『盤上の夜』『ヨハネルブルグの天使たち』などの著書で知られる作家・宮内悠介のエッセイ本『作家の黒歴史 デビュー前の日記たち』が本日刊行された。同作はタイトル通り、著者の宮内氏がデビュー前に書き連ねてきたという文章をまとめたものだ。

宮内氏は2012年に刊行された『盤上の夜』によってデビューした現役作家。同書はその刊行に前後して削除したり非公開に設定したりしながらも、ひそやかに取られていたバックアップから復元されたというものだ。

誰かに向けて書いたわけではなく、ひとり虚空に吼えるようにして書かれてきた日記や詩、散文など。思想強めに事故を開陳、息をするように政治の話をし、作家になれるのかと怯え、終わった恋を引きずり、呪われたアパートに住みながら、深夜に街を徘徊。

本書ではそうした「黒歴史」を掘り起こして過去の尖りまくった「自分」と再会し、改めて自己批評を試みようとするものになっているという。「ハマる人はめちゃくちゃハマってくれそうというか、そういうタイプの本」とのことなので、似たような経験を持つ人は少し覗いてみるといいかもしれない。

作家の黒歴史 デビュー前の日記たち 宮内 悠介 講談社 | 版元ドットコムはこちら