
この記事をまとめると
■1989年1月に初代レガシィツーリングワゴンが誕生するとワゴンブームが訪れた
■国内外のメーカーからさまざまなモデルが登場した
■現在は国内メーカーからほとんどのワゴンが消滅した
かつて日本はワゴン大国だった
1989年1月にレガシィツーリングワゴン(初代)がデビュー。駆動方式は全車4WDが採用され、さらに人も荷物も積めるスタイリッシュなクルマとして、あれよあれよといううちに夏はキャンプや海、冬はスキーなどのウインタースポーツの足として注目されていきます。それから遅れることおよそ8カ月、トップグレードの「GT」が追加されると、スタイリッシュかつスポーティ(速い)なステーションワゴンといったイメージを確立します。
その後、1993年にデビューした2代目でもそのイメージを受け継ぎ、人気を不動のものとしたレガシィツーリングワゴン。セダンもラインアップされていましたが、レガシィといえばいまも昔もツーリングワゴンが代表格といえるでしょう。
レガシィツーリングワゴンのあまりの人気ぶりに他メーカーも黙ってはいません。次々とライバル車を投入し、あっという間にステーションワゴン戦国時代へ突入。そのいっぽうで、国産ステーションワゴンを卒業した人には、ボルボやメルセデス・ベンツEクラス(ミディアムクラス)へとステップアップしていくという王道路線まで確立されることとなります。
そんな、日本におけるステーションワゴンブームの牽引役でもあるレガシィツーリングワゴン(2代目)と、ライバルと目された3台の国産ステーションワゴンにスポットライトを当ててみました。
※中古車の平均価格および価格帯はカーセンサー調べ。2025年2月現在のものです。
●スバル・レガシィツーリングワゴン(2代目)
・生産期間:1993年10月~1998年5月
・当時の新車の価格:174万円〜319.3万円
・中古車の平均価格:90.8万円
・中古車の価格帯:59万円~245.8万円
前述したとおり、レガシィツーリングワゴンの人気を不動のものとした「BG型」とも呼ばれる2代目。このクルマのデザインに携わっていたのが、スバルに在籍する前には当時のダイムラー・ベンツ社に籍を置いていたオリビエ・ブーレイ。初代で確立した「ハイパワーエンジンを搭載したステーションワゴン」の代名詞でもある「GT」の水平対向エンジンは、排気量は2リッターのままでありながら2ステージツインターボ化。最高出力250馬力をたたき出すこのGT系のグレードが、売れに売れたのです。4速ATのほか、5速MTも選択可能であり、水平対向特有のエンジン音もこの時代はまだ健在。まさにイケイケ(死語)なモデルだったのです。
●トヨタ・カルディナ(初代)
・生産期間:1992年11月~1997年8月
・当時の新車の価格:170.9万円〜276.1万円
・中古車の平均価格:-
・中古車の価格帯:-
1992年11月デビュー。打倒レガシィツーリングワゴンとして、そして「カリーナ サーフ」の後継モデルとして10代目コロナをベースに開発したのがカルディナ(初代)。エンジンは1.8リッター直4および2リッターと2リッターディーゼル(いずれもNA)を用意。スポーティさではレガシィに軍配があがり、結果として牙城は切り崩せなかったものの、使い勝手のいいステーションワゴンとして人気を博したのです。しかし、2025年2月現在、中古車として流通する個体は1台もなし。あれほど街中を走っていた初代カルディナの多くが廃車となり、一部は海外へと旅立っていったと推察されます。ごくまれに、街で元気な姿を見掛けると嬉しくなるのは筆者だけでしょうか。
直6エンジンにV6エンジンまでもが選べた
●日産ステージア(初代)
・生産期間:1996年9月~2001年9月
・当時の新車の価格:227万円〜446.5万円
・中古車の平均価格:200.2万円
・中古車の価格帯:49万円~600万円
1996年9月デビュー。R33型スカイラインとシャシーを共有し、搭載されるエンジンもRB系の直列6気筒エンジン(デビュー時は2リッター、2.5リッター、2.5リッターターボを設定)。まさにワゴン版スカイラインともいえるのが日産 ステージア(初代)でした。スタイリングはボルボ850やV70を想起させる直線基調が特徴。そして1997年には、スカイラインGT-Rと同じ「RB26DETT型」エンジンを搭載した、オーテックバージョン「260RS」が追加。トランスミッションも5速MTのみというスパルタンさ。まさにGT-Rワゴンともいうべき成り立ち、国産スポーツワゴンの頂点に君臨したモデルといえます。
●三菱レグナム
・生産期間:1996年8月~2002年8月
・当時の新車の価格:192.3万円〜339.4万円
・中古車の平均価格:133.5万円
・中古車の価格帯:80万円~455万円
初代ステージアとほぼ同時期である1996年8月にデビュー。ギャランのステーションワゴン版がこのレグナムであり、上級モデルに最高出力280馬力、2.5リッターV6ツインターボに4WDを組み合わせるなど、レガシィツーリングワゴンよりも上級志向のパッケージでありながら同価格帯という、ある種のお買い得感すらあるモデルとして人気を博しました。残念ながら後継モデルは存在せず、この1代限りで終了。2025年2月現在、中古車として販売されている個体も1ケタと、絶滅危惧種になりかけているレグナム。手に入れてみたいと考えているならば、そろそろラストチャンスかもしれません。
まとめ:いまの日本車でワゴンと呼べるクルマは……
上記3台以外にも、一時期は各国産メーカーからさまざまなステーションワゴンが販売されていました。いま、日本車で選べるワゴンといえば、トヨタ・カローラツーリングとスバル・レヴォーグくらい。昨年まではマツダ6ワゴンも生産されていましたが、こちらも販売が終了しています。いま、新車のステーションワゴンがほしいとなれば、この2車種か、ヨーロッパ車(主にドイツ車)です。
レガシィツーリングワゴンがデビューする以前、ワゴンはもバン(商用車)のイメージが強く、どちらかといえばマイナーな存在でした。
ちなみに、筆者の愛車もステーションワゴンです。それまでは車高が高いミニバンに乗っていましたが、どうも運転感覚が馴染めず、昨年、20年振りにステーションワゴン(中古車ですが)を手に入れることにしました。
乗用車感覚で運転ができて、いざとなればたくさんの荷物が積める。使い勝手のよさと運転の楽しさを再認識しています。いまのSUV人気を覆すのは難しいとしても、ステーションワゴンならではの魅力が再認識されるときが訪れることを願うばかりです。

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