
東京の上野でスナックを営む大谷麻稀です。会社員を辞め、未経験の水商売で独立してから早2年。日本の一大飲み屋街で昼も夜も様々な人間模様を見てきた私が、今夜のお酒がちょっぴり美味しくなるコラムをお届けします。
スナックは、お客様同士やキャストとの交流を楽しむ“大人の社交場”です。キャバクラのようにマンツーマンで接客を受ける場所でもなければ、バーのように静かにひとりで飲む空間でもありません。
しかし、そんな雰囲気を壊してしまうのが、“かまってちゃん”タイプのお客様。周囲を気にせず「俺だけを見て!」と振る舞うことで、場の空気を悪くし、キャストやほかのお客様を疲れさせてしまいます。今回は、スナックに向いていない“かまってちゃん”の特徴をご紹介します。
◆①1対1接客を求める
かまってちゃん行動の栄えある第1位はこちら。スナックはお客様に対しキャストの数が少ないのが通常。それなのに、「◯◯ちゃん可愛い、◯◯ちゃんずっと僕の目の前にいて、◯◯ちゃんそっち行かないで」……いやいや、スナックはキャバクラでもガールズバーでもないんです。指名制でもないんです。お店選びを間違えてることをご自覚なさって。
◆②お気に入りのキャストとしか話さない
気に入ったキャスト以外には、「興味ないから」と笑顔すら向けず会話すらしない方も存在します。「俺は客だ、俺が選ぶ立場だ」そうですね、私も大切なお客様と思っています。でも、「推しキャスト以外はどうでもいい」と無視を決め込んでいると、場の空気を盛り下げる上に、「◯◯ちゃん推しのお客様ってめんどくさいよね」と推しの子の評価まで下げることに。
◆③ほかのお客様と会話しない
周囲のお客様と、はなから会話する気がないのも困りものです。繰り返しになりますが、スナックは大人の社交場です。礼節は守りながらも、アットホームになってなんぼの空間なのです。そこで、「俺は◯◯ちゃんに会うためだけに来てるんだ!」とキャバクラのガチ恋まがいの行動や、はたまた「一人で飲みたいんで……」とオーセンティックバーかのような振る舞いは、お店の空気を壊します。
◆④俺が俺が俺が!
前述の通り、スナックはいわば1つの社会。昼間は違う職場で働く異なるバックボーンを持った人たちが集う、一種のコミュニティなのです。そんな空間で、「ここの主役は俺!」とばかりに俺の話を聞け!俺を褒め称えろ!と振る舞うのは御法度。周囲の方も大人なので話は聞いてくれますが、内心、「俺、この人の部下じゃないんだけどな……」と疲れさせてます。
◆⑤突然いじける
そんな方が注目を浴びせてもらえない時、突然無口になって、明らかに不機嫌そうにいじけだすのも困りもの……。挙句の果てに、「俺、帰る」とつぶやいたかと思えば、すぐに立ち上がる素振りもない。「もうちょっと飲みましょうよ!」引き止められ待ちなの、バレバレです。
◆⑥金払いの良いお客さんに嫉妬する
いじけ行動は、ほかのお客様が大盤振る舞いをした時にも現れます。お客様全員分にショットを入れてくれたり、シャンパンをおろしてくれたり。そんな姿を横目に、「金遣うやつが好きなんだろ?」と……。
はい、もちろん好きです。でも、そこで嫉妬して拗ねるのではなく、一緒に場を盛り上げてくれた方があなたの好感度もぐんと上がります。
◆⑦アフターを断られると拗ねる
そんなこんなで帰る帰る詐欺をして残った後、さらにかまって行動は続きます。お気に入りの子とのアフターです。まだほかのお客様がいらっしゃるというのに、「もう店閉めて飲みに行こうよ」「今日は昼まで飲むよ」と勝手な提案。かまってちゃんとのアフターは、長そうだし、口説かれそうだし、めんどくさい……。断ると「俺のこと嫌いなんだね」までがセット。……やっぱりめんどくさい!
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スナックは、キャストだけでなく、お客様同士の会話や場の雰囲気を楽しむ場所です。「俺だけを見て!」と振る舞ってしまうと、キャストから距離を置かれ、周囲にも敬遠されがちに…。ちょっとした気遣いと、周りとの調和を大切にすると、スナックの時間はもっと心地よいものになりますよ。
<TEXT/大谷麻稀>
【大谷麻稀(まきぱん)】
上野にてスナックを経営する28歳。大好きなお酒にコミットするべく鉄道会社を退職し、ほぼ未経験の世界へ転身。TOEIC910取得。趣味は海外一人旅。

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