江口洋介主演の「ひとつ屋根の下」(1993年フジテレビ系)が、現在FODTVerで配信中だ。無料で見られる話数もあり、32年前に放送されたドラマを令和の今、楽しむことができる。今回紹介する第11話はフジテレビ系歴代最高視聴率37.8%を記録した回であり、第12話は第1シリーズの最終話となる。当時、国民的ドラマがどんな結末を迎えるのか、視聴者の注目を集めた回をプレイバックしてみよう。(以下、ネタバレが含まれます)

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■小梅の事件で家に来た弁護士を達也が追い返す

「ひとつ屋根の下」は両親を交通事故で亡くしたきょうだいたちが、“ひとつ屋根の下”で協力しながら暮らす物語。長男の柏木達也(江口)を中心とし、二男で医大生の雅也(福山雅治)、しっかり者の長女・小雪(酒井法子)、やんちゃな三男・和也(いしだ壱成)、高校生の二女・小梅(大路恵美)、そして四男・文也(山本耕史)たちが明るく、時に涙を流しながら本気でぶつかっていく。長髪ロン毛の達也“あんチャン”のカラッとした陽気さが柏木家の自慢だが、クライマックスに向けて家族たちには困難が次々と襲いかかった。

第11話。幸夫(山本圭)のところから家に帰る途中、小梅が若い男にレイプされた。犯人は19歳の予備校生だった。翌日、柏木家へ弁護士がやってきて、示談にしたいと申し出る。とりあえずと言って弁護士は10万円を出したが、対応した達也は「なぜ、親がこないのか」と弁護士を追い返した。小梅が退院。達也はわざとはしゃぎ回ったが小梅は無言だった。心の傷は大きい。そんな小梅に幸夫が話しかける。「オレ、富山へ行こうと思っている。向こうで医者をやる。一緒に行こう。成人するまでオレが面倒を見る」。達也は告訴を考えるが、雅也はそれに反対する。

■告訴をしたい達也と反対するきょうだいがケンカになる

続く第12話。小梅がレイプされた事件の告訴問題で、柏木家は大きく揺れていた。どんなに反対されようと告訴することを曲げない達也に、雅也は呆れ返り小雪を連れて家を出る。それでも達也は「このうちの長男はオレだ!親がいないんだから、あんチャンが一生守ってやる」と小梅に誓った。

一方で和也(いしだ壱成)は誤解から仕事をクビになり、悪い仲間のところへ行ってしまう。心を痛めた達也は、もう一度、兄弟の心をひとつにしようとマラソン大会に出場した。アキレス腱を切って競技生活を断念した達也だが、スタートから快調に飛ばす。

和也の仲間・津山(古川九一)から「和也はやばい連中とつるんでいる」と知らされた小雪は包丁を持って家を出ていく。雅也は利奈(内田有紀)が舞台で倒れたと聞き、病院へかけつける。そのころ達也は決死のマラソンに挑むのだった。

第1話にて、達也は、足を痛めたことから特技のマラソンを捨てた。それが最終話で、家族のために走ることを決める。家族は災難に遭った小梅をはじめ、家を飛び出してしまった和也、大切な女性の命を守れず落ち込む雅也と、それぞれピンチの時を迎えていたが、テレビ中継に映る達也の姿を見てハッと我に返った。

『自分たちは孤独ではない、“あんチャン”を中心としたきょうだいたちがいる』と改めて気づいた彼らは一人、また一人と達也の走る現場へと集まってくる。足の痛みをこらえて走る達也にきょうだいたちが「あんチャンがんばれ!もう少し!あんチャン!!」と叫び続けるシーンは胸を打つ。アツく、空回りすることも多かった達也が、家族のために本気になる姿は、いつの世も人の心を震わせるパワーがあった。

「ひとつ屋根の下」/(C)フジテレビ