ジェシカ・チャステインが主演、ピーター・サースガードが共演し、"忘れたい記憶を抱え続けている女"と、"忘れたくない記憶を失っていってしまう男"を描く「あの歌を憶えている」のロング予告編がお披露目。あわせて、著名人6人のコメントも公開された。

【動画】「あの歌を憶えている」ロング予告

本作は、米ニューヨークブルックリンを舞台に、記憶に翻ろうされる不器用なふたりが出会い、新たな人生と希望を見つけていくヒューマンドラマ。メキシコの俊英ミシェルフランコ(「或る終焉」「ニューオーダー」)がメガホンをとった。真実を愛で包み込む奥深い視線で、心に傷を抱えた男女が戸惑いながらも寄り添い、過去や人生と向き合う姿を静かに優しく描き出す。

「タミー・フェイの瞳」で第94回アカデミー主演女優賞を受賞したチャステインが、過去と格闘するシングルマザーソーシャルワーカーのシルヴィア役を務めた。「THE BATMAN ザ・バットマン」のサースガードは、若年性認知症を抱え、わずかに残る遠い記憶を慈しむソールという難役に挑み、第80回ベネチア国際映画祭の最優秀男優賞を獲得した。

予告編は、高校の同窓会に訪れたシルヴィアの隣にソールが腰かける、出会いのシーンで始まる。ソールはなぜか、足早に帰途につこうとするシルヴィアのあとを追いかける。警戒しながらもシルヴィアは無事帰宅するが、ソール土砂降りの雨の中、シルヴィアの家の前で一晩を明かす。そんなソールシルヴィアは「大丈夫?」と声をかけ、やがて彼が若年性認知症を患っていることが明らかになる。

やがて、ソールの姪の頼みで、シルヴィアソールの面倒を見ることに。互いを知っていくうちに、ふたりの距離は少しずつ縮まるが、その関係を良しとしないソールの弟や、疎遠だったシルヴィアの母親のシーンも切り取られ、すれ違いが重なっていくさまが確認できる。頭を抱えて号泣するシルヴィア、泣きながら「自由を奪われた」とシルヴィアの娘・アナに耳打ちするソールも確認でき、ふたりに待ち受ける結末が気になる仕上がりだ。

あの歌を憶えている」は2月21日に、東京の新宿ピカデリーBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で公開される。著名人6人のコメントは、以下の通り。

ヴィヴィアン佐藤(アーティスト/非建築家/ドラァグクイーン)

昼はまるでA.ワイエスの「オルガ」のような光が差し、夜はE.ホッパーのような孤独な闇が包み込む。
幽霊のように深い深淵を彷徨う大都会の人々が、一縷の望みを探し求める。
人が生きていくということは、傷という痕跡がつけられていくこと。
その傷は自己治癒により、いずれ瘡蓋(かさぶた)となる。
瘡蓋というタトゥーがあるだけ人は優しくなれる。

■呉美保(映画監督)

図らずも背負ってしまった大荷物を下ろすことができずに生き続ける。
悲しみと苦しみと虚しさに心蝕まれ薄暗いトンネルの中を走り続ける。
そんな 2 人が出会い惹かれる瞬間を劇的ではなく詩的に見つめ続ける。
愛を求めることで、人は救われる。
素朴で美しくしあわせな物語でした。

■笠井信輔(フリーアナウンサー)

忘れたい女
忘れたくない男
記憶に縛られた2人の人生が交差した時
少女が取った純粋な行動に
胸が熱くなった

■岸田奈美(作家)

忘れてしまうという苦しさだけが、
生きていく支えになる。
そんな時の訪れを、わたしも待っているのかもしれません。

■クミコ(歌手)

記憶を塞ぎたい女と、記憶のできない男。
名曲「青い影」のメロディが、二人を希望へと繋いでいく。これは魂の再生の映画だ。
音楽は、傷ついた心を助ける最後の砦かもしれない。
記憶に翻弄される二人に「青い影」のメロディが、希望と再生の架け橋として横たわる。

クリス智子(ラジオパーソナリティ)

誰かの心に無理に踏み込まず、しかし、誰かを思うことで一歩踏み出せる。
痛みとやさしさが溶け合う温かなものが、静かに胸に流れ込んできました。

著名人6人のコメントもお披露目 (C)DONDE QUEMA EL SOL S.A.P.I. DE C.V. 2023