Photo by:iStock[https://www.istockphoto.com/jp/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%88/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5-%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC-gm545572786-98373295

 ノルウェーの漁業界で9日、驚愕の事件が発生した。世界最大のサーモン加工会社の養殖場から、2万7000匹ものサーモンが海に大脱走し、同社が1匹あたり約45ドル(約7千円)の報奨金を掲げて捕獲を呼びかけているという。

 この事件は、地域の生態系や漁業に重大な影響を与える可能性があり、地元漁師たちの協力が求められている。

 日本からも漁師さんたちが応援に駆けつけて、報奨金ゲットとかできるのかな?

関連記事:うれしいニュース。米国最大のダム撤去計画により、サケが川に戻ってきた!

脱走サーモン2万7000匹。1匹につき7,000円の報奨金

関連記事:サケを積んだトラックの横転事故、7万7000匹が近くの川にたどり着き生き延びることに成功

 2025年2月9日ノルウェーのトロムス州にある世界最大のサーモン加工会社モウイ社の養殖場で、2万7000匹もの養殖サーモンが脱走する事件が発生した。
 
 なおここでいうサーモンとは、サケ科サケ亜科のタイセイヨウサケ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%A8%E3%82%A6%E3%82%B5%E3%82%B1]に分類されるものを指す。

 原因は嵐によるフェンスの破損で、そこからおよそ1/4のサーモンノルウェーの北西の海域に逃げ出したという。

 この事態にモウイ社は、直ちに登録された漁師に協力を求め、逃げたサーモン1匹につき約45ドル(約7千円)の報奨金を提示した。

参考:トロムス州にある別の養魚場(モウイ社とは無関係)/image credit:Jørgen Braastad / VG

特例のサーモン大捜索

関連記事:世界初、3Dプリンターで作られた菌類が主成分の代替サーモンが市場で販売

 同社は地元の漁師らに、捕獲したサーモンを指定の場所に持ち込むよう呼びかけている。

 一般にこのような捕獲作戦における捜索範囲は、養殖施設から500m以内に限定される。

 だが、今回は規模の大きさから、範囲の拡大が許可され、特例のサーモン大捜索が実施されることになった。

サーモン脱走事故の後、支援に乗り出す沿岸警備船KVスヴァールバルと支援船/image credit: Helge N. Nilssen

準絶滅危惧種の天然サーモンに悪影響を及ぼす可能性

関連記事:見た目も味も食感もサーモンそっくりの植物由来のサーモンが完成

 専門家によると、逃げた養殖サーモンは地域の天然のサーモンに重大なリスクをもたらす恐れがある。

 まず天然のサーモンと産卵場所の奪い合いを始めることで、サケジラミ(Lepeophtheirus salmonis)[https://en.wikipedia.org/wiki/Salmon_louse]などの感染症を広げるリスクがある。

 サケジラミとは、主にサケ科に寄生する寄生性カイアシ類の一種で、養殖場でサケ科の間に感染症を引き起こすことで知られる。

 さらに懸念されるのは交配の影響だ。逃げ出した養殖サーモンが天然サーモンと交配し、遺伝子を変えてしまう可能性があるからだ。

 研究者は、養殖サーモンと天然サーモンの交配によって生まれた子孫は、長期的には自然界での生存率が低いことが科学的に証明されている、と述べている。

関連記事:熱波による水温上昇に耐えきれず、体に異変をきたすサケ(鮭)が続出

 前者は急速な成長をうながすため管理されたケージの中での生活を前提に飼育されているが、後者の遺伝子は川や海での生存機会に適応している。

 そのため交配した子孫は自然環境に適応できなくなる可能性がある。つまり逃げた養殖サーモンは、天然サーモンの個体数を脅かす存在になるというのだ。

 なおこれらタイセイヨウサケ(別名アトランティックサーモン)は日本の回転ずしでも人気だが、天然のものは2023年時点でIUCN(国際自然保護連合)より準絶滅危惧種に指定されている。

当局や政治家からも厳しい声

 こうしたことからノルウェー漁業局のベガード・オーネ・ハッテン氏は、モウイ社に対し、大規模な捕獲作戦の実施を命じている。

この事件の対応に協力した沿岸警備隊のKVスヴァールバル号/image credit:MVV

 実はノルウェーでは2024年にも同様の事故で9万3000匹以上のサケが脱走しており、そのうちのほとんどはモウイ社からの脱走だったという。

 こうした度重なる脱走から、地元の自然保護活動家や政治家らも、今回の事態に厳しい声を上げており、緑の環境党や社会党といった政党からは、養殖業界の規制強化を求める声も高まっている。

 養殖業界のみならず、生態系にも大きく影響しそうな養殖サーモンの大脱走。

 事態の収束は、今後の同社の対応と地元の漁師たちの腕にかかることになりそうだ。

 素人目には、逃げ出したサーモンだけを短時間で捕まえて戻すなんてかなり難しそうにみえるけど、今回報奨金が出ることでどうなるか。今後が気になるわ。

 でも仮に一人で2万7000千匹捕まえることができたら報奨金は1億8900万円!大間のマグロ釣るのとどっちが難しいんだろう?

References: Vg.no[https://www.vg.no/nyheter/i/4Bl9Rq/fiskeridirektoratet-mowi-anslaar-at-27-000-laks-har-roemt] / E24.no[https://e24.no/hav-og-sjoemat/i/EyLGg5/93256-oppdrettslaks-paa-roemmen-hoeyeste-paa-5-aar]

画像・動画、SNSが見られない場合はこちら

Photo by:<a href="https://www.istockphoto.com/jp/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%88/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5-%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC-gm545572786-98373295">iStock</a>