アルゼンチンの首都、ブエノスアイレス郊外を流れるサランディ運河が数時間で真っ赤に染まった。強烈な悪臭も広がっており、「まるで血の川みたいで恐ろしい」と地域住民の不安が高まっている。

 重金属が豊富な場所では川の水が赤いことがあるが、急変したとあっては明らかに異常事態だ。

 問題の運河は、アルゼンチンウルグアイの間に広がるラプラタ川に注ぐ支流で、周囲には革なめし工場や化学工場が多く並ぶ。専門家は、有害な化学物質が流出した可能性が高いとみている。

関連記事:アラスカの多くの河川が青色からオレンジ色に変化。その原因は永久凍土の融解にあった

朝起きたら血のような赤色に

関連記事:死を招く恐れがある危険な世界8つの水域

 2025年2月8日未明、ブエノスアイレス郊外のアベジャネーダ地区には異様な悪臭が立ち込め、この地域を流れるサランディ運河が真っ赤に染まっていた。

 悪臭が発生したのは深夜からで、あまりの臭さに目を覚ましてしまった住民も多かったという。

 そして早朝、運河の色が毒々しい赤色に変わっていたのだ。

環境省が水質調査を開始

関連記事:陥没した道路の穴からバスクリンのような緑色の液体が!これっていったい何?(カナダ)

 この異変を受け、アルゼンチン環境省はすぐにサランディ運河の水を採取し、調査を開始した。

 現時点では、赤く染まった原因は「有機染料の可能性がある」と発表されているが、詳細な分析結果はまだ明らかになっていない。

 サランディ運河は、ブエノスアイレスから南に位置するアベジャネーダ地区を流れ、ラプラタ川へと注ぐ。

 ラプラタ川は、アルゼンチンウルグアイの間に広がる巨大な河口で、多くの人が利用する重要な水源でもある。そのため、汚染が深刻な問題になりかねない。

https://twitter.com/SkyNews/status/1887871306701439478[https://twitter.com/SkyNews/status/1887871306701439478]

関連記事:インド人もびっくり。「カレーの街」を流れる川がカレー色に染まってしまう異常事態が発生(イギリス)

有害物質流出の可能性

 この赤い水の原因について、地元住民たちは近くの皮革工場や繊維工場からの汚染物質流出を疑っている。

 アベジャネーダ地区には、染料や化学薬品を使用する工場が多く存在し、以前から汚染が問題視されていた。

 色が灰色や紫色に変色することもあったそうだが、今回のような鮮やかな赤色になったのは初めてだという。

専門家たちは、今回の赤色の原因として「アニリン(Aniline[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%AA%E3%83%B3])」が流出した可能性を指摘している。

関連記事:ロシア・シベリアの川が突如血の赤に染まり住民パニック

 アニリンは、染料やゴム、医薬品などの製造に使われる油性の液体で、人体に有害な物質だ。皮膚に触れると炎症を引き起こし、吸い込んだ場合は呼吸器に深刻なダメージを与える可能性がある。

 自然界に流出すると、河川の生態系にも大きな影響を及ぼす危険な化学物質だ。

 当局は水質検査の結果を基に、責任の所在を明らかにし、汚染源を特定するための調査を進めている。また、住民の健康への影響を最小限に抑えるため、予防策を検討中だ。

日本でも神奈川の川が赤く染まった

 日本でも2024年10月27日横浜市内を流れる大岡川が突然真っ赤に変色するという事態が発生した。

 だがこれは、ヤコウチュウという植物性プランクトンが大発生した結果、赤潮となり、川が赤く染まったそうで、夜になると刺激を受けたプランクトンが青白く光っていたという。

 汚染物質じゃなくてよかったが、ヤコウチュウが酸素を消費するため、水中の酸素濃度が減少し、魚が死んでしまうことがあるそうだ。

画像・動画、SNSが見られない場合はこちら