ボリュームの多さで知られる「ラーメン二郎」だが、それを職場の後輩に無理やり食べさせる愚行があるようだ。

ラーメン二郎亀戸店は今年4月、公式Xで、職場の新人に「大盛り」を強要することをやめるようにうったえた。

弁護士によると、このような行為は「パワーハラスメント」に該当することもあるという。

●「二郎ハラスメント」「これがジロハラか」と反響

「最近はだいぶ減りましたが新人の方が先輩社員や上司によくわからないまま大盛りラーメン(野菜マシ)を注文させられ悪戦苦闘しながら食べてるのを先輩たちが側から見て笑ってるという事例が多く見られるのもこの時期です。作り手側から見てるとだいぶ気分が悪いのでやめましょう」(同店の4月3日の投稿)

この投稿を受けて「先輩は、パワハライジメをしている」「二郎ハラスメント」「これがジロハラか」など、新人に大食いをさせることはパワハラにあたるとの指摘が相次いだ。

また、お酒の席のアルハラアルコールハラスメント)にも通じるとの声や、「自分の料理が罰ゲームみたいに扱われるのはそりゃやだよね」と店側に同情する考えもみられた。

ラーメン二郎などの飲食店で、上司が部下に大盛りを食べさせることを強要するのはパワーハラスメントにあたるのだろうか。ラーメンをよく食べる西山良紀弁護士に聞いた。

●ラーメン弁護士「繰り返されるとパワハラに該当しうる」

——上司が部下にラーメン二郎の大盛りラーメン(野菜マシ)を何もわからないまま食べさせたり、悪戦苦闘しながら食べている様子を見て笑ったりすることは、パワハラにあたるでしょうか。   極めて不快な行為ですが、ただちにパワーハラスメントに該当するとは言い切れません。

パワーハラスメントとは、職場においておこなわれる(1)優越的な関係を背景にした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるというものであり、3つの要素のすべてを満たすものをいいます。

(3)就業環境が害される、というのは、問題とされた言動によって、身体的または精神的に苦痛が与えられ、労働者が就業するうえで看過できない程度の支障が生じることを言います。

この判断にあたっては、社会一般の労働者であれば「就業するうえで看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」が基準になります。   感覚ではありますが、騙して大盛ラーメンを食べさせるのがこの1回だけで、かつ全部食べ切ることまで強要していないときには「就業するうえで看過できない程度の支障が生じた」とまでは言えず、パワハラに該当するとまでは言えないと思います。

一方、相手を騙したかどうかは別としても、頻繁に大盛の料理の注文を強要しているのであれば、就業するうえで看過できない程度の支障が生じていると言え、パワハラに該当すると思われます。

また、強要が1回きりだったとしても、体調を崩すほどの分量であることをわかっていながら、すべて食べ切るように強要した場合には「就業するうえで看過できない程度の支障が生じた」と言え、パワハラに該当すると言えるのではないでしょうか。

●二郎ハラスメントをする人は「レベルの低い人間」の自覚を

——こうした強要を受けて「ラーメン二郎が嫌いになってしまった」という人の声もありました。店は悪くないと思います。

周囲の人は、大盛りを強要する行為を決して面白いものではなく、不快なものととらえていると思います。

厳しい言い方になるかもしれませんが、このような行為は、周囲に「自分がレベルの低い人間である」ということをアピールしているだけだと思うので、絶対にやめたほうが良いと思います。

【取材協力弁護士】
西山 良紀(にしやま・よしのり)弁護士
兵庫県弁護士会所属。 離婚・男女問題、遺産相続、労働問題、債権回収などを多く扱う。 昼食の大半はラーメン。鶏がら・豚骨から出汁をとってラーメンを自作することもある。独立する際に、前所属事務所からもらった餞別は寸胴鍋とオリジナルラーメン鉢。
事務所名:リライト神戸法律事務所
事務所URL:https://relight-kobe.jp/

後輩に野菜マシ大盛り強要の「ラーメン二郎ハラスメント」 亀戸店が注意喚起、弁護士は「レベルの低い人間」とバッサリ