でディーゼル車の販売台数は7.7%減、ガソリン車に至っては15.3%減となったが、ハイブリッド車PHEVの販売台数はそれぞれ2.9%増、5.5%増と堅調な伸びを見せた。

電動車の販売台数増加により、英国の新車登録台数に占めるガソリン車の割合は50.3%と半分強にとどまり、ディーゼル車はわずか6.2%に縮小した。

それでも、英国自動車製造販売者協会(SMMT)は、EVの市場シェアは政府のゼロ・エミッション車規制(ZEV義務化とも呼ばれる)で2024年目標として設定された22%にはまだ達しておらず、さらに2025年の28%にもまだ遠く及ばないことを指摘している。

このZEV規制は自動車メーカーに対し、国内の新車販売におけるEVの比率を義務付けるものだ。

英国政府は現在、変動的なEV需要がこの制度における目標値(2030年には80%に引き上げられる)に達していないことを認識し、規制枠組みの見直しも視野に入れて自動車業界と協議に入っている。目標未達による高額の罰金を避けるため、一部の自動車メーカーはEVを大幅値引きで販売したり、競合他社からZEVクレジットを購入したりしている。

SMMTの予測では、EVの国内市場シェアは年末までに23.7%に増加するが、目標の28%には届かない。また、2026年には、目標の33%に対して、シェアはわずか28.3%に過ぎないと予想されている。

「需要と目標の間にこのような隔たりがあるため、排出量取引制度とその柔軟性の見直しが不可欠であり、早急に有意義な変更を行う必要がある。さもなければ、市場、業界、ひいては消費者にも重大な悪影響が及ぶ可能性が高い」とSMMTは述べた。

また、2024年にはEVの定価からの割引額が合計45億ポンド(約8500億円)に達し、「ドライバーの乗り換えを後押しした」ものの、「消費者は依然として消極的であり、政府やその他の機関からのさらなる後押しを求めている」とした。

2021年にプラグインカー補助金が廃止された後、現在、政府による個人購入者向けのEVへの乗り換え支援策は存在しないため、「依然としてEV購入の有意義なインセンティブが欠けている」とSMMTは付け加えた。

さらに、ECS(Expensive Car Supplement)と呼ばれる高額車に対する追加税が4月1日よりEVにも適用されることになった。価格が4万ポンドを超えるEVには、購入後6年間、3110ポンド(約60万円)の税金が課される。

SMMTはこれについて、EVの生産コストが高いことから、市場に出回っているEVの「大半」が課税対象となり、「新車および中古車市場の両方に影響を与え、大衆市場への移行という目標を損なう」と指摘している。

「その結果、業界は、この制度が公平で、EVの購入を思いとどまらせないようにするため、税制計画の見直しを求めている」(SMMT)

SMMTのマイク・ホーズ会長は、EVへのECSの適用を「間違ったタイミングでの間違った措置」と批判した。

「EV購入者にペナルティを課すのではなく、より多くのドライバーが乗り換えを検討するようあらゆる手段を講じるべきであり、政府、業界、社会の気候変動目標の達成に貢献すべきである」(マイク・ホーズ氏)

EVへの適用基準を4万ポンドよりも引き上げる、あるいはECSの対象から完全に除外することで、EVが贅沢品ではなく必需品であるというメッセージを送るべきとの姿勢だ。

全体として、英国の自動車市場は「経済への信頼感の低さを背景」に、1月には2.5%縮小した。SMMTは、英国では2025年の新車登録台数は前年比0.2%減の195万台と予測している。

1月、英国で最も売れたクルマはキア・スポーテージで、3476台が登録された。次いで、日産キャシュカイ、ヴォグゾール・コルサが僅差で続いた。


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