
この記事をまとめると
■国産ネオクラシックカーはパーツの廃番が課題だ
■同年代の輸入車であれば世界中にパーツが存在する
■人気モデルであれば愛好家も世界中にいるので助けてもらえる可能性も高い
旧車趣味は輸入車がオススメ!?
輸入車といえば頻繁に壊れる、修理に時間がかかる、パーツが手に入りにくい、何より維持費が高い……といったネガティブなイメージをもたれるかもしれません。しかし、旧車およびネオクラシックカーに関しては、同年代の国産車よりも輸入車のほうがパーツが入手しやすいケースも少なくないのが実情です。
「それはなぜか?」
今回の記事のテーマの結論を先に述べてしまうと、かつて日本国内専売モデルとして発売されていたモデルと、世界各国に輸出された(日本国内に輸出された)輸入車とでは、台数やそれに付随するパーツの生産数・現存数が圧倒的に違うからです。
これを踏まえたうえで、「旧車に乗りたいなら輸入車がおすすめな5つの理由」をピックアップしてみました。
●おすすめな理由①:世界中にパーツがある。海外のネットオークションも入手経路
旧車に乗りたいなら輸入車がおすすめな理由として、最大の理由が「世界中にパーツがあること」が挙げられます。一部の国産旧車およびネオクラシックカーは、とうの昔に純正パーツは製造廃止。金型はもちろん、在庫もありません。頼りになるのはショップや個人のデッドストック。とはいえ、ネットオークションにもめったに出品されず、いざ出ようものなら「札束の殴り合い」状態。下手をすると友人知人が「同士討ち」をしていることもあります。
その点、古い輸入車は探せば見つかる可能性が高いです。まずは日本国内でパーツを探し、それでも見つからなければ、海外のショップやeBayを活用すれば手に入る確率が格段にあがります。また、メーカーによってはクラシック部門があり、過去のさまざまなモデルの部品を再生産しているケースも実在します。ミもフタもないいい方にはなりますが「探していてもモノがない」国産車と比べて、輸入車は「お金さえあれば何とかなる」確率が高いのです。
●おすすめな理由②:リプロパーツも豊富
フォルクスワーゲン ビートル(タイプ1)をはじめとする世界中に愛好家がいるクルマであれば、いわゆる生産が終了した絶版パーツを再生し、販売する「リプロパーツ」が豊富にそろっています。
「みんなが探しているし、ないパーツは作ってしまえ!」と、商売目的だったり、はたまた人助けだったり、さまざまな経緯で純正品並みのリプロパーツを「起こしてしまう」のです。「フルオリジナル原理主義」のオーナーには受け容れ難いかもしれませんが、もっと手軽に旧車趣味を楽しみたいユーザーにとっては願ってもない話といえます。
リプロパーツだけに、クオリティは玉石混交。なかには粗悪なリプロパーツも含まれます。しかし、そこはネット社会。同じクルマを所有する世界中のオーナーが「オススメはここ。●●のショップのパーツは品質が悪いから買っちゃダメ!」といった情報を惜しみなく流してくれます。
仲間が世界中にいる安心感
●おすすめな理由③:日本だけでなく、海外のオーナーも強力な助っ人に
前述したように、同じクルマを所有する日本国内のオーナー同士のコミュニティはおおいに活用したいところです。SNSやLINEグループなどに参加して、困っていることや探しているパーツについて問いかければ、誰かしら解決方法を教えてくれます。ときには、秘蔵のストックパーツを信じられないような破格値で譲ってくれることもあります(受けた恩は、次に困っているオーナーを助けることで報われます)。
さらに、海外のオーナーとも積極的にコミュニケーションをとることで得られる情報量が格段に増えます。とくに、生産国のオーナーのコミュニティであれば、現地の人しか知り得ない情報や、新車から所有しているオーナーから貴重なアドバイスがもらえるかもしれません。外国語が話せなかったり、文章が書けなくとも、Google翻訳をはじめとする無料で使える自動翻訳ツールを駆使すれば大きな問題はありません。
一応、現地の人に「Google翻訳を使っているのでわかりにくいかもしれないけど……」と伝えれば、それを見越したうえで対応してくれるケースが多く、心配は無用です。なぜなら「同じクルマをこよなく愛する仲間」だと思ってくれているからです。
●おすすめな理由④:老舗の専門店と頼れる主治医の存在
特定のメーカーやモデルに特化したスペシャルショップや、たとえば「イギリス車であればたいがいは何とかなる(何とかする)よ」といった具合に、豊富な経験のノウハウをもつ老舗の専門店が全国各地に点在しています。なかには一見さんお断りの専門店(既存のお客さんのクルマをメンテナンスするので手一杯であることが多いため)もありますが、ツテをたどっていけば「俺(私)が紹介してやる」と話をつけてくれる人がどこからともなく現れます。
よほどマイナーなメーカーやモデルでない限り「頼れる主治医探し」は意外と何とかなってしまいます。紹介してくれた人にはお礼を忘れずに(相手も見返りを求めているわけでないので、感謝の気もちを伝えるだけでも十分です)。
●おすすめな理由⑤:国産旧車ほど過熱していない
ここ最近の国産旧車およびネオクラシックカーの過熱ぶりは、ある種異常なほど。海外へ流れている個体も増えつつあり、それに伴って中古車相場やパーツの価格も上昇しています。また、国産車メーカーが旧車およびネオクラシックカーのパーツの再生産を始めました。現在は少しずつ数が増えつつある初期段階であり、またメーカーが扱う以上(仕方がないとはいえ)それなりの金額となります。
その点、輸入車の旧車であれば、いまに始まったことではないので国産車ほどヒートアップしていません。ただし、輸入車も多くのモデルの中古車相場、そしてパーツの流通価格が上昇しているので、ひと昔前のような価格で手に入れることが難しくなりつつあるのは確かです。
●(お金さえあれば)パーツに困らない輸入車の旧車たち
「お金さえあれば」といった枕詞付き……ではありますが、パーツに困らない輸入車の旧車たちを挙げると、クラシックミニやシトロエン 2CV、フィアット500、フィアット・パンダ、フォルクスワーゲン・タイプ1〜3、メルセデス・ベンツ メディアムクラス(W124)、さらには空冷時代のポルシェ911などなど。予算や好みに応じて、さまざまなモデルがあることがわかります。これらのモデルはいまでも街なかで見かける機会が多く、決してレアな存在ではありません。
国産車および輸入車を問わず、旧車およびネオクラシックカーを維持するにはそれなりに費用がかかります。また、「壊れる」のではなく「壊す」ケースも少なくありません。クルマに合わせた乗りかた、労りかたが求められます。つまり、大なり小なり維持するには「覚悟」が必要です。それは億劫だなあと思うのなら、古いクルマには目もくれず、最新モデルを買ったほうが幸せになれます。
頼りになる主治医の目処も何とかする。壊れたら自分で直す覚悟もある。あとはどの沼を選ぶか。いずれにしても「底なし沼」であることは確かです。

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