
さっぽろ雪まつりで、外国人男性が会場スタッフの顔をめがけて「雪のかたまり」を投げつける出来事があった。
北海道ニュースUHBなどによると、外国人男性は2月8日、さっぽろ雪まつりで動画の生配信をしながら、会場スタッフに近づいて、拳よりも大きく見える「雪のかたまり」を投げつけた。
拡散している動画では、スタッフは突然のことに驚いている。北海道ニュースUHBによると、間に入った外国人が近くにいた警察官に事情を説明して、外国人男性は注意されたという。
幸いにもスタッフにケガはなかったので、札幌市は被害届を出さないということだが、動画の続きでは反省の態度を示していないように思える。
いずれにせよ悪質と言えそうだが、雪のかたまりを人の顔に投げつける行為は法的に問題ないのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。
●暴行罪が成立すると考えられる
暴行罪(刑法208条)と威力業務妨害罪(刑法234条)にあたりうると考えます。
まず、暴行罪の保護法益は「人の身体」です。ここでいう暴行とは、「人の身体に対する有形力の行使」とされています。人に向けられていれば足り、物理的な接触は不要です。
今回のケースでは、人に向けて雪玉を投げつけて命中させていますので、暴行にあたり、暴行罪が成立するでしょう。
暴行罪の場合、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料で処罰される可能性があります。
●威力業務妨害罪も成立しうる
威力業務妨害罪の保護法益は「人の業務活動」です。威力業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害した場合に成立します。
業務とは、人が社会生活を維持するうえで、反復・継続して従事する仕事ですが、必ずしも収入を得る目的でなくてもよいとされています。
雪まつりのスタッフの仕事も業務にあたります。
威力とは「人の意思を制圧するに足りる勢力を用いること」と定義されますが、要は、人が業務を続行しようとするのに躊躇をおぼえるような行為です。
雪玉を投げつける行為も問題なく威力にあたると考えます。
威力業務妨害罪の場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金で処罰される可能性があります。
雪玉を投げつけるという1つの行動で、暴行・威力業務妨害という2つの犯罪に該当するわけですが、こういう場合を「観念的競合」といいます(刑法54条1項前段)。
この場合、重たいほうの犯罪の刑罰、つまり今回のケースは威力業務妨害罪が適用されます。
なお、暴行罪も威力業務妨害罪も、被害者からの告訴なしに処罰されうる「非親告罪」とされています。

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