
「高齢者用マニュアル」を持つ詐欺師たち
ASCII.jpのYouTubeチャンネル特番からスピンアウトした「思わずヒヤッと/ホッとした、ネットにまつわる怖い話」を紹介する連載第47回。今回は「かつて使っていたWebサービスにヒヤリ!?」というお話をお届けします。
今回は「怪しい電話に怯える高齢家族の日々にヒヤリ!」というお話をお届けします。
今回のヒヤリ案件は、大切なおばあさまのお宅にかかってくる悪質な営業電話や詐欺電話にヒヤヒヤしているという投稿者さんからのご報告です。
投稿者さんが危惧している通り、高齢者宅を狙った電話詐欺が増加しています。すでに見た人も多いかと思いますが、先日のNHKの報道によれば、お年寄りばかりを狙った不動産詐欺事件で摘発された悪徳業者が、特殊な名簿やマニュアルを利用していたのだそうです。
その特殊な名簿というのが、80歳以上の高齢者数万人の個人情報が記載されているもので、その悪徳業者は名簿業者から1件あたりわずか10円でその情報を購入していたというから驚きです。
80歳以上のお年寄りというと、認知症およびその手前である「軽度認知障害(MCI)」であることも少なくありません。80歳以上を狙って「アポ電」する理由は、そういった「騙しやすい」人たちをあぶり出すためなのです。効率よく騙すためのマニュアルまで存在しますから対策は急務と言えます。
また公的機関、たとえば「総務省」を騙った詐欺電話も非常に多くなっているそうです。総務省の「総合通信基盤局」を名乗り、「お客様の携帯電話は2時間以内に利用停止処分となります」などの自動音声を再生し、これに反応してしまうと今度は人間(もちろん詐欺師)にあれやこれやと吹き込まれて現金を騙し取られることになるそうです。
そういった事例があるのですから、高齢のご家族がいる場合には同居非同居にかかわらず、注意喚起すべきでしょう。
スマホはまず「システムアップデート」から!
まずは「見知らぬ電話には出ない」ということ。留守電にしておいて、録音された内容を正しく把握してから対応することが肝要です。またその場合でも、「相手に誘導された電話番号に簡単に架電しない」ということが重要になります。
また、自宅の固定電話だけではなく、高齢者のスマホが狙われるケースも多発しています。固定電話と同様に「知らない番号には対応しない」「留守電も必ず精査する」という基本を高齢のご家族に日頃から説いておくべきでしょう。
音声通話のみならず、電話番号を悪用するショートメッセージ(SMS)が送られてくることも増えています。メッセージに含まれているURLをタップしないよう言い含めておきましょう。
何より重要なのは、これらのことを(たとえ嫌がられようとも)口酸っぱく伝えるとともに、もう1つ心掛けてほしいことがあります。
それが、高齢者の方々が使っているスマホの「システムアップデート」です。スマホに見つかった脆弱性を修正するシステムアップデートは、重要なセキュリティ対策です。これを怠ることで、音声電話やSMSによる詐欺とはまた異なるセキュリティの弱点が露呈することにもなりかねません。
たとえばNTTドコモは、Android OS対応スマホについて定期的にシステムアップデートを実施しています。これによって、スマホの脆弱性を狙ったサイバー攻撃の危険性を低下させることができます。ただし、スマホ製品ごとにアップデートの提供期間が設定されていますので、あまりに古い端末はシステムアップデートできない場合があります。その際はスマホの買い替えをおすすめします。
高齢者向けの、いわゆる「あんしんスマホ」にはさまざまなサイバー攻撃から高齢者ユーザーを守る「あんしんセキュリティ」といったセキュリティ対策アプリの使用が可能なものの、その対策アプリでも守り切れないのがOS自体の脆弱性です。
だからこそ、定期的なシステムアップデートは欠かせません。年末年始やお彼岸・お盆など、遠方に住むご高齢の家族に会う機会があれば、先に触れた電話への対応について注意喚起するとともに、システムアップデートの実行を勧めてください。場合によっては、代理でシステムアップデートを実行していただきたいものです。
ということで、投稿者さんも被害を恐れてヒヤヒヤする日々を送っているかもしれませんが、積極的におばあさまへアドバイスを送るとともに、できれば時間を作ってスマホのシステムアップデートを実行してあげてください。
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