
新型「ジムニー ノマド」は受注を停止し、既存の「ジムニー」シリーズも相変わらず納期は長め。それなら、繋ぎに安価な中古車を買って一時的に乗ることも一考の価値がありそうです。かつてのライバル「パジェロミニ」などいかがでしょうか。
納期長期化の「ジムニー」シリーズ かつてのライバル車とは?
5ドア仕様のニューモデル「ノマド」が追加され注目を集めているスズキ「ジムニー」シリーズですが、受注停止となった「ジムニー ノマド」は言うに及ばず、既存の「ジムニー」や「ジムニー シエラ」も納期が7~9か月とわずかに短縮したとはいえ、相変わらず納車までは長い待ち時間が必要です。
このような状況から「ジムニー」の即納を求める人は、必然的にプレミア価格の中古車を選ぶことになります。しかし、グレード、ボディカラー、オプションなどを自由に組み合わせることができ、メーカーの手厚い保証やディーラーのサービスを受けられる新車と違い、高年式・低走行だろうが中古車であることには変わりありません。
新車としてのメリットはないうえ、ときに販売価格が新車よりも高い現行「ジムニー」の中古車をあえて購入するのは、人によっては躊躇するのではないでしょうか。
とはいえ、悪路走破性に優れた軽四駆「ジムニー」もしくはその普通車モデルである「ジムニー シエラ」が欲しいのに、全くジャンル違いの軽ハイトワゴンや、それこそコンパクトハッチバックを選んだりすると、満足できないのは重々わかります。
それなら、以前「ジムニー」のライバルとして一世を風靡した同クラス車を、あえて購入するというのはどうでしょうか。そのクルマとは、かつて三菱自動車が開発・販売していた「パジェロミニ」です。
実は19年も販売され続けた「ベストセラー」
「パジェロミニ」は、1990年前半に一大ブームとなった4WDブランド「パジェロ」の軽自動車仕様として誕生しました。
販売開始は1994年で、1998年のフルモデルチェンジを挟み、2012年まで生産されていました。車体サイズや排気量は軽自動車規格なので「ジムニー」とほぼ同じ。直列3気筒ターボの「ジムニー」に対して「パジェロミニ」は直列4気筒のターボもしくは自然吸気エンジンのどちらかを搭載し、足回りは前輪サスペンションがマクファーソンストラット+コイルスプリング、後輪サスペンションが5リンク式リジットコイル、駆動方式にはイージーセレクト4WDを採用していました。
ボディは初代「パジェロミニ」がビルドインフレーム構造、2代目はモノコック構造です。比べてみると、ライバルである「ジムニー」がラダーフレーム構造のシャシーに前後3リンク式リジットコイルのサスペンション、パートタイム4WDのメカニズムであることから、「パジェロミニ」の方がオンロードの快適性を重視した設計だったといえます。
「ジムニー」と「パジェロミニ」、両者のキャラクターは、前者が本格的なクロカン四駆志向、後者がちょっとした悪路もこなすSUVというような違いがありました。
「パジェロミニ」は登場当初こそ「ジムニー」と販売面で互角の戦いを見せていましたが、2000年代に相次いだ三菱自動車の不祥事(分社後の三菱ふそうの不祥事も)の影響で人気が急降下。3回目のフルモデルチェンジを迎えることなくモデル消滅となりました。
しかし、19年もの長期に渡って生産された「パジェロミニ」は中古車のタマ数が豊富にあるうえ、悪路走行を考慮したSUVということで乗用車に比べればボディやメカニズムは丈夫で耐久性にも優れています。しかも、中古車価格はこなれており、車両本体+消費用の総額で30万以下の車両が数多く販売されています。
また、軽四駆の「ジムニー」と、ボディをひと回り大きくして普通車用エンジンを搭載した「ジムニー シエラ」と同じように、「パジェロミニ」にも普通車仕様の「パジェロジュニア/パジェロイオ(2代目)」が存在しました。
「ジムニー」より総じて程度良好!
同様の価格帯の「ジムニー」は、林道やオフロードコースで酷使され、ボロボロになった個体が目立つのに対して、「パジェロミニ」は一般のユーザーが街乗り中心で使った個体がほとんどで、同年式の中古車で比べた場合、総じてコンディションが良好な車体が多いようです。
また、「ジムニー」ほどの本格的なオフロード性能は望めないにしても、「パジェロミニ」もフラットダートやちょっとした雪道くらいなら必要充分な走破性能を発揮するでしょう。
考え方によっては、現行「ジムニー」は納期が極めて長いため、新車が届くまでのあいだの“繋ぎ”として、中古の「パジェロミニ」を安く手に入れ乗り回すのも一考の価値ありではないでしょうか。
もちろん、納期が長く、新車ということで購入金額の負担の大きな「ジムニー」はすっぱり諦めて、コンディションの良い「パジェロミニ」の中古を安く手に入れ、浮いた予算を貯金したり、ほかのレジャーや趣味に使ったりという選択もアリでしょう。
このように聞くと「そんな安価なクルマで大丈夫なの?」と疑問を持つ人も多いかもしれません。しかし、最近のクルマは信頼性や耐久性が向上したこともあり、適切なメンテナンスを受けたクルマなら軽自動車でも10年・10万km以上は問題なく走ります。
選ぶ際に多少の目利きは必要になるかもしれませんが、しっかりした店で程度の良いクルマを選べばさほど不安はありません。
ちなみに、2代目「パジェロミニ」は2008年10月以降、日産「キックス」としてOEM販売されていました。販売店こそ違うものの、性能は変わらないので、もし「パジェロミニ」を探しているのなら同車も検討すべきでしょう。

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