「ニコニコドキュメンタリー」の第1弾、第三者の視点から日韓問題を描いた「タイズ・ザット・バインド~ジャパン・アンド・コリア~」をテーマにした1回目の解説番組、「『領土問題』を考えよう」が2015年8月1日(土)22時から、ニコニコ生放送で配信されました。
本ニュースでは、同番組の内容を以下の通り全文書き起こして紹介します。
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※出演者=話者表記
・山本皓一氏(フォト・ジャーナリスト)=山本
・山田吉彦氏(海洋問題研究家、東海大学海洋学部教授)=山田
・角谷浩一氏(MC/ジャーナリスト)=角谷
・松嶋初音氏(コネクター)=松嶋
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角谷:こんばんは、コネクターの角谷浩一です。
松嶋:松嶋初音です。「本当のことを知りたい」ということで、この夏ニコニコがスタートさせた新たな取り組み、その名も「ニコニコドキュメンタリー」。きのうは国際的な第三者の視点から日韓問題を描いたドキュメンタリー、「タイズ・ザット・バインド~ジャパン・アンド・コリア~エピソード1」の放送を受けての討論番組をお送りいたしました。すごかったですね。
角谷:きのうはね。テーマが多岐にわたるということ、日韓関係といってもいろんな問題があるということ、その中でも慰安婦の問題と竹島の問題でさまざまな議論をやりましたけれども、いろいろ白熱するシーン、それからいろいろな視点から見たものによっていろんな見方があるということ、それはわかりました。いずれにしろ、皆さんが持っている今の情報や歴史観、それから知識にできるだけ新しい情報を加えて、今の考え方、専門家の最新の情報を皆さんにお送りすることで、最新の情報を皆さんにも共有してもらいたい、こういうふうに考えます。
松嶋:そうですね。今夜はきのうみたいな討論という形ではなくて、一つ一つの問題をしっかりユーザーの皆さんと考えるための解説番組をきょうから3日間お送りしていきたいと思います。ということで、本日のテーマはシンプルな番組タイトルそのまま「領土問題を考えよう」でいきたいと思います。
角谷:日韓関係が大きくこじれるきっかけの1つとなっていますよね。
松嶋:そうですね。
角谷:竹島というふうな島がどういう役割なのか、それからなぜこうなったのか、いろいろ皆さん、竹島のことは知っているかもしれないけれども、そのきっかけ、歴史上の問題、それから地政学的な日本を取り巻くいろいろな問題。ことに日本は島国ですから、国境といっても海になっているので、どこからどこまでというのがなかなかわかりにくい。それを日本はどういうふうに国境を守っているのか、それも含めて、きょうはいろんな議論をしていろいろ教えてもらおうと。
松嶋:そうですね。一応きょうは夏休みの中でもあるということですから、こういった問題に疎い私とかにもわかりやすく説明していただけたらうれしいなと思っております。では、そろそろ今夜のゲストの方々をご紹介したいと思います。今夜のゲストは『日本の国境の島』シリーズなどで竹島や尖閣諸島、北方領土に何度も足を運ばれている、フォト・ジャーナリストの山本皓一さんと、国境問題や海上安保体制に詳しい海洋問題研究家で東海大学教授の山田吉彦さんにお越しいただきました。よろしくお願いいたします。
角谷:どうぞよろしくお願いします。
山田:よろしくお願いします。
山本:よろしくお願いします。
松嶋:さらには、今夜はユーザーの皆様からもご意見や質問メールを募集しておりますので、番組ページ内にあるお便り投稿フォームからどしどしとお送りください。お待ちしております。
角谷:さて、番組を始める前に、お二人にもおとといの番組は見ていただいています。それぞれお二人に感想を伺いたいと思いますけど。
松嶋:そうですね。
角谷:山本さんはどんな感じを受けましたか?
山本:やっぱり1時間っていう枠の中ですべての説明がついたとは言いがたいんですよね。いくつか観点はあったんですけれども、一方的になり過ぎた件もありましたね。例えば、慰安婦問題の中でその証言が韓国側からだけの証言とか、それから軍艦島の問題でも、あの映像を見ると、当時の時代としてはかなり破格な鉄筋コンクリートの高級ビルですよね。かなり優遇されていたということがわかるんだけども、その説明が全くなかった。それで、同じ島で労働している日本人の、そこで韓国人労働者だけがあのビルの中の部屋に住めなかったってことはちょっと考えられないんですよ。その証言がやっぱりもう本当にレイバーワークみたいな証言しかなかった。その辺はちょっと甘かったんじゃないかと。それともう一つ、最初にスタートが豊臣秀吉の朝鮮征伐から入りますよね。でも、それはその前に元寇っていうのがあったんですね。豊臣秀吉としては、元寇の敵討ちというか、そういう面もあったんじゃないかなと。そうであれば、やっぱり元寇からスタートをするべきだったかなと。その前にも白村江の戦いなんていうのもありますけれども、規模が違いますからね。
角谷:そうすると、逆に、今回私たちは中立的な立場のイギリス人に撮ってもらおうと考えたんですけれども、イギリス人にとってのやっぱり一つの日韓の問題だとか、それから植民地政策だとか、そういったものの考え方、それからきのうも議論になりましたけど、戦勝国から見た日本と韓国と、こういうところはやっぱり視点としてあったような気がしますか?
山本:ええ、確かにそう思いますね。
角谷:山田さん、どうでしょう。
山田:あくまでも根幹になっているのが、やはり第二次世界大戦の敗戦国、おっしゃるとおり、敗戦国の日本というのがすべての根幹にあって、その上でつくられたものであると。できれば、さらにあれの解説番組をまたつくらないと、誤解のまま、誤解のつくられた、上辺だけの。今、山本さんのおっしゃったとおり、当時の日本人は同じように、あるいはもっと苦労して、みんなが苦労している時代であったという背景が置き去りにされているということで、むしろ同じように扱っていたという、日本人は台湾人にしても、韓国人にしても、中国人にしてもちゃんと同じように扱っていたという一つのあらわれであると。例えば、少女が連れ去られるという説明をするときに、「じゃあ親はどこにいたんだ。社会はどうなっていたんだ」っていう、そういうとこがすべて取っ払われてしまっていたりもするわけですね。おっしゃるとおりに、韓国のことっていうのはすべて置き去りにされている。でも、豊臣秀吉から始まる、それこそ白村江、朝鮮民族を助けに行ってあげた日本人のことは全然触れない。私は、元寇のときは元と百済の連合軍、元と朝鮮人の連合軍であるということを忘れてはいけないんだと。むしろ最前線にやってきた。そして殺戮を。対馬なんてほとんどの島民が殺され、壱岐もそうです。島民が殺されて。女性は手のひらに穴をあけられて船につるされるなんていうことがあったわけです。同じ歴史として、そういうことがみんなほったらかしにされてしまう。それで、最終局面で残ったものだけを表に出していくとなると、やはりどうしてもつくられた、日本人は敗戦国であると、70年間それをずっと引っ張ってきたわけですね。そろそろこの70年間日本人がやってきた努力、そしてこのアジアに果たしてきた役割。あとは、何よりも、今の韓国があれだけ発展しているというのは、私の海の世界で言うと、造船業なんていうのは明らかに日本の技術。言い方が悪いと、パクってきたわけですよ。しかも、資金的にも支援して育ててきた国なんですね。海洋安全保障体制を見てもそうなんです。今は解体されましたけど、韓国の海警庁は日本をモデルにしてつくっている。海の安全は日本をモデルにしてつくっている。そういう事実というのもちゃんと目を向けてもらいたい。むしろ、そっちのほうが大きいはずなんですけどね。
山本:そうですね。それで、例えば日本の右傾化っていうテーマもありましたよね。それなんかを見ますと、「戦前の価値観の復活」っていうことのみに集約されているんですね。でも、それは日本のいいところをとって、新たな、未来的な総転換を図るという大事な部分が抜け落ちているわけですね。戦前の負の遺産のみを追究して、それがそっくり現代に再現されるという論理しか、今、出てきていないんですね。それともう一つ総合的に見ますと、この前のビデオから一番強く印象を受けたことは、やっぱり過去の負の遺産ばかりを強調した教育というものが、韓国でも日本でも強調され過ぎているんですね。要するに、負の遺産ばかりを教える教育をやっていたんじゃ、未来への進展っていうのが進まないわけですよ。戦前が100%全部悪かったかっていうと、そういうことじゃない。やっぱりそういう多角的な視点で新しい日本の未来っていうものを考えなきゃならないはずなのに、負の遺産ばかりが出てくると。
角谷:逆に言うと、きのうもその議論になったんですけども、結局、そういうふうにヨーロッパから見えているんだってことを、今度は日本側から発信して覆したらいい。まさに山田さんがおっしゃったように、新しいフェーズの日本、それから、もうそういう日本じゃないですよってことをどうやって見せていくかっていうのも一つ足りないとこなんじゃないかって議論がありましたね。
山本:そうなんですね。それにはやっぱり教育だと思うんですよね。竹島に関しても、今はもう不法占拠から60年あまりが過ぎ去っているわけですね。その間に生まれ育った韓国人はもう60歳を超えているわけです。そうしたら、独島は韓国領土であるということが、洗脳と言っちゃ言い過ぎかもわかんないけれども、教育っていう名のもとにそれをたたき込まれているわけですよ。かたや日本はどうだったかっていうと、全く教科書にも触れない、それからそういう教育もしてこなかった。この差は60年の差じゃないですよね。
角谷:きのうもその議論になって、極めて上品な扱いをしてきたと。それが間違っているか正しかったかというと、よしとする人もいらっしゃいましたが、一方でやっぱり自民党の政策が失敗だったんじゃないだろうかというふうなことで。
山本:そうです、まさにおっしゃるとおり。
角谷:平沢さんも少し「そこは失敗だった」というふうな言い方を。
松嶋:おっしゃっていましたね。
角谷:「日韓議連のメンバーとしても自分はかかわっているけど、それは失敗だったんじゃないかという見方もあるのはわかる」というふうなことを言っていた。だから、そういう意味では、一方的な議論だけで知識として持っていないで、「日本もそういうときに反撃しなかったよな」とか。
山本:そういうことですね。
角谷:「日本は教育しなかったよな」というところは確かにあるということを前提に、きょうは今の竹島問題、それからもちろん歴史と、これからの解決方法、現実的な問題まで専門家のお2人にお話を伺っていこうと、こんなふうに考えます。
松嶋:まずは山田さんにお伺いしたいんですけれども、今日本が抱えているこの領土問題、国境問題にはどういったものがあるのかというのを教えていただいてもよろしいでしょうか。
山田:北は択捉島から南は沖ノ鳥島まで、そして東は南鳥島から西は与那国島まで、これが日本という国なんですね。この中で、日本の四隅で日本人が普通に行けるところというのは一番西の与那国だけなんです。
角谷:沖縄の一番西側ですね。
松嶋:そうですよね。
山田:この北方領土は日本の領土でありながら、第二次世界大戦後、ご存じのようにソ連、旧ソビエト社会主義共和国連邦によって占領されたまま、現在もロシアが実効支配していると。これは第二次世界大戦後、武力によって取られ、1万7000人住んでいた日本人がすべて島外に出されてしまった。これは日本に戻されたんじゃないです。日本のものですから、もともと生まれ育った土地を奪われたわけですね。その場所なんです。今、年間600人だけ「ビザなし交流」という事業で相互の交流事業が行われていると。ただ、これはなかなか行くことが難しい。一般の方が行きたいと思っても、どうして行けるのかがわからないし、実際に行くことはかなり難しくなっています。実際に行くのは北方領土出身者及びその親族、そして北方領土返還運動関係者、メディアの方。今、山本さんもなかなか行けないということを先ほど控え室でもお話ししていたんですが、メディアの中でも大手新聞や大手の出版社に所属している正社員じゃなきゃいけないとか、いろんなハードルがつくられております。
角谷:山田さんのような研究者はどうですか?
山田:私も今までに5回行っています。研究者の枠というので私は入っているのと、私はプラス北方領土返還運動関係者に対する教育という意味と、北方領土出身者の子弟に対して事実を伝えるという役割で入ることが5回ほど許されてきました。
角谷:地図をもう1回映してもらえますか。北方領土の問題は日本もずっと、北方領土返還という言葉はたぶんほとんどの人が知っていますよね。北方領土返還っていうのは声高に政府も言ってきたし、霞ヶ関に行っても総理府や内閣府のところには北方領土返還の大きな看板があったり。これはもうかなり前向きにずっと訴え続けてきたという感じがしますけれども、竹島とか、つまり北方領土以外のことは、あまり政府は言ってこなかった気がするんですけど。
山田:そうですね、領土問題といわれるのは、この北方領土と竹島なんですね。竹島はこれも第二次世界大戦後、李承晩によって強引に韓国の専管水域の中に入れられてしまった。経緯は後ほどお話に出ると思いますが、当然日本は泣く泣くといいますか、もう体力を削がれた段階で何にも手出しができない、戦後のどさくさの中で取られてしまった状態。プラス、今、東シナ海は、これは領土問題ではありません。尖閣諸島は明らかに日本の領土であると。そこに対して今侵略行為が始まってきた。これは実は尖閣諸島だけではないんです。実は東シナ海全域を中国は支配下に置こうとしている。同じように南シナ海も支配下に置こうとしている。これは海洋進出、中国の海洋強国化、強い国になるという意志のあらわれの中で東シナ海全域を取ろうとしている。
角谷:大体、太平洋側にある沖ノ鳥島までどうしていろいろ国境問題としてとらわれなきゃいけないんでしょうか。
山田:1つは、日本はすべて海に囲まれていて、ということは海を挟んで隣国と隣り合っているんです。手出しをしてくるとなると、先にあるのがこの島々。沖ノ鳥島の問題は、この地図より先にグアムがあるわけです。小さな島なんですが、沖縄本島とグアムを結ぶ非常に重要な位置にあるんですね。この島を日本がしっかりと管理をして、ここを堅実に利用しだすと、なかなか中国がアジア海域に、あるいは太平洋に出ていくのに邪魔になってしまうという可能性があるという意味でも、この小さい島でも存在が大きい。
角谷:いわゆる、中国の言う第一列島線、第二列島線という話になっていくわけですか?
山田:そうですね、まず第一列島線、九州から始まって、沖縄諸島、台湾、フィリピン、カリマンタン、ボルネオ島を結んで南シナ海を囲い込むと、これを第一列島線といいます。第二列島線というのは小笠原からグアムを結んで、パプアニューギニアまで行くと。この第一列島線、第二列島線というのは、中国とアメリカの軍事境界ラインなんです。
山本:そういうことですね。
山田:このラインまでは確実に中国が軍事的に占領していくんだというあらわれなんですね。当初の目的、第一列島線は2010年までだった。この年に中国の漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりするという、信じがたいような事件を起こして本格的に海域の確保に乗り出した。それから本格的に世界中で「尖閣は中国のものだ」と嘘を言い出したわけなんですね。同じように今度は2020年なんです、第二列島線。私は去年の秋に小笠原に出てきた大漁船団は第二列島線への布陣、スタートなんではないかと考えています。
角谷:なるほど。
山本:先生、おもしろいことに、おもしろいってなんだけども、2020年っていうのは東京オリンピックの年ですよね。ところが、中国から見れば、共産党結成100周年なんですよ。毛沢東が言い残した「国家100年の大計」っていうのがあるんですね。この中にやっぱり太平洋制覇、それと台湾を中国に復帰させると。こういうことが一番大きな命題になっているんですね。それともう一つは、尖閣も、それから択捉もそうなんですけれども、要するに最初起こったときの領土問題と価値が変わってきているんですね。それはどういうことかといいますと、竹島で例を挙げますと、単なる岩山2つのときには何にも言わなかったわけです。ところが、石油が、海底油田の埋蔵量が想定されるとなったら、1970年代の初めに突然言い出してきたわけです。じゃあ今は石油だけかというと、そうじゃないんですね。これは台湾問題に関係するんですが、先ほど100周年までに台湾を組み込むということを言いましたけれども、仮にそれに中国が失敗したら台湾が独立を果たすことになりますよね。そうしたら、この独立の気運っていうのは台湾だけじゃなくて、チベット、ウイグル、香港、それから内蒙古、これに飛び火するわけです。こうなったら、これは中国共産党の死活問題になっちゃうわけですね。それのキーワードとなっているのが、実は今、尖閣海域なんです。
角谷:なるほど。
山本:尖閣という島だけじゃなくて、その海域なんですね。要するに、中国は1996年の李登輝を落とそうっていう砲撃以降、海軍力をどんどん増強してきました。これはなぜかというと、台湾を取り込むためにはアメリカが邪魔なんですね。そうしたら、今山田先生がおっしゃったグアム島の最前線基地を威嚇する、ドスを突きつけるといいますか、それが必要なわけです。これが原子力潜水艦であり、ロシアから買った航空母艦なわけですよね。ところが、航空母艦、原子力潜水艦っていうのは攻撃型の兵器です。相手に威嚇を与えるための兵器ですよね。それが日本海とか台湾海峡をうろうろしていたんじゃ全く役に立たないわけです。じゃあ、どうすればいいか。潜水艦は実は東シナ海では向いていないんですね、浅いんです。ところが、南シナ海はかなり深いですから、潜水艦の高速道路を南シナ海でつくろうっていうのが中国の悲願なんですね。東日本海、尖閣海域はどうかというと、これは原子力空母の通り道。
角谷:きょうは竹島がテーマなんで、これは中国の話になってしまいますから(笑)。ただ、日本の四方を取り巻く海の中で、地政学的に中国の思惑、韓国の思惑、ロシアの思惑を知っておいて領土問題をまず知っておかないと、先ほど山本さんが言ったように、竹島は領土の問題だけじゃなくて、一方で地下の資源の問題もあるんだということで、領土問題、国境問題の役割は少し当初とは変わってきているんだということはまず頭に入れて、この先の話をしていきたいと思います。
山本:ロシアの択捉海峡も同じですよね。
山田:国後海峡、択捉海峡、そして日本海の位置、意味が明らかに変わり始めているんです。非常に重要になってきています。昨年12月、プーチンはウラジオストックを自由貿易港にすると。要は、これは一つの南下政策なんですよ。バルト海に出ようと思っても、もうバルト三国はEUに入ってNATO軍がいると。カリーニングラードという港がありますけど、もう飛び地になってしまった。次に手を出したのは、黒海ですね。強引に。
山本:ウクライナ(笑)。セヴァストポリですね。
山田:ウクライナはもうどんどんEU化していく。強引にクリミア半島をとったわけです。これは本当にクリミア戦争は1854年ですから、50年代と同じ状況なんです。
山本:そうですね。
山田:そうなると、最後の頼みの綱は日本海。
角谷:つまり、日本海がものすごく各国の理由で窮屈な場所になりつつあるということだけは間違いないんですね。
山田:そうですね。これから日本海を目指していく。そのときには必ず宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡を通らなきゃいけないんです。日本の意味というのは、海洋管理の意味というのは全く変わってきているんです。
角谷:なるほど。
山田:その中で、やはりこの竹島というのは重要なポジションにもあるということですね。
松嶋:山本さんは実際にいろいろな島に足を運ばれていらっしゃいますけれども、実際の島の様子っていうのは、例えば、竹島とかはどのような形になっているんでしょうか。
山本:私はカメラマンでございますので、論理的にしゃべるよりも写真で見ていただくほうが的確だと思うんですね。それで、自分のこの目で見たことをお話ししたいし、それを写真と映像で見ていただきたいと思うんですね。
松嶋:わかりました。ということで、きょうは山本さんには山本さんが実際に竹島で撮影された写真や映像を、特別に許可をいただいてお借りしておりますので、この番組でユーザーの皆さんにもご覧いただきたいと思います。ということで、解説も込みで見せていただければと思うんですけど、まずは。
山本:両方やるっていうのは、器用じゃないからできるかどうかわかりませんけど(笑)。
(一同笑)
角谷:お願いします。
山本:とりあえずやってみましょう。
松嶋:まず映像のほうから。
山本:竹島というのはこういう2つの、双子の島なんですね。それで、現在では500人乗りのウリ号っていう観光船が就航しているんですね。それの母港になるのが鬱陵島というところです。ここから2時間かけて観光客を大量に運んできているわけです。
角谷:鬱陵島から2時間かかる?
山本:はい。ところが、これは2006年の写真なんですけれども、これはなんと日本の中古船なんですね。それが韓国人を日本の領土に運んでいるっていう、ブラックジョークとしか言いようのないあれなんですが(笑)。これは200人乗りだったんですね。これが一番竹島のランドマークになっている岩なんですけれども(笑)、ゴトク岩って、真ん中に穴が開いているんですね。これを見ると「これは竹島だ」って誰でもわかるわけです。ところが、2006年ごろまでは、この竹島というのは入るのになかなか、やっぱり理由がいりまして、韓国政府は安保観光っていう言葉を使ったんです。これは「安全保障を実感してもらうために竹島へ行きなさいよ」というやり方です。当時は丘の上にある砲台なんかも見せたんですよ。ところが、現在500トンの船で行くと、島の周りを1周しないで、軍事的要素を見せないようにしている。
角谷:今は見せないんですか?
山本:ええ。そのことで、これは2011年に撮った写真なんですけれども、観光客があらわれている。2006年に行ったときにはやっぱり愛国団体とか軍のOBとか、そういう団体が来ていたんだけど、今はディズニーランドあたりでうろうろしている若い人たちと全く変わらないわけですよ。だから、どんどん武装して守っている島っていうイメージから、もう国民に馴染んできて、ソウルの隣の町と一緒だよっていう方向に転じてきたわけです。これは韓国が国内的にも海外的にも、竹島は領土っていうことを大声で話しても大丈夫だという、ある程度の自信を持ったってことですね。
角谷:なるほど。
山本:だから、当然2005年に行ったときには、竹島行きの船に片足をタラップに乗っけますと、「あなた日本人でしょう。行けませんよ」、「なぜ?」って聞いたら、「日本政府が韓国経由で日本人が竹島へ行くことは許可されてないでしょう」っていうことを逆に言われたんですね。ところが、2006年にはもうだいぶ自信ができてきたんでしょうね、すんなり乗れたんです。ところが、海洋警察が中で声をかけてきて、「あなた日本人ですか?」と「そうです」って。「何のために行くんですか?」、そう聞いて、私の持っていたリュックの中に「日本の国旗なんか入っていないでしょうね?」って、政治的な。
角谷:アピールするんじゃないかという。
山本:「デモンストレーションをするわけじゃないですよね?」みたいなことを穏やかに話をするんです。「いやいや、そういうことはやりません」、そうしたらすんなり行けたんです。さらにその後、昨今の話では、当時2006年ごろには120人ぐらいしか外国人は行っていなかったのが、去年は1400人行っているんですね。その内訳、日本人が何人行ったかはわかりませんけれども、かなりの外国人が竹島を訪問しているという現状ですね。これはアットランダムに見せますけれども、これが現在の竹島の状況です。要するに、ソウルの隣の町という印象をやるために、町の道路標識なんかもできているわけです。それからさらに言いますと、丘の上のほうに警察庁もできていますね。町には警察がいて当然だと、そういう配慮が。
角谷:実際に常駐しているのは軍がいるんですか?
山本:海洋警察ですね。
角谷:海洋警察がいるんですか。
山本:11年の段階では26人の海洋警察が竹島に駐屯していました。これは山の上に物資を運ぶ。ここは竹島っていう名前がついていますけれども、竹も取れなきゃ木材もない、食べ物も水も自給自足できないわけです。これで山にこもっている海洋警察のスタッフの生活必需品なんかを送っているわけです。
角谷:なるほど。
(つづく)
◇関連サイト
・[ニコニコニュース]「『領土問題』を考えよう」全文書き起こし(1)~(4)
http://search.nicovideo.jp/news/tag/20150801_「領土問題」を考えよう?sort=created_asc
・[ニコニコ生放送]「領土問題」を考えよう - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv227565173?po=news&ref=news
・ニコニコドキュメンタリー - 公式サイト
http://documentary.nicovideo.jp/
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