
不動産屋が隣人に「個人情報」を言いふらしている――。そんな投稿が話題になっています。
Xに投稿された内容によると、不動産屋から新居の隣人に対して、投稿主の職業や職場を言いふらしているそうです。
職業は医者だという投稿主は「これって違法ですよね?」とつぶやいていますが、たしかに近所の人に知られたくないという人も少なくないと思います。
不動産業者がこれらの情報を他人に漏らすことは違法なのでしょうか。
⚫︎宅建業法違反になりうるその不動産業者が職務上知り得た秘密を隣人に漏らした場合、宅建業法上の守秘義務違反になるといえそうです。
宅建業法45条本文には「宅地建物取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない」とあります。
どんな職業であるかということ自体もプライバシーとして保護されるべきですし、その職場がどこかについてはいうまでもありません。
したがって、この不動産業者が、この情報を業務上取り扱ったことについて知り得たのであれば、守秘義務が課せられることとなります。
●守秘義務が解除される「正当な理由」にはならないただし、この条文上「正当な理由」があれば、守秘義務は解除されます。
この「正当な理由」が認められるのは、たとえば宅建業法上、告知義務がある事項を伝える場合などがあげられます(同法47条1号参照)。
投稿主の職業は「医者」ということで、もしかしたら、不動産業者は「隣人の地位がしっかりしている安心な物件です」というために話したのかもしれません。
しかし、隣人の職業は、告知義務がある事項を伝える場合にはあたらないでしょうし、その他の正当な理由がある場合ともいえないでしょう。
また、この条文のただし書きには「宅地建物取引業を営まなくなつた後であつても、また同様とする」とあるので、たとえ不動産業者を辞めたあとでも、漏らすことは許されません。
他人のプライバシーにかかわる部分をむやみやたらと口に出すのは、どんな職業であっても避けるべきといえるでしょう。

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