
新年度と大型連休が連続するこの時期は、インフラや官公庁、そして旅行に関連する組織・団体を騙った詐欺が増える傾向にあります。ここ数年ですと総務省や厚生労働省、JR各社、えきねっと、モバイルSuicaなどを騙るフィッシングメールが確認されました。
そして今年の大型連休前後は特に注意すべきものが1つあります。それはETCにまつわる組織・団体を騙るフィッシング詐欺です。
4月6日から7日かけて、システム障害のためNEXCO中日本管轄のETCレーンが通過できなくなるトラブルが発生しました。その影響で都内のほか東海・北陸地方のインターチェンジが料金所を一時閉鎖せざるを得ない状態になったのはみなさんご存知の通りです。
その際、料金所によって異なる対応が見られたものの、最終的には後日Webサイト経由で清算するというかたちに収まりました。現在は公式サイト内の「高速道路通行料金(ETCカード)のご精算・ETC通信不具合のご確認」から手続きを進められます。
詐欺メールまで今回のETCトラブルに沿った内容に!?
ところが、この後日清算は今のところあまり進んでいないようで、NEXCO中日本は4月15日の時点で3万6000件程度に留まっている(トラブル発生1週間前の通行台数は約96万台)として、今後は未払い者が特定できれば請求するとコメントしています。
こうした対応は法的に正当ではあるものの、当該トラブルによって大幅な遅延や予定の断念を迫られた末にこの仕打ちかと憤りを感じるドライバーも少なくないと思われます。
一方、このコメントを見て悪意ある詐欺師たちはおそらく小躍りしたでしょう。
これまでもETC利用照会サービスを騙って、アカウント情報やクレジットカード情報を偽Webサイトに入力させて窃取する、あるいはVプリカ経由で金銭を盗もうとする手口のフィッシング詐欺は報告されていました。
ところが2025年4月下旬からは詐欺メールの文面がガラリと変わり、「ETC未払いに関するご案内/未払い区間:首都高速道路・東名高速等/支払期限:2025年4月30日」といった文言が見られるようになりました。明らかにNEXCO中日本のETCトラブルを念頭に置いた内容に変化しているのです。
「支払い確認が取れない場合はシステム停止や延滞手数料が発生する可能性があります」といった、詐欺メールの常套手段である時間制限で相手を慌てさせる文言も見受けられます。
当然、こうした内容はすべて虚偽です。そもそもETC利用照会サービスは無料で使えますし、NEXCO中日本は催促メールを個別に送るといったアクションを(今のところ)起こしていません。
詐欺師は季節行事や流行りに合わせてさまざまな形式の詐欺メールをあなたに送り付けてきます。どんな内容だったとしても文中のURLはタップせず、自力で公式サイトを検索して真偽を確認する癖を付けましょう。
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フィッシング詐欺のメールやSMSがあなたのもとに届いた際は、フィッシング対策協議会に報告すると良いでしょう。

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