「バニングキャラバンか!」と思ったら出っ歯のなかはアンテナだらけ! 首都高「3D ETC Doctor」は超重要な任務を負っていた

この記事をまとめると

ハイウェイテクノフェア2024で気になる日産キャラバンを発見

首都高ETC電波を検査するための車両だ

■フロントバンパーにはアンテナが9個内蔵されている

3D ETC Doctorと呼ばれる車両

 ハイウェイテクノフェア2024の会場に、奇妙なフロントバンパーの日産キャラバンが展示されていた。ところが、その内容を聞くと驚くべきものだったのだ。

 説明員によれば、延長されたフロントバンパーエアロパーツなんかではなく、ETCの電波を受信するためのアンテナが9個並列に内蔵されているのだとか。さらにフロントウインドウ上端分にもバイザー風に突き出している部分にETC電波を受信するアンテナが同じく9個組み込まれている。

 これは、3D ETC Doctor(3D電界強度測定車)と呼ぶ、電波の強度を3Dで捉えることのできる測定車なのだ。開発したのは首都高ETCメンテナンス。つまり、首都高速ETC電波を検査するための車両なのである。

ハイウェイテクノフェア2024で見つけた日産キャラバンを紹介

 搭載されたアンテナ18個でETCの電波を受信することで、受信強度の変化などがわかるのだ。さらに、ルーフ側面左右には通過する道路や地形をスキャンできるレーザースキャナーが取り付けられており、GNSSによる位置情報と合わせて電波強度を道路形状に沿わせて「見える化」できるようになっている。

 従来は電波強度を作業員が手作業で測定し、地図と照らし合わせて確認していたらしいから、アナログな従来の作業と比べるとデジタルな作業となってデータの正確性、緻密さは格段に向上したことだろう。

車線規制をすることなく計測が可能に

 こうしてETCの電波強度を計測するのは、大きくわけてふたつの意味があるそうだ。まずひとつはETC搭載車両が高速道路を走行する際に確実に電波を送受信できるようになっているかの確認。ETCは電波によって情報をやり取りして高速道路料金などを算出し決済する機構なので、走行車線や車体の形状、アンテナの位置などによって送受信が不安定になってしまうことは絶対に避けなければならない。そのため、9個のアンテナを2列も配備して、細かく電波強度を計測しているのだ。

 それと、アンテナがたくさんあることで電波の指向性がわかり、道路側のアンテナがきちんと狙った方向を向いているか推測することも可能になってくる。電波強度を測定するもうひとつの目的は、電波の漏洩がないか確認することだ。電波が思わぬ方向へと漏れていると、周辺を走行するクルマにトラブルが発生する可能性がある。

ハイウェイテクノフェア2024で見つけた日産キャラバンを紹介

 たとえば高速道路の側道を走っているクルマがETCの電波を受信してしまうことで、高速道路を走行していると誤認識されてしまうことがあるのだ。これはETCの電波が建物などに反射して起こってしまうらしい。その場合はアンテナの向きを調整したり電波を吸収する部材を追加するなど、対策する必要があるのだ。

 以前は車線規制などをして計測してきたが、それでは効率も悪いし安全性にも問題がある。この3D ETC Doctorが開発されてからは、昼間に一般車両と一緒に走行しながら計測ができるので、正確なだけでなく作業員も遥かに安全で快適に仕事ができるようになったそうだ。

 ランクルベースの1号車に続いてキャラバンをベースにした2号車は、より広い車内で快適に仕事ができることになりそうだ。

ハイウェイテクノフェア2024で見つけた日産キャラバンを紹介

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