記念に甲子園の土を持って帰る高校球児はいるが、銀行の土?それで金運がアップする?中国では謎のトレンドが生まれたようだ。

 人間の欲につけこんで、怪しい壺やらパワーなんちゃらやらを売りつける商売が後を絶たないのはそれなりに需要があるからだろう。

 今、中国で話題になっているのが、「これさえあれば富を得られる!」とう必殺アイテム、「銀行の土」という商品なのだ。

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「銀行の土」を買ってお金持ちになろう!

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 中国のネットショップで近頃大量に売りに出されているのが、銀行から採取してきたという「土」を袋詰めにした商品である。

 1袋200g~500gくらいで、お値段の方はピンキリだが、安いもので日本円で約200~2,000円程度、高いものだと約18,000円くらいするケースもあるようだ。

image credit: 文匯網[https://www.wenweipo.com/a/202502/27/AP67c0343fe4b0aa9a46e893a7.html]

 販売者の説明によると、こういった「銀行の土」は、銀行の前にある緑地や花壇、銀行内の植木鉢などから採取してきたものだという。この土を買うと運気を変え、財を呼び込む効果があるのだそうだ。

この土は金運を引き寄せるために、五大元素を人工的に採取したものです。金運が向上し、邪気を払う効果があります

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 また、別の業者はこんな謳い文句を掲載している。

五大銀行の土の金運上昇率は999.999%で、家族を裕福にします

 そして「10万個売れた!」「100万個以上売れた!」などと、消費者を煽るコピーが続くパターンも。

image credit: 中国消费网[https://www.ccn.com.cn/Content/2025/02-24/1446420205.html]

 五大銀行とは、「中国銀行(BoC)、中国工商銀行(ICBC)、中国農業銀行(ABC)、中国建設銀行(CCB)、交通銀行(BoCom)の5つの商業銀行のこと。

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 これらの主要銀行から集めた土には、他の銀行のものよりも大きなパワーがあるんだそうだ。

 中には本物の銀行の土であることを証明するために、実際に土を掘る様子を写した動画を投稿している業者もいる。

 銀行の前で土の入った容器を手に、「広東省の劉さん、あなたの土ですよ!」とか、「北京の0863さん、あなたの土を掘っていますよ」などと客に向かって叫ぶんだそうだ。

image credit: 中国消费网[https://www.ccn.com.cn/Content/2025/02-24/1446420205.html]

土の売買は法律違反の可能性も

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 だが中国では 緑地帯などは基本的に自治体の所有数る施設であり、そこから土を採取することは法律に違反する恐れがあるという。もし本当に銀行の敷地や植木鉢から採取したのだとしたら、こちらは紛れもない窃盗罪だ。

 そして中国では、営業許可を取得していない業者による土壌の売買も違法であり、個人的に土を売ると犯罪になるんだとか。

 こうした法律違反のリスクを冒しても「銀行の土」を販売する業者が後を絶たないのは、やはりそれだけ需要があるということなのだろう。

image credit: 央视网[https://news.cctv.com/2025/02/26/ARTI8LghMspI68hzvEXgbwGZ250226.shtml]

 中国ではいまだに風水や陰陽五行説が生きており、建築やインテリアなどの分野では風水の考え方が根強く残っている。

 購入者はこの土を買って、植木鉢で花を育てたり、「風水的に良い」場所に置いたりしているんだそうだ。

 それで効果があるかどうかは甚だ疑問ではあるが、購入者が満足しているのならその点ではまあよかろう。信じることで夢が実現することもあるにはあるし。

 だがこの土が「盗品」となると、話はまた変わってくるのではないだろうか。

 盗んだ土を家に置いておいても、福をもたらす効果なんか期待できないし、逆に厄をもたらす可能性もありそうだ。

 この「銀行の土」の違法性がニュースメディアで大きく取り上げられた後、多くの業者が通販サイトから撤退し始めたという。

 だが彼らが売っているのは土だけではない。「四大銀行水」「五大銀行灰(マネーカウンターに積もったホコリ)」「五大銀行葉(観葉植物などの葉っぱ)」といった商品名が、まだまだオンラインショップには並んでいる。

 まあ、「鰯の頭も信心から」と言うし、こういった商品が心の拠り所となって、運気を呼び込む可能性がまったくのゼロではないのかもしれない。人間の欲がなくならない限り、こんな商売もきっとなくならないんだろうな。

References: 3•15在行动|买“银行土”能招财、转运?“暴富”存疑“智商税”保真[https://www.ccn.com.cn/Content/2025/02-24/1446420205.html]

本記事は、海外の記事を参考に、日本の読者向けに重要な情報を翻訳・再構成しています。

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