
この記事をまとめると
■昭和のドラマではシートベルト未着用のシーンが普通に見られる
■手動で窓を開閉するレギュレーターハンドルの存在も当時は一般的だった
■車内喫煙や公衆電話利用のシーンなどもいまでは見かけなくなった光景だ
昭和ドラマに見る「こんなのってアリ?」
オジさん世代はすでに地上波放送のバラエティ番組にはついていけなくなったこともあり、いまはBS放送かケーブルテレビを中心にテレビを視聴している。海外ドラマや海外系チャンネルの名車再生ものを楽しく視聴するほか、社会構造の変化もあり、いまでは地上波で再放送できないとされる「西部警察」など、昭和の懐かしいドラマを楽しく視聴する、典型的な「オジさん的テレビライフ」を日々送っている。
そんな昭和のころのテレビドラマを見ていると、オジさんとはいえすっかり現代社会に染まっている筆者が違和感とまではいかないものの、若い世代から見れば文字どおり「?」と思えるシーンを目にすることがある。
クルマに乗ってもシートベルトを締めない
現状では一般道路、高速道路を問わず、自動車に乗車したらフロントであろうがリヤであろうが、シートベルトの着用義務が課されている。これはタクシーや貸切バスに乗車したときも同様で、たとえばトヨタJPNタクシーでは、乗車してシートベルト着用を忘れるとたちまち警告音が鳴るようになっている。
新興国であっても、シートベルト着用を忘れているとすぐにタクシー運転士から指摘されることが多い。日本ではシートベルトを締めると運転士からわざわざ「ベルト装着ありがとうございます」といわれることも多いので、日本ではいまも乗客の多くはシートベルトを着用せずにタクシーなどに乗車しているのだなと考えている。
日本においては1969年4月1日より運転席へのシートベルト設置が義務付けられた。追って、1973年12月1日より助手席への設置が、1975年4月1日より後部座席へのシートベルトの設置が義務付けられることとなった。
着用義務については、1985年9月1日より、高速及び自動車専用道路において運転席と助手席でのシートベルト着用が義務化された。1992年11月1日より一般道でも着用義務化となり、2008年6月1日より全席でのシートベルト着用が義務化された。また、2012年7月1日からはリヤ中央席への3点式シートベルトの設置が義務化されている。
我が家に初めてマイカーがやってきたのは1976年11月。当時、筆者は小学生であったが、シートベルトを日常的に装着する習慣はなかったものの、衝突時の安全を考慮したのか「子どもは後席へ」というようなことをよくいわれたが、助手席が筆者の専用席でシートベルトもせずに乗車していたことを覚えている。
昭和のドラマ(義務化前)を見ていると、当たり前のように前席であってもシートベルトを装着せずに乗車しているシーンが目に入ってくる。「そういえば当時はしなくてよかったんだよな」と懐かしく思うとともに、さまざまな装備の充実や啓蒙活動によりシートベルトを装着することが当たり前となったいまでは、筆者の世代であってもシートベルトを着用しないその様子に違和感を覚えるようになったことを改めて感じている。
手動で窓ガラスを開けるレギュレーターハンドル
いまでは軽トラックでも当たり前のように装着されているのがパワーウインドウ。しかし、過去にはクラウンなどの上級車であっても、廉価グレードではクルクルとレギュレーターハンドルを手でまわして窓の開け閉めを行っていた。
大衆車の代表であったトヨタ・カローラでは、1987年にデビューした6代目で初めて最上級となるSEリミテッドのみに全席パワーウインドウが初めて標準装備された。いまでは約106万円のスズキ・アルトの廉価グレードでもフロントドアにパワーウインドウを標準装備するようになっている。そのため、「Z世代」並みに若くなくともレギュレーターハンドルを見ても、それでドアガラスの開閉ができるということを知らないひとがほとんどとなっていると聞いている。
筆者の小学生時代はハンドルを可能な限り速くまわして競ったり、モーターで開閉を行うパワーウインドウのように窓を開け閉めさせて遊んでいたりしていたのだが、そんな話も「オジさんのたわごと」となってしまっている。
公衆電話もタバコも若い世代には遠い存在に
公衆電話の利用
携帯電話が普及するまでのドラマでは、クルマを運転しているときに誰かと連絡したくなると、公衆電話の前にクルマを停めて電話ボックスに駆け込む、といったシーンがよくあった。ところが現代社会では、公衆電話の使い方を知らない子どもがほとんどとなっているようだ。
外出時の連絡手段が公衆電話しかなかったころ、筆者の生活圏にある某国道の道路脇に「ドライブスルー公衆電話」が設けられた。高速道路の非常駐車帯のようなものが設けられ、レーン沿いに設置された公衆電話の真横にクルマを着けることができ、クルマから降りずに電話が使用できるというものだ。かなり以前の時点ですっかり廃墟となっていたが、懐かしい昭和のひとコマだったと感じている。
ちなみに筆者は毎年秋にロサンゼルスに出かけるのだが、常宿の近くにはクルマに乗ったまま洗濯物の受け渡しや引き取りのできる、「ドライブスルークリーニング屋」が存在している。
車内喫煙
昭和の名画のひとつであるハリウッド映画「ブルースブラザース」は、冒頭で刑務所に入っていた兄のジェイク・ブルースを、弟のエルウッドが競売で購入したパトカーで迎えに来るシーンからはじまる。助手席に乗ったジェイクがシガーライターでタバコに火をつけると、シガーライターを窓から外に投げ捨ててしまう。映画全体からすればどうってことのないシーンのようにも思えるが、筆者にとっては強く記憶に残るシーンである。
日本の昭和のドラマでは、とにかくタバコを吸うシーンが多く出てくる。それが屋内だろうが、屋外だろうが、車内だろうが、ところ構わずだ。当時のクルマの必須装備は灰皿とシガーライターとなっており、インパネの一番いい場所に当たり前のように設置されていたのだ。いまでは信号待ちなどで隣のクルマのドライバーが車内でタバコを吸っているところを見たりすると、「えっ?」と思われるくらいで、いまどきは喫煙者にとっては肩身の狭い世の中になっている。
過去には、タクシーに乗り込むと、直前の乗客が車内でタバコを吸っていたようで、タバコの煙の臭いが車内に充満して嫌な思いをしたことが数えきれないほどあったが、いまはそんなことはほとんどない。過去には中距離通勤電車の車内でタバコを吸えた時代もあった。タバコ自体は苦手だが、車内でスパスパとタバコを吸うシーンが当たり前に出てくる昭和のドラマになつかしさを感じてしまう。

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