
「ノアの方舟」の痕跡とまことしやかに囁かれる場所で、今から5000年ほど前の海の化石が発見されたそうだ。
その化石が意味するのは、当時ノアがたどり着いたとされる「アララト山」周辺は、かつて水没した可能性があるということだ。
この発見は、旧約聖書で語られるノアの方舟伝説が、史実に基づいたものである可能性を示唆しているかもしれないという。
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ノアの方舟伝説とアララト山
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かつて神は人間の堕落を嘆き大洪水で滅ぼそうとしたが、心正しきノアには方舟を建造するよう告げた。
ノアはその方舟に家族とあらゆる動物のつがいを乗せ、40日40夜続いた洪水をしのぎ、やがてアララト山に漂着する
その地で祭壇を築いて捧げ物をすると、神から祝福された
これは神話のエピソードだが、伝説の中に史実に基づいたものがあるように、ノアの方舟にもそのモデルとなる出来事があったとする説がある。
たとえばトルコ東部、アララト山山頂から南に18kmの場所には、ノアの方舟の痕跡とされるものがある。
それが「ドゥルピナール地層(Durupinar formation)」と呼ばれる、褐鉄鉱でできた地形だ。
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その形状はどこか船を思わせるだけでなく、164mの長さも旧約聖書の記述「長さ300キュビト(157m)」に一致する。
こうしたことから、ドゥルピナール地層はノアの方舟が化石化したものではないかと、まことしやかに囁かれるのだ。

かつてアララト山は水におおわれていた?
今回イスタンブール工科大学をはじめとする研究チームは、ドゥルピナール地層から岩石と土のサンプルを採取し、そこに大洪水の痕跡がないか調べている。
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すると紀元前3000~前1500年頃のものと思われる海洋堆積物や貝類の化石などが見つかったのだ。
大洪水が起きたのは紀元前5500年~前3000年という説があるが、今回の発見はそれに近い時代、ドゥルピナール地層一帯が水の底にあった可能性を示唆している。

研究チームは、「この研究は、当時この地域に生命が存在したことや、水におおわれていたことを示しており、大規模な壊滅的現象が起きていた可能性を裏付けている」と語る。
ドゥルピナール地層は、1948年にクルド人の農民によって発見され、1951年に行われたNATOの測量任務がきっかけで国際的に注目されることとなった。
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これまでも繰り返し調査が行われ、証拠らしきものが発見されたこともあるが、それが本当にノアの方舟なのかについて議論の決着はついていない。
そして今回の研究チームも、あせって結論を出そうとは考えていない。
その狙いは、科学技術と地質学的分析手法を用いて神話と現実を区別し、ドゥルピナール地層の地質学的・考古学的な意義を検証することであるそうだ。
References: Home - Noah's Ark Scans[https://noahsarkscans.com/] / Signs of Ancient Flooding Found at Alleged Noah’s Ark Parking Spot | Ancient Origins[https://www.ancient-origins.net/news-history-archaeology-religions/noahs-ark-turkey-0021951] / https://www.jpost.com/archaeology/archaeology-around-the-world/article-845277
本記事は、海外の情報を基に、日本の読者向けにわかりやすく編集しています。

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