
東京の上野でスナックを営む大谷麻稀です。会社員を辞め、未経験の水商売で独立してから早2年。日本屈指の飲み屋街で、昼も夜もさまざまな人間模様を見てきた私が、今夜のお酒がちょっぴり美味しくなるコラムをお届けします。
夜の街、酒が進むほどに人となりが垣間見える場所、それがスナックをはじめとした夜のお店。「家に帰るまでが遠足」とは子供の頃によく聞きましたが、大人は「家に帰るまでが夜遊び」です。細分化して言うと、「退店するまでがその人の“飲み方”」です。
今回は、夜のお店でお会計が終わったあとから店の敷地を出るまでの間で、「飲み方は綺麗だったのに、帰り際が残念だったな……」と思われてしまう行動を紹介します。
◆①会計後に居座る
これは説明するまでもなく、アウトです。キャバクラやガールズバーを中心に、夜のお店は時間制が設けられていることが多いです。悪気なく堂々と居座ることもあれば、「自分が入れたカラオケが回ってくるまで待って!」と勝手な解釈で独自判定でOKにされることも(この言い方されると、断りづらい……)。
夜のお店は、お酒に対して課金されているわけではありません。会計後はお酒飲んでないからOK、ではないのです。目に見えないものだから軽視されていますが、時間制のお店で会計後の居座りは「食い逃げ」と同じです。
◆②会計後に長話を始める
会計後に、「彼女と別れたんだよね」など重い話をし始めるのも困りものです。話を聞いて欲しくて言ってるのでしょうが、それは会計前に話して欲しかった……。
「そうなんだ、でももう会計終わってるから次回聞くね!」とシャットダウンしたら、「冷たいやつ」になりそうな空気……。会計後に新たなトピックスをぶち込むのはやめましょう。
◆③潰れた人を置いていく
「こいつのことよろしく!」
泥酔して寝てるお連れを放置しようとしていく方、たまにいるんです。信じられません。ツレの失態は連帯責任と思って、最後までお引き取りお願いします。営業終了になっても寝ている場合、起こす手間やら酷い場合は警察呼ぶ手間やら、考えられないのでしょうか……。
◆④アフターを断られてるのに粘る
「いいじゃん、この後飲もうよ!」
女の子が乗り気じゃないのに、しつこくアフターに誘うのも困りものです。女の子から見て、太客であろうが、指名に繋がりそうであろうが、はたまた純粋にお腹が空いているであろうが、全部ひっくるめて、女の子が乗り気な時はついて行きます。
断られているということは、理由は何にせよ、とりあえず今日は行く気はないんです。それを無理やり来させても、あなたの好感度は1ミリも上がりません。むしろ、「あぁこの人も、こういうタイプね……」とうんざりするだけ。好感度アゲは、会計する前に、接客を受けている最中にしましょう。
◆⑤締め作業を手伝おうとする
「このボトルどこに仕舞えばいいの?」
たまにいるんです、最後のお客様で締め作業を手伝おうとする方。
「掃除機かけるの手伝おうか?」
足元フラついてるんだから、店の心配よりも自身が無事に帰れるかを案じてほしいものです。あなたの厚意はありがたいけれど、お店側からすると、速やかに退店いただきたいものです。やっとオフモードになれますから。
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楽しかった夜遊び。いっぱいお酒を飲んで、いっぱいお金も使ったーーそれで満足ではなく、退店の最後の瞬間までスマートでいてくださると、お店やキャストさんからの好感度もうなぎ登り。あなたが来店してくれたという事実が、素敵な記憶として残るはずですよ。
<TEXT/大谷麻稀(まきぱん)>
【大谷麻稀(まきぱん)】
上野にてスナックを経営する28歳。大好きなお酒にコミットするべく鉄道会社を退職し、ほぼ未経験の世界へ転身。TOEIC910取得。趣味は海外一人旅。

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