
今年も春を迎えて、就活シーズンが幕を開けた。就活生たちが常套句のように“周囲を巻き込む力”と口にするなか、その力を彼らの誰しもが羨むほどに備え、かつなぜだか応援したくなってしまうのが、りんかの持つ魅力である。
2023年夏に本格的にSNSを中心に芸能活動をスタート。一躍話題の人となった、りんか。2024年春の高校卒業と同じくして社会人に仲間入りをすると、現在はSNS総フォロワー数100万人を誇るインフルエンサー、TikTokやYouTubeなどの動画クリエイターに、ファッションモデルなど、幅広い分野で活躍の場を広げている。
そんな彼女に、現在の活動や幼少期のエピソード、さらには自身の代表作である「悲しがおポーズ」、大人気企画「りんかウンセラー」が誕生したきっかけなど、これまでの歩みついて詳しく話を訊いた。ありのまま生きる自己肯定感の高さを、まるで友だちのような距離感で接してくれるーーそんな彼女のようなクリエイターが求められることこそ、この令和の時代感を象徴しているのかもしれないと、深く考えさせられるインタビューだった。(一条皓太)
・「りんかはりんかだし、人は人」
ーーりんかさんは2024年春、高校卒業と同じくして社会人に仲間入りをしました。約1年がたった現在、ご自身の存在を“何者”として捉えていますか?
りんか:YouTubeクリエイターです! 昔から、YouTuberさんの動画にたくさん元気をもらってきて、そんな立場に今度は自分がなれたのもうれしいので。特に家族系YouTuberさんが大好きです。
ーー高校卒業時には進路報告書を提出したかと思いますが、そこにも“YouTuber”と書いたのでしょうか?
りんか:白紙で出しました! 別に反抗していたとかじゃなく、なにを書けばいいのかわからなかったから。先生にも「ま、りんかはこれでいっか」って言ってもらえたし(笑)。
ーー進路を選択するうえで、大学や専門学校への進学は頭にはありましたか?
りんか:もう全然。そもそも学校の授業が苦手で、積極的に発言したりしていたけど、心のうちでは「なんでみんなと同じことをしなきゃいけないんだろう?」ってずっと不思議に感じていました。でも、過去に7回もアルバイトに落ちてて(笑)。コンビニにもカフェにも適性がなかったみたいだから、いまの事務所に声を掛けてもらえてすごく救われたなと。
ーーりんかさんのずば抜けた“コミュ力”は、そうした接客業でこそ発揮されそうなものですが。私が担当だったら即採用しています。そんな経緯で高校1年生から始めた芸能活動ですが、そもそものモチベーションはどこにあったのでしょう。
りんか:ママの存在です。新しいお仕事や、メディアに載ることを報告したときに見せてくれるママの笑顔が、この世でいちばん輝いて見える! それと、ファンの“りんか族”もそう。りんかのこと、いろいろな場所で布教活動をしてくれるのがすごくうれしい。大好きなママ、そしてみんなのために、もっとお仕事を頑張っていきたいです。
ーーちなみに、ここ最近でお母さまがもっとも喜んでくれたお仕事は?
りんか:『MEGAドン・キホーテ渋谷本店』さんで、メインスペースのイメージモデルに選んでいただけたことかな。入り口からすぐのところに、りんかの顔を“どーんっ!”って飾っていただけました。でも、ママにはそれをあえて報告しないでおいて、SNSで情報が目に入るように仕向けておいたんです。そうしたらすぐに「なにあれ、合成!?」って驚きの電話が掛かってきました(笑)。
ーーまさかのサプライズ。そういえば、ご自身についてYouTubeでたびたび「自己肯定感バカ高女」と称していますよね。そのあたりもお母さまの影響なのでしょうか。
りんか:そうですね。りんかがなにか失敗しても、ママは「りんからしいから、それもいいじゃん!」って笑ってくれるし、眉毛を剃りすぎて絶望していたときも「眉毛なんてまた生やせばいいよ!」なんて言ってたくらい。そんなふうに育ててもらったから、りんかにも「それも自分らしさだし、いっか」の精神が身についたんだと思います。あと、ママは料理がちょっと苦手で、味付けが毎回変わるんですよね。だから同じ料理をリピートしたくても、決まって違う味で出てくる。
ーーその日と同じ味付けには、もう二度と出会えないんですね。
りんか:でも、それがりんかのママだから。りんかも同じ。りんかはりんかだし、人は人。ママの料理も周囲からの意見も全部、“それはそれ”の考え方でいいんじゃないかな!(笑)。
・「古典わからなくて“悲しがおー”って、何気なく生まれたのがあのポーズ」
ーーここまでのお話を聞いていて、りんかさんの幼少期が気になってきました。なにか印象深いエピソードを聞かせてほしいです。
りんか:昔は、大の人見知りでした。
ーーウソですよね。
りんか:ホントです!(笑) りんかは兄弟たちと違って、公園に遊びに行ってもママからずっと離れない子でした。
ーー現在とは真逆なキャラクターですが、なにか変化のきっかけがあったとか?
りんか:高校に入って、新しい友だちをイチから作ろうと行動してみたことかな? 中学生になったときに「まわりが小学校と変わらない子たちばかりでつまんない!」って感じちゃって。だから高校はわざと、自宅から1時間半くらい掛かるところを選んだんです。
ーー中学校の通学圏は基本的に学区で決められますからね。高校入学を機に、自分自身も変えたい意志があったのでしょうか。
りんか:いや、りんか自身はまったく。環境と一緒に変わった部分はあったかもしれないけど、昔からの友だちに「キャラが変わったね」みたいに言われたことはないです。人見知りな部分だって、いまも少しは残ってますけど……まぁ、見えないですよね?(笑)。
ーー申し訳ないことに(笑)。人見知りな性格、気にしちゃいます?
りんか:「それもりんかだし、いっか」で割り切ってます。りんかって、自分のことが本当に大好きなんですよ。性格的に気になる部分も、飽き性なことくらいしかなくて。なにごとも切り替えが早くて、思ったことはすぐ行動するタイプ。そのせいでYouTubeのコメントでも、トークの途中で話題がころころ変わるねって言われちゃうんです(笑)。
ーーわかります。冒頭でご自身の肩書きとして伺ったYouTubeですが、トークの主題と主題の間に突拍子もない雑談が挟まって、全体で3部構成のようになるのが“りんかスタイル”ですよね。
りんか:ウケる(笑)。りんかも最近やっと、そうなんだって認識するようになりました。まぁ普通に話してるだけだから、自覚自体はないんだけど……。
ーーりんかさんのトーク力はむしろ、配信者としての方面で大いに活かされそうです。
りんか:たしかに。りんかはインスタライブやYouTubeのメンバーシップ配信をビデ通(=ビデオ通話)って気軽な感じで呼んでるんですけど、そこでも一生喋っちゃってる。「50分になったら終わるねー」とか言っても、話が尽きなくて逆に困るんですよ。
ーーやはり才能ですね。SNSの話題が挙がったところで、TikTokについても質問させてください。りんかさん×TikTokといえば、代表作のひとつに「悲しがおポーズ」が思い浮かびます。ティーンのあいだで大流行しましたが、そもそも思いついたきっかけは?
りんか:高校のころ、古典の授業内容に本当についていけない日があって。だけど発言したがりだから、挙手して問題に答えては、先生からそっけなく「違います」くらいに流されて。それで、仲よしの子とふざけながら「えーん、古典わからなくて“悲しがおー”」って、何気なく生まれたのがあのポーズでした。
ーー「悲しがお」は一大バズだっただけに、さすがに校内でも真似されたのでは?
りんか:それが誰もしてこなくて……あ、違う。1回だけありました。“じいじ”って呼んでいた英語担当のおじいちゃん先生に、卒業式で一緒に写真を撮ってもらったとき、まさかの“悲しがお”をしてくれていたんです。りんかは別にしてなかったし、そもそも知ってることにもうビックリ。じいじはいまもYouTubeを観てくれているらしいので、それがめちゃめちゃ“嬉しがお”です!
・「もし番組ができたら、頭に飴ちゃんを隠しておきますね!」
ーー過去に投稿したTikTokで、とくにお気に入りがあれば教えてください。
りんか:ピン留め投稿にしてる3本! 下唇を噛んで髪をかきあげるダンス、道端で捕まえたセミ。あと、高校の廊下で吹いた口笛ネタです。
ーー髪をかきあげて得意気な顔をするダンスは「りんかちゃんの音源」が通称となっています。なにか具体的な名称はあるのでしょうか。
りんか:とくにないです! りんか自身も気づいたらあの通称になっていて、これからも名前を付ける予定はないですね。
ーーあのダンスは、どんなきっかけから生まれたもの?
りんか:りんかは、みんなみたいにダンスを練習できる性格じゃないから、踊れなかったら潔く踊れないまま投稿するんです。だって、ありのままのりんかを見てほしいから。でも、あの音源だけは唯一、当時見つけた振り付け通りに踊れたんですよ。それがうれしくて投稿してみたら、りんか族のみんなが「りんかちゃんが踊ってる! すごい頑張ってる!」ってたくさん褒めてくれて。それがまたうれしくて、調子に乗って16回くらい投稿しちゃってました。
ーー私のおすすめ欄が一時期、「りんかちゃんの音源」で埋め尽くされていたのをよく覚えています。最近は、ファンからのお悩み相談企画「りんかウンセラー」が好評を博していますね。
りんか:「りんかウンセラー」は、みんなの気持ちに寄り添いたくて始めた企画なんです。「りんかはみんなと友だちだよ!」とか「世のなかにはそんな人だっているよ!」って、たくさん伝えたい。りんか族同士がそうであるように、私もみんなに混ざりたいし……仲間とか、それこそ“チーム友達”みたいな! チーム友達って、めちゃめちゃ素敵じゃないですか。
ーーりんかさんが目指す先は、千葉雄喜やJin Doggだと。「りんかウンセラー」の方には、ちゃんと名称がありますね。
りんか:りんか族の子が名前を付けてくれました。めっちゃお気に入り!
ーーInstagramの質問箱で相談募集をしているのをたびたび見かけますが、どうしたら実際に読んでもらえるのか、特別に教えてほしいです。
りんか:みんなが共通して悩んでそうなことを送ってください! たとえば最近だと、新学期のクラス替えのこととか。「好きな人や友だちと離れたらどうしよう?」って、みんなすごく悩んでる。あとは、目を瞑ってランダムで選んだものや、りんかが答えることで、送ってくれた子が元気になってもらえそうな質問を採用する日もあったな~。
ーーカウンセリング映像は一発撮りのようですが、だからこそ翌日以降、かつての投稿を遡って「あれは言わない方がよかったな」などと、反省や後悔も生まれてしまいそうですが。
りんか:う~ん、ないと思う。「この前はこう言ってたよね?」って聞かれても、「そのときのりんかは、そのときのりんかだったから」としか言えない(笑)。
ーーお母さまの手料理みたいに。
りんか:そうそう、同じ味付けには二度と出会えないから(笑)。誰だって、生きていれば気分や意見も変わるもの。みんなもそうでしょ? 26回目のりんかがAって言っても、35回目ではBになってるかもしれない。それもまた醍醐味です!
ーービリー・アイリッシュが毎年10月18日に実施しているインタビューシリーズ「Same Interview」を思い出しました。タイトル通り、毎回決まって同じインタビューをして、自身の考え方やその変化を定性的に捉える企画なんですよね。
りんか:初めて聞いたかも。面白すぎるから、りんかも100質(=100の質問)でやってみたい!
ーーここまでを踏まえて、その瞬間のりんかさんをありのままに切り取っているところも「りんかウンセラー」が心を掴む理由なのかと思いました。令和のご意見番にまで上り詰めた勢いのままに、次世代の和田アキ子さんを目指したいですね。そう、TBS系列で『りんかにおまかせ!』が放送される、その日まで……。
りんか:もし番組ができたら、頭にアメちゃんを隠しておきますね!
ーー大御所繋がりではありますが、それは『徹子の部屋』では……。
りんか:あれ、違うの!? 待ってヤバい、めっちゃ申し訳ないです。
・「親近感を抱いてもらえる存在であり続けたい」
ーーTikTokを投稿する上で、こだわっていることはありますか?
りんか:投稿する時間帯かな。なるべくたくさん投稿するようにしつつ、平日のお昼と、週末の夜中は外さないようにしていて。たとえば平日だと、体調不良で学校を欠席して、それに罪悪感を抱いちゃう子がいると思うんです。少なくとも自分はそうでした。だけど、りんかがTikTokを投稿すれば、その子に「りんかちゃんのTikTokを見るために学校を休んだんだ!」って、気分転換をしてもらうきっかけになれるかもしれないじゃないですか。
ーーとても優しいですね。週末の方も気になります。
りんか:りんかもそうだけど、深夜2時とかに寝れないと、ふと不安がよぎって。そんな子たちに向けたものです。「りんかちゃんも寝れないんだったら安心!」って、たくさんコメントをもらえるから、毎回のように「だよね、私も!」なんて共感しちゃってます。
ーー話は変わりますが、りんかさんが以前、別のインタビューで「記憶を記録で残すのがSNS」という旨を語っていたのがとても好きで。その気持ちは現在も変わらないですか?
りんか:あのころと同じままです。りんか、カラコンがめっちゃ好きなんですよ。種類もたくさんあって面白いし、もともと持つ瞳の色で、同じカラコンでも人によって発色が変わるのが不思議だし、いまはもうカラコンをプロデュースするためにお仕事を頑張ってると言っても過言ではない。そんな大好きなカラコンを「そういえばあの日、どれ付けてたっけ?」っていつでも遡れるように、写真や動画でSNSに記録を残してるんですよね。
ーーつまりは、カラコン日記のような役割なのですね。とはいえ著名人には永遠に付きまとう課題となりますが、そうした日記には紙媒体とは違い、いわゆる“垢バン”によってログインができなくなる可能性が。なにかリスクヘッジなどはしていますか?
りんか:そうなったら、マジで終わり。前にもスマホを機種変したとき、TikTokに保存していた下書きデータが全部消えたことがあって。
ーー聞く前から悲惨すぎます。
りんか:下書きに1万本くらい保存していたのが、全部パー。マジで終わりました。でも、そのときの気持ちをすぐに撮影して投稿したら……またバズっちゃった(笑)。「まぁ、これがりんかなのかな」って、改めて思ったなぁ~。
ーーさらりと明かされましたが、下書きデータが1万本って冗談みたいな数字ですね。
りんか:下書き、めちゃめちゃありますよ!
ーーそれだけあれば、毎日の投稿本数が多いのにも納得です。実際の投稿作品と、下書きで眠らせているもののあいだで、なにか違いや基準はあるのでしょうか。
りんか:とくにないです!
ーーとなると、下書きデータが急に掘り起こされるケースも?
りんか:普通にありますね。夜中の投稿は、下書きから選んでそこに文章を載せてたり。
ーー撮影から投稿まで時差があることで、髪型などリアルタイムの状態とは異なる部分が生まれるかと想像されます。りんか族のあいだで、大なり小なり混乱を招きそうですが。
りんか:「このネイルはこのときの。この洋服は、このときに買ったやつ。てことは、下書きから投稿したんだね!」って、みんなの方がむしろ、りんかに教えてくれる側ですね。髪色を変えたときなんかもすぐに反応してくれるから、りんか族のこと本当に大好き!
ーーりんか族、有能特定班すぎます。そんなファンコミュニティを含めて今後、りんかさんは同世代にとってどのような存在でありたいでしょうか。
りんか:友だちのように仲よく、親近感を抱いてもらえる存在であり続けたいのがいちばん! 芸能活動をしていると、どうしても心理的な壁が生まれる場面があるのは知っていて。それでも、その壁をめちゃめちゃにぶっ壊すくらいの距離感で、みんなとはいつまでも一緒にいたいんです。
ーーとても素敵です。YouTuberとしての目標もありますか?
りんか:登録者100万人! 『YouTube Fanfest』の舞台で、ヒカキンさんから“金の盾”をいただくのが夢のひとつです。
ーーりんかさんは今年で20歳ということで、可能性に満ち溢れていますね。最後の質問ですが、10年前に想像していたものと、現在の自分像を比べてみていかがでしょう。
りんか:めちゃめちゃ違うかも。実は10歳のころ、友だちと一緒にタイムカプセルを埋めていて、今年の誕生日に掘り起こす予定なんです。たしか、あのときはいまと全然違う夢を書いていたんじゃないかな~。YouTubeで動画にするので、みんな楽しみにしていてね!
(取材/文=一条皓太)

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