
今や世界中から注目を集める日本のスキー&スノーリゾート。特に北海道はインバウンドが押し寄せ、宿もリフトも食事も価格が高騰する場所がある一方、まだまだ地元客も気軽に楽しめるスキー場も存在します。
インバウンドに人気のウィンターリゾート 価格も高騰
コロナ禍明けとともに、インバウンド観光客が急増したことは、みなさんもニュースなどでご存じのことでしょう。この時期、円安も進んで“安い日本”という認知が広まり、それが各地でオーバーツーリズムを生むような事態ともなりました。
とくにその傾向が顕著だと最近話題になっているのが、スキーやスノーボードなどのウインタースポーツです。
じつは日本は「日本海側や北日本では、良質な雪がひんぱんに降る」「高速道路や新幹線が整備され、都市部からスキー場へのアクセスが格段にいい」という、スキーやスノーボードを楽しむ上で、世界的にも稀な好条件が揃った国となっています。
その日本が円安により相対的に“物価安”となってることから、「JAPOW(日本の深く軽いパウダースノー)」を求めてウインタースポーツ愛好家が大挙して訪れるのは、当然と言えるでしょう。
ただ世界各国からスキーヤー、スノーボーダーが集まることで、人気のリゾート地の物価は急上昇しています。コロナ禍以前から人気のあったニセコ(北海道)はもとより、最近は白馬(長野県)、富良野(北海道)も“第二のニセコ”と呼ばれるほど、インバウンド人気が高まっているのです。
こうした地域では、1泊3万円以上のホテルでもシーズン中は予約でいっぱいになり、ランチで3000~4000円、ディナーは1万円超えが当たり前になりつつあります。
またリフト券代も、1日券が1万円の大台を突破したところもあり、地元客にとっては日帰りですら高嶺の花という状況も生まれています。
ただその一方で、まだインバウンドスキーヤー、スノーボーダーが気付かない“穴場”が、北海道にあることをご存じでしょうか。それは小規模のローカルスキー場です。これらのスキー場は、リフト券代や食事が安いだけでなく、土日でも来場者が数十人で、混雑とは無縁というところも存在します。
今回は、そんな北海道のローカルスキー場でもとくに注目の、旭川エリアから3カ所をピックアップしてご案内します。
サンタプレゼントパーク マローズゲレンデ(旭川市)
旭川市街からクルマで10分ほどという、アクセスに恵まれたスキー場が「サンタプレゼントパーク マローズゲレンデ」です。ペアリフトが3本というコンパクトなサイズですが、ゲレンデは見た目以上に起伏があり、バリエーションに富んだライン取りが楽しめるのが特徴です。
市街地から近いため土日の昼間は混雑しますが、16時からのナイターは一気に人が減り、ゲレンデには人がまばらになります。ナイターというと「凸凹していて滑りにくいのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし北海道の雪は軽く、また日中も気温が上がらないため、大きく荒れることはありません。
そしてナイターの魅力に拍車をかけるのが、リフト券代の安さです。16時からのナイター券は、なんと1700円。昼間は旭山動物園や美瑛での観光を楽しみ、夜はスキーやスノーボードという過ごし方も十分ありではないでしょうか。
和寒東山スキー場(和寒町)
和寒町の市街地からすぐ、西向きの斜面に開けたスキー場が、「和寒東山スキー場」です。
旭川市街からはクルマで45分ほどかかりますが、アクセスルートとなる国道40号は除雪体制がしっかりしていて、道中の塩狩峠もゆるやかな坂を上下するだけ、凍結に注意すれば、ドライブの難易度は高くありません。
ゲレンデには600mほどのペアリフトと、300mほどのシングルリフトが架かるだけ、しかし実際はこのスペック以上の滑りごたえのある斜面が特徴で、初級者から上級者まで楽しめます。
また西向き斜面のスキー場は、本州では昼から午後の太陽の直射で雪質が悪化しがちですが、気温の低い北海道ではそんな心配も無縁で、明るいゲレンデで終日いいコンディションで滑れるのがうれしいところ。リフト券代も4時間券1000円、1日券2000円と、驚くほどの安さ、付け加えるなら“ゲレ食”も超おすすめです。
ほろたちスキー場(幌加内町)
北海道でも有数の豪雪地帯、幌加内町にあるローカルゲレンデがこの「ほろたちスキー場」です。ペアリフト1本の小さなスキー場ですが、そのポテンシャルは旭川市街から雪深い江丹別峠を越え、1時間かけてくるだけの価値を持っています。
そのペアリフトは全長700m弱で、山頂駅から真っ直ぐに滑り降りる「からまつコース」は、滑走距離800mほどですが、スキー場スタッフの圧雪のスキルは高く、最大斜度26度、平均斜度15度というスペック以上の爽快感を、コース幅いっぱい使って味わえます。
初級者向けの「林間コース」は、最後にやや急に落ち込むというレイアウトで、ゲレンデボトムから見ると「こんな急斜面、滑れるかな」と怖じ気づくビギナーもいるかもしれません。
しかし本州の標高の低いスキー場と比べ雪は格段に軽く、ターンも楽ですし、スピードコントロールに苦労することもありません。実際に滑ってみると、案外イージーで、自分が数段レベルアップしたように感じるはずです。
またこのスキー場のもうひとつの魅力は、多く残された「非圧雪エリア」です。降雪直後の朝イチは、滑り慣れた人にとって深いパウダースノーで底付きのない浮遊感を味わえる天国になります。
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以上、旭川エリアの“穴場スキー場”3か所をご紹介しました。これらのスキー場では現在、インバウンドのスキーヤー、スノーボーダーを見かけることは多くありませんが、これまでもそうしたスキー場が海外から突然注目を集め、大人気になったという例はいくつもあります。思う存分楽しむなら、今がチャンスかもしれません。
なお旭川まで、羽田からの航空運賃は、早めに手配すれば往復ひとり2万4000円ほど。旭川市内のビジネスホテルは2名1室1万円前後で宿泊可能です。2泊以上であれば、レンタカー代を含めても、ホテル代やリフト券代が値上がりを続ける本州のリゾート地のスキー場とほぼ同じ、もしくはそれ以下の予算で楽しめることも付け加えておきましょう。
※各スキー場の情報、リフト券代などは2024-2025シーズン時点のものです。

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