事件当時15歳の少年(以下「A」)に対して性的行為を行ったとして、不同意性交等罪に問われている50代男性の初公判が2月18日名古屋地裁(坂本好司裁判長)で開かれた。

事件当時、地方公務員である児童虐待支援員として勤務していた被告人。これまで小学校教師、児童館職員の職歴があり、それぞれ同種の性的トラブル等で退職していたことが判明し、裁判長からは今後子どもに関わる仕事をしないよう指摘される場面もあった。(裁判ライター・普通)

●精神科医から「性依存症」の指摘 「自身を正当化するのが特徴」

起訴状によると、被告人は当時15歳であったAに対し、16歳未満であることを認識しながら、被告人宅にてAの陰茎に対し口腔性交した。被告人は起訴事実を認めた。

事件は大きく報道され、被告人の家には落書き、投石、生ごみの投棄などが行われたという。

被告人質問などによると、事件当時、被告人は児童虐待支援員として勤務していたが、AとはSNSのXで出会っており、職務上出会った人物ではなかった。遊び相手を探していたというメッセージのやり取りでは年齢は把握していなかったが、出会って年齢を把握した。その時点で、犯罪行為となる認識はあったようだ。

犯行態様自体は、暴行や脅迫を用いたものではなかった。被告人は、Aの同意を得ながらの行為であったと主張するが、保釈後に通っている精神科医からは性依存症と診断され、「相手がしたいと言ったから」などと自身を正当化するのが依存症の特徴と指摘をされたという。

●児童に関わる職業を選んでいた?

検察官席に座る被害者参加代理人から被告人に質問がされた。

代理人「プロフィール欄に『未成年除外』などの注意書きは」
被告人「書いていないです」

代理人「なぜですか」
被告人「書かなくてもいいかなと思って」

代理人「なぜ書かなくてもいいと」
被告人「出会っていたのが大学生が多かったので、中学生から来ることはないかなと思って」

しかし被告人は過去、インターネット掲示板にて、中学生と出会ったことによって当時の小学校教師を懲戒免職されていた。その経験が歯止めに繋がっていないと厳しく指摘された。また、その後に勤務した児童館職員も別の性的トラブルで自主退職をしている。

代理人「児童に関わる職業を選択しているように見えるのですが」
被告人「子どものために何とかしたい思いがあって」

代理人「性癖を考えたら、そういった職業から離れようとは」
被告人「考えた。しかし、間接的にでもできることをしたい思いがあって」

最後に裁判長からも質問がされた。

裁判長「子どもに悪いことをしたから、子どもに罪滅ぼしとしてそういう仕事をしているなら、それは精神科医から指摘されてる『正当化』なのでは?」

被告人は「今まではそうだった」と静かに答え、今後は子どもに関わる仕事をしない意向を改めて示した。

次回公判は3月に予定されており、検察官の論告求刑、弁護人の最終弁論に加え、被害者関係者による意見陳述が行われる予定だ。

「相手がしたいと言った」未成年への不同意性交に問われた男性、初公判で起訴事実認める 名古屋地裁