
ネット報道番組「ABEMA Prime」の放送で、心肺停止状態の女性にAED(自動体外式除細動器)を使用したら、警察に「強制わいせつ罪」の被害届を出されたという男性の体験談を紹介したことが、波紋を広げている。
1月20日の放送当時から、SNSでは、男性の体験談について「事実と確認できているのか」などと疑問の声が上がっていた。この問題について、「AERA dot.」は、警察庁に取材したところ、「このような事例は把握しておりません」と回答したと報じている(2月16日公開)。
男性のXのアカウントは現在、非公開となっており、SNSでは「人命に関わることなのでABEMAは訂正すべきでは」といった声があがっている。
●「番組制作の過程は回答差し控える」ABEMAはこうした事態をどう受け止めているのだろうか。
弁護士ドットコムニュースではABEMAに対し、次の点を質問した。
・男性の投稿について、何か事実を立証できるようなものを取材の過程で確認しているか。
・女性にAEDを使用し、強制わいせつで被害届けを出され、和解したという報道内容について、現在も事実であると考えているか。
・この番組内容については、放送当初より、女性に対する救命の機会を失わせるものであるという批判がある。AEDは特に人命に関するものですので、こうした批判についてどのように受け止めているか教えください。
これに対して、ABEMAは2月18日、次のように回答した。
「大変申し訳ございませんが、番組制作の過程については、回答を差し控えさせていただきます」
●ネットの報道番組はBPOの対象外一般的に、地上波のテレビ番組について、視聴者はNHKや民法連などが設立した第三者機関である「放送倫理・番組向上機構」(BPO)に意見を送ることができる。
BPOの公式サイトでは「視聴者などから問題があると指摘された番組・放送を検証して、放送界全体、あるいは特定の局に意見や見解を伝え、一般にも公表し、放送界の自律と放送の質の向上を促します」と説明されている。
しかし、ネットの報道番組はBPOの対象外であり、第三者機関も現在、存在していないと考えられる。
このため、今回の問題について「BPOがあったら瞬殺される」「ネットの報道番組はBPOがないからやりたい放題」「ネットの報道番組にも検証が必要」といった声がSNSであがっている。
弁護士ドットコムニュースでは、ABEMAに対して、番組を検証できる組織が内部、あるいは外部に存在するか、あらためて取材を申し込んでいる。

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