image credit:BigBlueDivingKohTao/facebook[https://www.facebook.com/BigBlueDivingKohTao/videos/272013525001821]

 ひ弱に見える人間をほっとけなくてついお世話したくなってしまった、とでもいうのだろうか?シャチが、人間に自分で捕った魚をおすそ分けしようとしている姿が話題になっている。

 それは南極でダイバーのカメラがとらえたメスのシャチの意外な行動だ。

 そのシャチダイバー目がけてまっしぐらに泳いでくると、おもむろに口を開け、獲物である魚の一部を差し出すかのようにそっと放した。

 まるでわが子を養うように、自分の餌を分け与えてくれているように見える。

 この展開、前に南極の海で水中撮影していたダイバーが、狩り上手なヒョウアザラシに心配されて、ペンギンをごちそうされた件を彷彿させる。

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 もしや今回も、過酷な南極で狩りができないドジな子認定されたとか?シャチのやさしさや愛情までもが伝わってくる驚きの動画を見ていこう。

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ダイバーにおすそ分け!南極で出会ったシャチの意外な行動

 この映像は、2022年1月30日にタイのダイビング センターBig Blue Diving Koh TaoがFacebokに投稿したもの。少し古いものだが、SNSではシャチの貴重な姿として、定期的に反響を呼んでいる映像だ。

南極の海中で、ダイバーにぐんぐん向かってきたシャチ

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よほどのスピードだったのか1度カメラにぶつかったような?

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それで去るわけでもなく、すぐに体勢を立て直したらしきシャチがおもむろに口の中の何かをこっちに放ってきた

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ってこれ…魚のヒレ?これを運んできてくれたのか!

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 ダイバーが一度浮上するとまもなく、シャチもすぐ引き返していったようだ。

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 それにしてもなんと面倒見の良いシャチだろう。

 まるで過酷な南極の海の中で、狩りもする様子もなく、ただじっと水中にいるダイバーが心配になり餌を分けてくれたように見える。

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 人間はシャチから見たらひ弱に見えるので、「あんたそんなに痩せてちゃここじゃ生きていけないわよ、はい、これ食べなさい」と、わざわざ泳いできておすそ分けしてくれたのかな。

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 投稿主のBig Blue Diving Koh Taoからはこんなメッセージが。

南極海でメスのシャチが、自分が獲った魚をダイバーにごちそうしようとしていました。野生のシャチは危害を加えてこない人間を襲うことはありません。また、メスのシャチは食べ物の95%を子どもや孫に分け与えることで知られています。

 シャチといえば、海の獰猛な捕食者のイメージが強く、近年では人間のボートを襲う集団も複数報告されている

 だがこれも、人間の船と出会って何か嫌な思いをしたため、そのシャチが船を敵認定し、その危険性を仲間に伝え、身を守るために船を襲うようになったのかもしれないという説も浮上している。

「意外と優しい」「友達みたい」の声

 この動画を見たユーザーからは、シャチのイメージが変わったという声も続出。怖いイメージだったシャチの温かい一面にふれて感動した人もいたもよう。

シャチって意外と優しいんだね!野生の中の温かさを感じた
・今まで怖いイメージだったけど家族を大切にするシャチに胸が熱くなった
・こんな風にお魚を差し出すなんて、おやつをくれる友達みたいで最高!
ダイバーも一瞬焦っただろうけど、これは貴重なすごい体験
・こういう生き物も思いやりや助け合いの精神を持っているんだなってしみじみ感じた
シャチにこんな一面があることに驚いてる
・観ただけで心が和んだわ

高い育児能力で子どもと餌を分かち合うシャチの社会

 事実上シャチは海の中では向かうところ敵なしの、ナンバーワンの捕食者だ。だが厳密には、野生のシャチが、何も危害を加えてこない人間を狙って襲い、命を奪った記録はまだないという。

 カラパイアの読者ならご存じのように、近年の研究により、彼らはとても知能が高く、高度な母系社会を築くことがわかってきた。

 とりわけ群れのリーダーを務める年長のメスは知識が豊富で、高い育児能力をもつという。

 そうした育児能力は、群れを構成する母親シャチたちがしょっちゅう行う「並外れた食物分配行動」からもうかがえる。

 その行動とは、たとえ息子が狩りを覚えても、自分の獲物を分け与えるというもの。わが子が大きくなってもつい分け与え、食べさせたくなってしまうって人間界でも聞くようなケースだ。

 研究者たちは、これが生存率が極端に低く、生後1年以内に最大50%死亡するともされるシャチのオスの生存率と繁殖の可能性を高め、群れの繁栄をより確実にするのに役立つとみている。

 なお2021年にダイバーで映像プロヂューサーのブライアン・スケリーさんも同様の体験をした。

 巨大なメスのシャチが、食べかけのエイを「1口どう?」とすすめるようにむけてきてくれたそう。こっちもひ弱に見える人間を放っておけなかったのかも。

Orca: The moment a killer whale shares its catch with Brian Skerry

 わが子や孫のために餌をとり続けては分け与えるメスのシャチの愛情深さよ。ついでに見ず知らずの異種なダイバーにまでおすそ分けだなんてどんだけ懐が深いんだ。

 厳しい環境の中でもともに助け合い、子どもを大切に育て上げていくシャチ

 そんな姿が垣間見えた今回の動画は、あらためて多くの人の心に響いているようだよ。

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