
この記事をまとめると
■キャデラックが日本に第1弾となるEVを導入した
■ミッドサイズSUVのリリックはアメ車ながら右ハンドルが設定されている
■今後も日本にEVを導入する計画だ
アメ車ブランドが日本にEVを投入
新生キャデラックを象徴するBEV(バッテリー式電気自動車)第1弾のミッドサイズSUV「リリック」がついに日本上陸! しかも全車右ハンドル、そしてCHAdeMO(チャデモ)規格の急速充電器にも対応するという、GMの本気がひしひしと感じられる仕様で、2025年3月8日より販売が開始された。
前日の7日に都内で開催された「BEV導入戦略発表会」では、リリックの日本仕様が2台展示されるとともに、その詳細も明らかに。また、2026年に日本導入予定の全電動コンパクトSUV「オプティック」右ハンドル車の実車も披露された! ただし「オプティック」の日本仕様については詳細が明らかにされず、また施錠された状態での展示だったが……。
そして、プレゼンテーションの場には、ゼネラルモーターズ・ジャパンの若松 格(わかまつ ただし)社長のみならず、GMアジア・パシフィックのプレジデント&マネージングディレクターであるヘクター・ヴィラレアルさん、さらにはグローバル・キャデラックのバイス・プレジデント(副社長)、ジョン・ロスさんも登壇。キャデラックの今後の日本市場におけるBEV導入戦略が発表された。
最初に登壇したロスさんがまず強調したのは、キャデラックが1世紀以上もの歴史のなかで、いくつもの技術革新を引き起こし、それらをスタンダードとしていったキャデラックの、高級車ブランドとしてのあり方。2023年にアメリカ市場より順次販売が開始された「リリック」と、その後に続くBEVラインアップの拡大は、そんなキャデラックのあり方を体現したものであることを示唆している。
さらに、「今後も世界標準であり続けるという極めて野心的な目標」として、「キャデラックをこれまでの歴史で培ったヘリテージを保持しながら、大胆でエキサイティング、かつ洗練された楽観的なブランドとし、リーダーとしての地位を確立したい」と宣言。
「完全に電動化された未来には、まだ出会えていないお客様が世界中にたくさんいる。そして、伝統と最先端を兼ね備えたラグジュアリー体験を世界中にもたらし、我々が真の高級車ブランドとなるには、右ハンドル車が必要不可欠だ」と語り、日本へ「リリック」の右ハンドル車を導入する意義を強調した。
また、過去2年間でBEVの販売が世界的に減速傾向にある一方、キャデラック製BEVは2024年のアメリカ市場においてもっとも売れ、かつ29の州においてキャデラック車のなかで約20%のシェアをBEVモデルが獲得。しかもキャデラックユーザーの平均年齢は下がり、かつBEV購入ユーザーの76%が新規客だという。
今までのアメ車イメージを覆す
では、これらの華々しい実績をもたらした、キャデラック製BEVの魅力はどこにあるのか。若松社長は「美しいデザイン」「緻密なクラフトマンシップ」「豪華なインテリア」「驚異的な走行性能」の4つを挙げている。
展示されていた実車を見てみると、全長×全幅×全高=4995×1985×1640mmという長くワイドで低いプロポーションなうえ、ホイールベースは3085mmとBEVらしく非常に伸びやか。そして室内もそのプロポーションから得られる期待を裏切らないレベルで広く、とくに後席の膝まわりは身長174cm・座高90cmの筆者が座っても30cmほどの余裕があった。
しかも、1640mmの低い全高に、510kmの航続距離を実現する容量95.7kWhの「アルティウムリチウムイオンバッテリー」をホイールベース間に搭載し、前後席の頭上をカバーするガラスルーフを標準装備しながら、同じく約10cmのヘッドクリアランスを得られるという、優れたパッケージングのもち主でもある。
そして内外装のデザインは、キャデラックらしい押し出しの強さを備えながら、極薄のランプ類や33インチのLEDディスプレイ、非動物由来の合成皮革「インタラックス」などの先進的な装備がもたらす、モダンかつ豪奢な質感も兼ね備えている。
日本仕様に導入されるのは、170kW(231馬力)と309Nmを発するフロントモーターに、241kW(328馬力)と415Nmを発するリヤモーターを組み合わせ、トータル384kW(522馬力)と610Nmを発揮するAWDモデルの「スポーツ」グレードのみで、前後に275/45R21 107Vタイヤ(展示車両はコンチネンタル・プレミアムコンタクト6)を装着。車重は2650kgと相応に重めながら、0-100km/h加速は5.5秒、前後重量配分50:50というから、スポーティな走りも大いに期待できそうだ。
そんな「リリック」日本仕様は、ディーラーが在庫をもたないワンプライス制の「エージェントモデル」として販売され、メーカー希望小売価格ではなく指定価格が消費税込みで1100万円。また3月16日(日)までは「ローンチキャンペーン」を実施中で、外装色5色(通常は3色)、内装色3色(通常は2色)、またふたつのルーフ関連オプションから選ぶことが可能となっている。
そしてこの「リリック」に続き、2026年には前述の「オプティック」、3列シートSUVの「ヴィスティック」、さらには「リリック」の高性能モデル「リリックV」も、日本へ導入される計画が明らかにされている。今後大きく変化するキャデラックから目が離せそうにない。

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