
高度な知能を持つタコを甘く見るとえらいことになるという教訓めいた動画が公開され話題となっている。
そのダイバーは魚突きのような道具でタコを突き、捕らえようとした。あまりタコを怒らせない方がいい。逆鱗に触れてしまったようだ。
タコは触手をダイバーの首と口元に巻きつけて張り付き、頸動脈をしめつつ、息ができないようにしたのだ。
まるで人間の弱点を熟知しているようなこの動き。ダイバーはタコを引き離そうとするが離れない。たまらず水面へと上がっていった。
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お前はオレを怒らせた。ダイバーに全力で立ち向かうタコ
2025年3月上旬、極東のロシア沖でシュノーケリングをしていた男性が海底にいたタコを発見。持っていた小型のモリかヤスらしき魚突きの道具で、タコを突き捕獲しようとした。
「なぜ私を狙う?私がおまえに何かしたか?」突然の攻撃に憤慨したタコは墨を吐いて威嚇を開始する。
だがダイバーはタコを離そうとはしなかった。
するとタコは本格的な反撃を開始する。ダイバーの腕と首、そして口に触手を絡めて、張り付いたのだ。
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まるで人間の急所が頸動脈と呼吸にあると知っているかのような的確な触手配置。さすが9個の脳(頭に1つと腕に8つ)を持つだけのことはある。
しかも8本の触手は脳からの指令がなくても独立した意思決定が可能なのだ。タコのホームグラウンドである海の中で、不用意にタコを突き、捕らえようしたこの男性は、自分の浅はかさを責めたことだろう。
男性はタコを引き離そうと必死だが、その触手が緩まることはなかった。呼吸が困難になった男性はたまらず水面へと上がる。

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そして息が尽きる前に、なんとかタコを引き離すことに成功。タコはそのまま水中へと泳いでいった。
このタコはごく一般的なマダコの仲間(octopus vulgaris)だそうで、こちらが危害をくわえなければ襲ってくるようなことはない。
カラパイアの読者ならよく知っているだろうが、タコは無脊椎動物でありながら、高い知能で知られている。
道具を使いこなし、迷路の謎を解いたりと、極めて複雑な脳と認知能力があり、人間同様、ゲノム上で位置を移動できる遺伝子「トランスポゾン」を持っていることが2022年の研究で明らかになっている。
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また、米サンフランシスコ州立大学の2021年の研究によると、タコにも痛覚が存在し、痛みを避ける行動をとることが明らかになっている。
ダイバーに刺されて痛かったので、反撃をくわえた可能性もあるな。
ネットユーザーからは様々な声があがった。
「タコの生息地を破壊したダイバーが攻撃を受けるのは当然の報いだ」、「いい教訓となったね、平和に暮らしているタコはそっとしておいてあげて」といった声や、「カメラマンは助けることもなくずっと見てたの?それはそれでどうかと思う」と、カメラマンを批判する声もあった。
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まあそんなわけで、一般のダイバーはタコに遭遇しても、あまり怒らせないようにした方がよさそうだ。
中には、タコと友情を築いたダイバーもいるんだけどね。竜宮城めいた場所に案内されたダイバーもいる。
やっぱり知能の高いカラス同様、タコも信頼した人間には絆を結ぶことができるし、敵認定した人間には容赦ないようだね。
好奇心旺盛なタコが装備品を奪いにくることも
だが時に知的好奇心旺盛なタコの場合、人間が何もしなくても人間が持っている装備品に興味を持って奪おうとすることもあるからね。
以下の映像は日本海でロシアのダイバーが酸素ボンベをタコに奪われそうになった時の物だ。
さらに以下の動画はロシアの海域で、ダイバーのカメラ機材に興味を持っちゃった大型のタコがそれを奪おうとする映像だ。

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