
この記事をまとめると
■日本はおもてなし大国として海外から評価されている
■タクシーに関してはトランクサービスの点で海外に劣っている傾向にある
■アプリ経由でチップをもらえるなど日本のタクシー業界は最近変化が起きている
タクシーのサービスは海外のが一枚上手?
日本を訪れるインバウンド(訪日外国人観光客)が、実際に日本を訪れて感動するとよく報道されるのが、日本独特ともされているおもてなし文化。海外在住経験のない筆者は日本で当たり前のように暮らしているので、どこがおもてなしなのかはいまひとつピンとこないことが、海外から見るとさまざまな場所で手厚いサービス受け、感動しているそうだ。
ここ最近は東南アジア地域への出張が多いのだが、現地には飲食店を中心に多くの日系サービス業が進出している。とくに日系飲食店では店内の接客やオーダーなどのオペレーションは日本語が使われており、日本のような働き手不足も顕著ではないのでホールスタッフも充実するなか、ネコ型配膳ロボットが活躍する店も少なくないので、日本以上におもてなしを感じるし、日本で実際におもてなし文化を体験した現地実業家が日本の企業を見習って経営している飲食店のおもてなしは、さらに磨きがかかったものとなっている。
結論からいえば、働き手不足のなか、さまざまなサービス業を展開している現状の日本に比べて、東南アジアのサービス業についても、仮に日系企業以外だとしても目立って不満を感じないどころか、日本より満足レベルが高いことも珍しくなくなってきている。
世界的には、まだまださまざまな意味で危ない乗り物とされているのがタクシー。日本のタクシーも安全な乗り物とはいい切れない部分もあるが、車両がきれいで運転士が親切ということもあり、海外のタクシーに比べればインバウンドの満足度は高いように見える。
その日本のタクシーでかねてより課題となっているのがトランクサービスの徹底である。トランクサービスとは、旅行用スーツケースなど大きい荷物を、トランクやリヤのラゲッジスペースへの積み下ろしを運転士が行うサービスである。ちなみに、欧米のみならず、東南アジアの新興国でもトランクサービスは当たり前のように行われている。
海外ではチップ文化というものが存在するので、より手厚いサービスを提供することで、より高額なチップを期待しての動きともいえる。日本でも東京都内などで見ていると、大きな荷物の多いインバウンドが乗客のときには積極的にトランクサービスを行っているように見える。
ただし、サービスという認識よりは、インバウンドに積み下ろしを任せると、めちゃくちゃに積み込んだりするので積みきれなかったりするし、扱いが乱暴なことによる車両破損などを防ぐといった意味で、ドライバー側が積極的に行っているようにも見える。
日本ではトランクサービスの文化が根付いてない
筆者が海外出張へ行くときや帰宅するときに、大きな荷物を抱えてタクシーを利用する際、トランクサービスを受けることはまれだ。タクシーがきてドアが開いてから、トランク開けてくださいと頼まないとトランクすらオープンしてもらえないことも多い。
トランクには運転士の私物もあったりするので、お客に荷物の積み下ろしをさせるものの、私物を盗まれないか運転席から降りてきて、筆者が荷物の積み下ろしを行うのを傍観しているケースも目立つ。高齢の運転士も多いので、ついつい自ら積み下ろしを行うこともあるのだが、とくに海外出張の帰路などでは、訪問先での行き届いたトランクサービスと比較してしまい、日本の現状が際立って見えてしまう。
海外でも日本のクセで自ら荷物を積んでしまおうとするのだが、たいていドライバーがそんなことしなくていいからと、荷物にも触らせてもらえずドライバーが積み下ろしを行っている。なかには空港に着くと、荷物を積載するキャリアカーをダッシュして取りに行き、そこに筆者の荷物を載せてくれることすらある。
外国人の乗客だからやるというわけではないが、未だにトランクサービスの対応についてバラつきが顕著なのは日本のタクシーだけのようにも見える。
ここ最近はデジタルツールの積極導入などで稼ぎ方も変化を見せており、タクシーも大都市を中心に稼げる仕事となった。コロナ禍で激減したぶん、新規に運転士として業界に入るひとが目立っている。また、配車アプリなどでは、乗車後のスコアリング機能があり、そこでチップを払うこともできる。
このような業界の変化が、トランクサービスをはじめ、日本のタクシーサービス向上に繋がってほしいと、筆者は願っている。

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